自分が知りうる、ラピッドサイクラーに関するネット上での情報まとめ。シリーズ2

結構、今回は頑張りました。
以下の文献には、ラピッドサイクラーのことが結構書かれていました。
普通のクリニックのHPでは書いていないことが多い。

引用文献
野村総一郎:双極性障害の治療,エビデンスと個人的見解.精神経誌,115(3);323‐328,2013

リチウムは多くのRCTで有効性が証明され,やはり第1選択薬としての位置づけは動かしがたいと思われる.しかし,リチウムには問題点も多い.(中略)どのようなケースで用いた場合に効果が期待でき,逆に期待できないのかを知って使用を決断することが大事である.(中略)一方で,①再発回数が10回を超えるケース,②混合状態,焦燥,不快気分が目立つ場合,③精神病像を示す躁状態では反応が良くないこととされている.

特にバルプロ酸は急速交代型(ラピッドサイクラー)へも奏効するという見解もあって、(RCTなど高精度の論文で証明はなされていないが),現時点では第2選択として用いられる場合が多い.

むしろ問題となるのは,抗うつ薬による躁転のリスクが高いこと(特に三環系抗うつ薬),また抗うつ薬を用いることでラピッドサイクラー化を始めとした経過の不安定化がもたらされるという見解などである.

維持療法に関しては急速交代型も問題となるが,これにはバルプロ酸の有効性が高いというイメージもあるものの,実際には維持目的で使用した場合,リチウムとバルプロ酸の効果に差がないとの結果も出ている2).むしろクエチアピンがバルプロ酸やプラセボよりも有効性が勝っているというRCTがあり8),急速交代型への維持療法として今後注目されるところであろう.ちなみにここでも,三環系抗うつ薬は急速交代を惹起する,と明確に記載されている.その他,ドパミン作動薬,エストロゲンなども急速交代化を誘発するという.

文献
2)Calabrese,  J. R.,  Shelton,  M. D.,  Rapport,  D. J.,  et al.:.A 20‒month, double‒blind, maintenance trial of lithium versus divalproex in rapid‒cycling bipolar disorder.Am J Psychiatry, 162;2152‒2161, 2005
 
8)Langosch, J. M., Drieling, T., Biedermann, N. C., et al:Efficacy of quetiapine monotherapy rapid‒cycling bipolar disorder in comparison with sodium valproate. J Clin Psychopharmacol, 28;555‒560, 2008

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