鹿角メイ

広く浅く緩く 苦手なことが多い会社員

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    創作なんて大それたものでもないお話たち

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遅刻の2023年ベストコスメ

年内には間に合いませんでしたが、まだ1月第一週なので図々しく2023年のベスコスnoteを書いています。 ヘッダーをクリスマスっぽいものにしたらあたかも12月に書いた感じが出るかなと思って試してみましたがどうでしょう… 2022年に比べると2023年は旅行や洋服にお金を使い、化粧品への投資は控えめな一年だったので限られた母数からの選出ではありますが、選んだものは全てお気に入りです。 NARS ナチュラルラディアント ロングウェア クッションファンデ 今年のMVPは君だ!

    • ラブはノベルティ

      恋愛感情がない訳ではない。初恋は小三の時で、クラスで一番足の速い田代くんのことが好きだった。そのあとも好きな人は断続的にいて、中学生の時は同じ委員会になりたくて朝が弱いのに朝当番のある美化委員に立候補したり、高校生の時はルールも分からないのにバレー部の試合を見に行ったり、大学生の時はバイト先で自分ではなく相手のテスト期間に合わせてシフト希望を出したりしていた。 でも、なんか、その程度で満足だったんだよなぁ。彼氏の肩にもたれかかって自分が見たいと言ったもののあまり面白くない映

      • きっと、ほんとはもっと

        妊娠カレンダー / 小川洋子 友達との会話の中で、妊娠にまつわる小説として妊娠カレンダーを話題に出したものの、物語に関する記憶として「姉が妊娠した妹の話」「ちょっと気味が悪くて不思議」「手作りのグレープフルーツジャム」程度しか引っぱり出せず、はてどんな話だったっけ、と数年ぶりに手に取ってみた。 以前読んだのは大学生か社会人なりたての頃で、その時は不思議でよく分からない話だなと思ったのだが、今読むとまったく「よく分からない話」ではなくなっていた。理由はおそらくふたつある。自

        • はないちもんめならよろこんで

          待って、そんなにいっぺんに聞かないでよ、ちゃんと話すから。一旦飲み物飲むね。 ふう。…きっかけは、多分察しついてると思うけど、リエちゃんの結婚式。帰りの電車の中で「青柳くん、森ちゃんのこと狙ってなかった?」ってアリサちゃん言ってたけど、その通りだったの。私は気付いてなかったけどね。 あれが半年?もっと前だっけ?で、その後LINE来て何回かサシでご飯行って、流れで付き合ってからもう3ヶ月くらい。一泊だけど旅行も行ったことあるよ。この前は日比谷で映画見て、買い物してたところ。ア

        遅刻の2023年ベストコスメ

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          11本

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          旅先のコスメポーチの中身 2023夏

          旅行もコスメも大好きだけど、いや、大好きだからこそ、旅行に持っていくコスメを選ぶ時は毎回頭を悩ませます。荷物は少ない方がいいし、顔面は盛れた方がいい。ただし顔面を盛るためには道具が必要。世の中大体こんなもんです。 そういう訳で、人のコスメポーチってその人の美学や譲れない所がにじみ出やすくて面白いんですよね。いつも人様のを見て楽しんでいるばかりなので、私もたまには紹介してみようと思います。 写真の撮影日が結構前という点に関しては目をつぶってください。先延ばし王と呼べばいいさ

          旅先のコスメポーチの中身 2023夏

          小さくて甘いストッパー

          あぁ、またやってしまった。 夏の蒸し暑いキッチンで、買い物袋から中身を取り出して、並べて、眺めて、ため息をついた。 一人暮らしで凝った料理もお菓子も作らない、どちらかと言うとキッチンにいる時間を短くしたいタイプの女なのに、疲れた時にスーパーに行くと取り憑かれたように果物を買ってしまう。なぜなのかは自分でも分からない。今回は旬の桃をみっつも買っていた。先月は残業が少なめだったというのに、高級品の果物を、みっつも。 何か特別辛いことや悲しいことがあったわけではない。ただ、明日

          小さくて甘いストッパー

          燃やして燻らせて

          「ほんと、百害あって一利なしって分かってるのに、どうしてやめないのかしら。ミユもいるっていうのに、まったく」 ベランダで肩身狭そうに煙草を吸う父の背中を見ながら、まだ”タバコ”が何かも分かっていない小さな私に、母はよくぼやいていた。ベランダから戻ってきた父から漂う独特な匂いは別に嫌ではなかったが、母の機嫌が悪くなるのは嫌だったので、父が禁煙をすると聞いたときは歓迎した。私は小学四年生だった。 でも、数ヶ月でその歓迎を撤回することになる。父は代わりにガムを噛んだりして気を紛

          燃やして燻らせて

          きっと隠し味は友情

          料理が好きな夫は時間がある日にちょっといい出汁を使って味噌汁を作ってくれる。それはもちろん美味しい。 でも、こんなこと言ったらバチが当たるんだろうけど、具材の彩りまで考えられた丁寧な味噌汁を飲みながら、夜中の3時までダラダラ飲んだ次の日の朝、気持ち悪いとか頭痛いとかむくみヤバいとかうだうだ言いながら、たろちゃんと飲むインスタントの味噌汁を恋しく思っている私がいる。 独身時代に戻りたい訳ではないし、当時と今、どっちが幸せかと聞かれれば今の方が幸せだと答えるだろう。 最高の友達

