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ニュースピックアップ①~ダイジェスト~

日本のメディアでは見かけない、ロシアのホットで身近な話題を取り上げます。

ニュースシリーズ、第1弾📚

Беспилотное такси Яндекса/ヤンデックスの無人タクシー
無人タクシーの開発を続けているヤンデックス(※1)社。現在実施中の実験では、モスクワのヤセネヴォ地区の住民が対象である。
ただし、このサービスを最初に体験できるのはプロジェクトのウェブサイトから事前申し込みをした人たち。その後、ヤセネヴォの他の住民たちも利用できるようになる。
 地区内には40の呼び出し地点がある(多くはバス停を利用)。家の前までタクシーを呼ぶ場合、障害物の多い中庭(※2)を通ることになり、無人システムでは対応が難しいことが理由。
 実験の現段階では、原則テストドライバーが同乗して走行中の安全を監視し、緊急時には手動操作に切り替える。また、タクシーの乗客も1人のみと制限がある。
 車種はガソリン車であるヒュンダイ(※3)のソナタ、またハイブリッド・エンジンを搭載したトヨタのプリウスをベースにしている。
 ヤンデックス社は2016年末に無人運転技術の開発を始めた。2018年2月、ヤンデックスの無人自動車が初めてモスクワの街を走り、6月にはモスクワからタタールスタン共和国(※4)の首都カザンまで789kmを走破した。
ちなみに、ロシアで初めて無人タクシーが呼べるようになった都市は、同じくタタールスタン共和国の科学都市イノポリス(※5)だった。
 
※1:Яндекс(Yandex/ヤンデックス)は、ロシア最大の検索エンジン・ポータルサイト及びその運営会社(インターネット/テクノロジー企業)。言わばロシア版Googleで、日本ではあまり知られていないが、世界的な知名度は高い。
※2:ロシアでは集合住宅(アパートやマンション)が多く、建物と建物の間にある庭地/空地をдвор(ドヴォール)と呼ぶ。中庭、小さな公園のようなもの。
※3:ヒュンダイ(現代自動車)は韓国の自動車メーカー。
※4:タタールスタン共和国は、沿ヴォルガ連邦管区の中央に位置する共和国。
※5:首都カザンの郊外に位置する新しい街で、IT都市/特区。ロシア版「シリコンバレー」。
 
引用元
https://aif.ru/society/ptransport/robot_rulit_rasskazyvaem_kak_pokatalis_na_bespilotnom_taksi_v_moskve
https://www.rbc.ru/technology_and_media/07/06/2023/6480446b9a7947c8c046c906
https://rt.rbc.ru/tatarstan/freenews/5b84ee789a79472088ff5cf0
 
Электробусы/電気バス
国家プロジェクト「安全で優れた道路」の枠組みで、ロシアの10地域の都市交通車両が電気バスに刷新される。
今回初めて地方に電気バスを配置し、充電ステーションも設置する。ロシア連邦政府は、この10地域で電気交通網の全体的な普及に8,650万ルーブル(※1)を割り当てる予定だ。
2023年~2025年にかけて、電気バス284台と充電ステーション124基の購入、路面電車の線路620kmの改築と周辺地域の整備、さらに路面電車646台の新規購入にも補助金を充てる。
現在、電気バスの保有台数が最も多いのはモスクワ。2023年4月のМосгортранс(Mosgortrans/モスゴルトランス)(※2)のデータによると、モスクワにある電気バスは1,055台で、これはヨーロッパ最大の車両数である。
2023年~2024年には、ПАО "КАМАЗ"(KAMAZ/カマズ)社とГруппа ГАЗ(GAZ Group /ガズグループ)の電気バスがさらに1,200台追加される予定だ。電気バスは、サンクトペテルブルク、ナーベレジヌイェ・チェルヌイ(※3)、リペツク(※4)など、ロシアの他の都市でも運行されている。
従来のバスに比べ、電気バスは排気ガスが出ないなど環境に優しいのが利点。また、トロリーバスや路面電車と比べても、機動性に優れ、停留所やレールに関係なく、どのような道路でも走行できるという利便性が挙げられる。
新型電気バス「КАМАЗ(KAMAZ/カマズ)」には、エアコン、路線情報付きメディアスクリーン、Wi-Fiアクセスポイント、携帯機器充電用USBスロットが装備されている。定員は35座席で85人。
フル充電時の走行可能距離は最大100km。超急速充電ステーションでバッテリーをフル充電するのに必要な時間は10~20分である。
 
