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テレビに出たい

ワタクシは子どもの頃からテレビっ子であった。
両親は共働きで、学校から帰ってくると家に一人。
おまけに友だちもいなかったので、放課後友だちと遊ぶ、なんてこともなかった。
習い事も「月謝を払うのは親だし、なんだか忍びない」と全く可愛げのない理由でやっていなかった。
寂しさを紛らわすため、テレビをつけて人の声がする、という状態を作っていた。
両親が共働き、鍵っ子、友だちいない、習い事してない、というテレビ好きになる条件が揃っていた。

二次元のアニメよりも、“人”が出ているバラエティが好きだった。
私はだいぶ早い段階でアニメから芸人が出ているバラエティに移行した。
そのため、同年代の子と昔見ていたアニメの話になると大体「???」となってしまう。
カード?キャプター?さくら???となってしまう。

本格的に芸人を志すようになったのは、中学生の頃。
当時、吉本が無限大ホールのライブを無料で配信してくれていて、私は毎日のようにこの配信を見ていた。
お笑いを見ていると、嫌なこと辛いことをその瞬間だけでも忘れられる。
私も、今の私みたいな中学生をいつか元気づけられるような芸人になりたい!

中学3年生の頃にとても印象的なことが起こった。
後の私の人生観にも関わるような、ショッキングなことが起きた。
3.11。
東日本大震災。

この時、とかくバラエティ界は「自主規制」の波がやってきていた。
お笑いは「不謹慎」とされ、放送予定だったバラエティ番組は次々に放送中止になった。
お笑いを見ることが生き甲斐だった私は、いや、こういう時こそ、お笑いって必要なのに…!と、心の中で思いながら、その波に悲しく飲まれていた。

徐々にバラエティも通常通り放送するようになり、ある時、生放送で、さんまさん、今田さん、ピカルメンバー(当時フジテレビで放送されていたコント番組・ピカルの定理に出演していた若手芸人たち。ピースさん、ノブシコブシさん、ハライチさん、モンスターエンジンさんなどが出演していた)
が被災地でボランティアでコントする、みたいなのをやっていた。
それを見て、私やっぱり芸人になりたい!と思った。
芸人になったら、テレビに出て、有名人になったら、もしも日本のどこかで大変なことが起こった時に、何か力になれるかもしれないんだ。
私もそういう大人になりたい!




そして年月が経ち、現在、
私は誠実フレグランスを組み、エロ漫才をやっている。
ネタを見た芸人に口を揃えて「テレビは難しいよ?」と言われている。
あれ?あれ?
テレビ出て有名人になりたいんですけど?
「下ネタは売れないよ?」
あれ?あれ?
めっちゃ売れたいんですけど?

ごめんな!中学生の頃の私!
今の私テレビは難しいらしいわ!!

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