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むしろ見えない方がいい

11年前、緑内障と診断された。
まだ初期の段階だったので、点眼薬で今まで過ごしてこられた。
最初は失明するのだと絶望した。
しかし、点眼薬を投与して現状維持を保てている。

緑内障とは、視野が欠けていく病気。
欠けてしまった視野は元には戻らないのだ。

私は元々、近視が強い。
ど近眼の人は眼球の後ろに束ねられている視神経が太い。
それが見えない部分を作っていると。
すぐさま目が失明するとは限らないから安心したのだが…
ここのところ視力も落ちているなと感じる。
しかも、視野検査で少し視野が欠けてきていると先生から言われた。

ちょっとショックだった。
『あぁ…このまま見えなくなっていくんだな』

心が折れそうだけども、まだ物体が見えるとか文字が読めるからまだ良いのだと思うようにしている。



それから最近は、人間の嫌な部分が見えてしょうがない。
だから、神様は見えなくさせることにしようとしているのか。
そう思うと、むしろ見えない方が良いのではないかと感じている。
人間の嫌な態度や顔、卑劣な言動を見なくて良いから余計なことを考えなくてすむ。

生活に困っても心に支障がなければ問題ないと思っている。
生活で困ったら、助けてもらえば良い。
今後の日本は優しい方向へ向くと思っている。
助け合う心を持つ人間が増えると確信している。

見えないとは、相手の心を感じることだ。
目には見えない心の機微や感情、声のトーン、そばにいるか、聞こえる情報を研ぎ澄ませると相手がどんな人間なのか分かるはず。
見えると余計な情報が入ってその人の真の姿を曇らせてしまう。



でも、美しい景色は見たい。
だから、今のうちにいろいろなところに行って写真を撮っている。
その場所でしか見られないもの、偶然の産物、これからどんどん“とことこおさんぽ”で紹介していきたい。

私の心は、緑内障と診断される前よりも元気だ。
見えることの有り難さに気づけたから、小さなことでも幸せに感じるのだ。

空の清々しい青さ
葉が織りなすグラデーション
水面に揺れるキラキラな太陽の光
風が蝶と花を揺らす野原
ピンクや紫に染まる西の空

これらみんな心の宝物
見えなくなっても心で見える。
見えなくなっても幸せだ。

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