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啐啄 #50

「啐啄」

卵の中のヒナ鳥が殻を破って生まれ出ようとする時、卵の殻を内側から雛がつつくことを「啐」といい、それに合わせて親鳥が外から殻をつつくのを「啄」という。
雛鳥と親鳥が、内側と外側からつつくタイミングが一致することで、殻が破れて中から雛鳥が生まれ出てくる。

私の好きな言葉である。
焼き鳥屋さんでもお店の名前になっているところもあるようだ。

この言葉から、「啐啄同時」という言葉が生まれたが、その言葉について紹介していこうと思う。

両者の「啐」と「啄」が、少しもずれることなくピタリと同時に行われるというのが理想。これがすなわち、「啐啄同時」である。
これを言い換えると
「啐」は殻を破る者、「啄」は殻破りを導く者。
つまり、弟子と先生の関係であり、先生は弟子を上手に導かないといけないということである。

もしも親鳥が、雛が十分に成長する前に外から殻を破ってしまったら、雛は無事に成長できないかもしれない。
逆に、親鳥がいつまでたっても殻をつつかなければ、自分の力で殻を破れず雛はなかなか外に出られない。
下手をしたら、そのまま殻の中で力尽きてしまうかもしれない。
だから理想は、雛と親鳥の殻をつつくタイミングがちょうど同じであることが大切なのである。
それが「啐啄同時」だということだ。


早くもなく、遅くもない。「ちょうどその時」を逃さず、正しく導く。
親鳥である先生が雛である弟子を導くのに、タイミングを決して間違わず、絶妙の機を逃さないという意味だ。

「啐啄同時」
これは、子育てでも学校の先生や仕事の上司、どんなことにでも当てはまる。
その弟子の様子をしっかりと伺い、タイミングを合わせて導く。

理想の上司像として、「啐啄同時」は大切にしたい言葉である。

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