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マッチ売りの少女と現代2

僕自身が就職活動の、ディスカッション形式の集団面接で、お題として「マッチ売りの少女」を提示されたことがある。マッチ売りを「ビジネス」と捉えた場合に、マッチ売りの最適解を討議するものだった。そのエピソードに触れたい。

マッチはどうやったら売れるのか

ディスカッションが始まって、最初に出た案は「値下げ」だ。当たり前の話だか、商品の販売において価格競争は最初に出てくる発想だ。しかし価格競争が利益の低下を招くことは自明のことで、競走相手が更なる値下げを断行すれば、最終的には資本力の差において少女が太刀打ちできるものではなくなる。

次の意見に僕は目を剥いた。
「例えば、マッチを胸の谷間に挟んでとかですね」
コイツ面接受かる気あんの?!
当時はブルセラショップというものがこの世に出現し始めた頃で、そういう所から得た発想だろうが、あまりにも大胆過ぎる発言だ。しかし付加価値を付ける考え自体は悪くない。

その後議論は営業のやり方に進んでいく。
ある者は例えば日本製であったり、商品のブランドを前面に打ち出すべきだと言い。
ある者は、マッチを使う場面を道行く人にイメージさせる。つまり必要性の喚起だ。

ここで脱落すれば個人面談にステップアップ出来ない。皆、熱っぽく持論を述べる中、僕はすぐに閃いた答えを誰かが言いはしないかと、ハラハラしながら議論の行方を見守った。何事にもタイミングがある。
このグループから一人も上に進めない可能性もある。絶妙なタイミングで最大のインパクトで意見をカマさなければならないと心に決めていた。
幸いな事に僕のアイデアは出なかった。

「では、まだ発言無い人は」
面接担当者がまとめに入る。
ここだ!僕は手を上げて言った。

「マッチ売りの少女にマッチ売りの少女の話をさせたらいいんじゃないですか」

グループの面々が息を飲んだのがわかった。してやったりだ。

僕は個人面談に進んだ。

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