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生ける伝説 早稲田「メルシー」

メルシーに関しては、今さらおれから何を言うでもないだろう。至高のラーメン。
メルシーを超えるラーメンは、未来永劫、どのような次元においても、存在しない。

合言葉は「ラーだいカタ」。(ラーメン大盛り 麺固め)
この店は永遠に昭和のまま。それもラーメンの味わいの一部。いつ行っても、いつまでもいつまでも、時間が一定の間隔でゆっくり流れていて、決して速まることはない。気だるい空気にどっぷり身を浸し、表紙がシワシワになったジャンプを読む。頭のネジが全部ユルユルに外れる

頭を空っぽにして、無言でラーメンを啜る。レンゲでコーンをすくって、全部食べる。とにかく、しみじみと旨い。沁みる。沁みるとしか、言いようがない。

ラーメン一杯550円。平成も令和も存在しなくて、本当はまだ昭和のままなんじゃないだろうか。

ラーメンを食べ終わり、気付くと気持ちがフルチャージされる。完全に整った。疲れた時に、おれの気持ちをを初心に戻してくれる場所がある、その幸せを噛み締めたくてお店に足を運ぶ。ラーメンを食べ終わって支払いを済ませ、味の余韻を感じながら店を出て外の空気を吸う。その瞬間、なんというか、自分の人生に確信が持てる。今のおれの人生、今までの生き方、間違ってなかったよな。

反面、ほんのちょっぴり切ない気持ちに胸がキュっとなる。そんな不思議な場所。聖地巡礼とかパワースポットとか、そんな大層なものではないけど、とても大切な場所。おれみたいにこのお店を自分の心の拠り所にしている人は、たぶんゴマンといると思う。特に何があるというわけではないのに。本当に不思議なお店。そういう存在。ラーメン一杯、たったの550円。それがメルシー。合言葉は「ラーだいカタ」。全人類が滅亡してもメルシーだけは永遠に存在していてくれ。

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