          きっと隠し味は友情

          恋愛市場のワゴンの上から

          傲慢と善良 / 辻村深月 本作の主人公、架の婚約相手である真美の気持ちが1ミリも理解できないと断言できるような人でありたかったけれど、私は残念ながらところどころで真美の気持ちが手に取るように分かってしまった。 傲慢も善良も、どちらもしっかり私の中に性質として組み込まれている。 ミステリー小説も恋愛小説も形容として不十分な気がしてしまうのは、人生における選択をどのように行うのかの物語であって、起きた事件も背後にある恋愛もその選択の一部分でしかないからだ。 どこに住み、どんな

          恋愛市場のワゴンの上から

          女に嫌われる女についての考察

          ブブ、とスキニーのお尻のポケットに入れていた携帯が震える。 待ち合わせをしている彼氏からの「15分遅れる!ごめん!」というメッセージだった。このまま外で待っていようかと思ったけれど、改札を一歩出るなり前髪を見出して吹き付ける北風に負けて、すぐ近くにあるチェーンの喫茶店で時間を潰すことにした。「はーい。寒いから北口のドトールで待ってるね」と返して、今日はホットの豆乳ラテにしよう、と心に決めた。 日曜のお昼過ぎ、店内はまぁまぁ混んでいるので本当はコートを掛けられるテーブルがよか

          女に嫌われる女についての考察

          2022年ベストコスメ(デパコスプチプラ混合)

          早いもので気付けば年の瀬ですね。ということで毎年恒例ベストコスメnoteです。年内に間に合って心底ほっとしています。 去年に比べていろいろ買ったので、うんうん悩みながら6品選びました。 RMK スムースフィット ポアレスベース 03 今更取り上げるのが野暮なほど有名な商品ですが、あくまで私が今年に買ったものということで。 先日RMK青山店でのメイクレッスンを受けた時に初めて使って、その仕上がりのきれいさに感動してその場でお買い上げした商品。ポアレスという名前だけあって、さ

          2022年ベストコスメ(デパコスプチプラ混合)

          生粋の食いしん坊が弾丸でひとり韓国に行くとこうなる録-後半

          先日書いた前編の続きになります。1日目にベッドの中で旅程を組んだら結構パンパンになってしまったので、ねぼすけの私にしては早めの8時出発を目標としました。 ちなみに、仁川からソウルに出る時は座席予約不要の空港鉄道(各駅停車)に乗りましたが、復路は時間が決まっている方が安心だと思い直通鉄道を事前に席予約しました。旅行系予約サイト(コネスト、kkdayなど)で事前予約しておくと現地の券売機で買うよりも割安なうえ日本語で手配できて安心なのでおすすめです。 2日目 8時半 南大門市場

          生粋の食いしん坊が弾丸でひとり韓国に行くとこうなる録-後半

          生粋の食いしん坊が弾丸でひとり韓国に行くとこうなる録-前半

          旅のきっかけ - そっちがその気ならこっちだって 10月の2週目に突然「11月頭、仕事落ち着くから溜まってる有給消化しなよ」と上司に言われ、急遽1週間の休みが発生。休みはいつだって嬉しいけれど、このタイミングじゃ友達とも合わせられないし、金曜夜に予定入れちゃったし。 でも、ここで大人しく家にいたんじゃ何かに負けたようで悔しい。突然の休みだって、こっちは満喫できるんだからな!ということで、1泊2日で韓国に行ってきました。 なぜ行き先を韓国にしたかというと、  ・とにかくめち

          生粋の食いしん坊が弾丸でひとり韓国に行くとこうなる録-前半

          花束みたいな恋と花火大会のラスト10分

          花束みたいな恋をしたをNetflixで見て、なんだか気持ちが落ち着かなくてこのnoteを書いている。 花束は、きれいで華やかでいい香りで、いただけばもちろん嬉しいけれど、ちゃんと水を変えたとしても日に日に萎れていく様を見るのはつらい。元気は無いけどまだ大丈夫、まだ捨てなくていい、と粘っていると、瑞々しさを失った花びらは指で撫でるだけでほどけるように落ちてしまう。 あまりたくさん映画を見ている訳ではないので、もしかしたら私が知らないだけなのかもしれないけれど、恋愛映画で芽を

          花束みたいな恋と花火大会のラスト10分

          不器用で不安定な大人たち

          大人になったら、 / 畑野智美 この本を手に取ったのは、タイトルが私のよく口にする言葉だったからだ。 一人暮らしにもずいぶん慣れて、上司とのコミュニケーションよりも部下への物言いに頭を悩ますようになり、傍から見ればまごうことなき大人だけれど、今でも自分のことを大人だと信じきれていない節がある。 というのも、自分が思い描いていた大人に比べて今の私がだいぶ不器用だからだ。大人になったら、もっといろんなことを器用にできるようになるものだと思っていた。靴紐をほどけないように結ぶと

          不器用で不安定な大人たち

          あなたの方がよっぽど、

          ユリさんは正しい。私だってその正しさを同じ感覚で飲み込みたかったのに、それができないのはきっと私たちの何かが徹底的に違うからだ。 「初めまして、片岡ユリです。なんだか名前の響きが似てますね。よろしくお願いします」 年下の私に対しては深すぎるくらいのおじぎをしたユリさんは、韓国ドラマのヒロインの敵役に出てきそうな人だった。すらっとした体型が目立つネイビーのワイドパンツ、涼しげな奥二重、いかにも社交辞令といった感じの弧を描くローズピンク。あーヤバい、怖い人かもと思いながらお辞儀

          あなたの方がよっぽど、