※1:日本円で約1億2975万円(1ルーブル=1.5円で換算)
※2:モスクワ及びモスクワ州でバス/電気バス交通網を運営する国営企業
※3:タタールスタン共和国の工業都市
※4:リペツク州の州都
 
引用元
https://aif.ru/society/ptransport/chto_za_novyy_vid_transporta_vpervye_poyavitsya_v_10_regionah_rossii
https://mosgortrans.ru/press/news/my-podpisali-kontrakt-s-gruppoy-gaz-na-postavku-eshche-200-elektrobusov/
https://kamaz.ru/press/releases/elektrobus_kamaz_6282_na_dorogakh_lipetska/
 
Ликвидация Байкальского целлюлозно-бумажного комбината/バイカル・紙パルプ工場の廃止
イルクーツク州のバイカル・パルプ製紙工場(Байкальский целлюлозно-бумажный комбинат/Байкальский ЦБК/БЦБК)(※1)では、蓄積した廃棄物処理の準備が始まった。作業は、汚染が深刻な3カ所で実施される。
バイカル湖近くのある元廃水処理施設と、廃棄物が堆積している2つの埋立地である。
3つのうち2つについては、国営企業であるロスアトム(※2)傘下の連邦環境事業者(Федеральный экологический оператор/ФЭО)がプロジェクト文書を作成した。
1つ目の現場は元廃水処理施設で、バイカル湖から100メートルも離れていない。この元施設には黒液が含まれている。新しい下水処理施設を建設し、古い廃水処理施設の汚水を汲み上げ、複数段階の浄化処理を行う。作業の完了後、建造物はすべて解体し土地を再生させる。
2つ目の現場は「バブヒンスキー(Бабхинский)」埋立地で、220万立方メートル以上の廃棄物が保管されている。ここでは、まず廃棄物の表面に溜まった水を浄化する。次に、降水が埋立地内に入り込んで汚染物質が地下水に流入しないよう、多層膜で覆う。
現在これらの現場では、将来の技術インフラ施設の用地が準備されている。連邦環境事業者は、年末までに準備を完了させる予定だ。2024年には設備を整え、作業を開始しなければならない。
3つ目の現場は「ソルザンスキー(Солзанский)」埋立地で、420万立方メートルの汚泥リグニンが保管されている。この廃棄物処理プロジェクトは、ロシア科学アカデミーのシベリア支部での立案が予定されている。
バイカル・パルプ製紙工場は2013年に操業を停止して以降、廃棄物の埋め立て手法について議論されてきた。万が一ハマル=ダバン山脈(※3)から泥流が発生した場合、それらがバイカル湖(※4)に流れ込むという生態系への大惨事も想定されている。
 
※1:ソ連時代の1966年、バイカル湖の南岸で操業を開始。工場排水による水汚染が深刻化し、2013年に閉鎖されている。
※2:Росатом/Rosatom(ロスアトム)は国営の原子力企業。
※3:バイカル湖の南を東西に延びる山脈。
※4:東シベリア南部にある地殻変動でできた湖で、面積は31,722㎢。世界で最も深くかつ最大の淡水湖。(https://ru.wikipedia.org/wiki/Байкал
 
引用元
https://irk.aif.ru/ecology/likvidaciyu_hranilishcha_othodov_na_beregu_baykala_gotovyat_v_irkutskoy_oblasti
https://www.interfax.ru/russia/904833

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