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【トークLIVE書き起こし】 松本清張賞受賞作家・千葉ともこさんゲスト回・前編

松本清張賞受賞作家・千葉ともこさんにきく!
「激動の時代『個』の私たちは何ができるか?」

MC: 秋間早苗(エンタメ部部長/左上) &スニョン(韓国語推し活コーチ・女優/右上)
ゲスト:千葉ともこ(小説家/下)

■トークLIVE本編はこちら

秋間: 皆さんこんにちは。今日は松本清張賞受賞作家の千葉ともこさんをお迎えした特別会をお届けします。私はエンタメ部部長の秋間早苗です。

スニョン: 韓国語推しコーチで女優のスニョンです。よろしくお願いします。

秋間: スニョンさん、今回のゲスト・千葉ともこさんとのご縁について教えていただけますか?

スニョン: 千葉先生の最新作『火輪の翼』のプロモーションビデオのナレーションをさせていただきました。1分間のナレーションのために3部作を送ってくださって、全て読ませていただいたのですが、どの作品も大号泣!めちゃくちゃ感動して「これはみんなにシェアしなければ!」と思い、今回の企画が実現しました。

秋間: ありがとうございます。それでは早速、千葉ともこさんをお迎えしましょう!

千葉: こんにちは。千葉ともこです。よろしくお願いします。

秋間: 千葉さん、お忙しい中に登壇ありがとうございます。早速ですが、自己紹介をお願いします。

千葉: はい。千葉ともこと申します。2020年に『震雷の人』という作品で松本清張賞を受賞し、小説家デビューいたしました。2022年に2作目の『戴天』で日本歴史時代作家協会賞を受賞。今年3月には最新作『火輪の翼』を上梓しました。3作とも、中国の唐の時代を舞台にした小説を書いております。よろしくお願いします。

秋間: はい、ありがとうございます。そう、今ご紹介があったこの3作ともにですね、もう壮大な作品で、皆さんに一つ一つ を手に取っていただきたいんですけども、特に今回の最新作、先ほどスニョンさんがナレーションされたという最新作『火輪の翼』のPVをご覧いただきたいなと思います!
(PV再生)


人は戦争を終わらせることができるのか。中国の唐、玄宗の時代、 太平の世を揺るがす大乱、安史の乱が勃発。大唐帝国に反旗を翻したのは安史の二家。

俺は殺すことでしか事を進められなかった。ひとりでやろうと思うからそうなるー
私はきみがやろうとしていることを手伝って、ともに大義をなしたいんだ。

安慶緒と史朝義
怪物のごとき大乱の始末を負わされた安史の二世たち。
これは、英雄の息子たちの物語。
「震雷の人」で松本清張賞受賞、 「戴天」で日本歴史時代作家協会賞新人賞受賞の千葉ともこ最新作「火輪の翼」

ともに、春の嵐に踊らん。

秋間:うわあ。ということで、すごい先に読んでる私としてはもう泣きそう!
すごいですよね。このナレーション付きの動画について、ともこさん、一言是非かいただいてもよろしいでしょうか?

千葉: 本当になんかすごい役者さんがやってくださって。
本当にね、スニョンさんのすごい声、素敵。なんか声に惚れ込んでしまったんですよね。スニョンさんにやっていただけてよかったなと思っています。

スニョン:ありがとうございます。

秋間: ありがとうございます。
ほんとにね、「すごい声が透明感!」とか。「キャー!」と歓声がコメントに上がっております。ありがとうございます。

県庁職員から異色の作家デビュー!

秋間:この「火輪の翼」のお話も追ってね、この後半で色々とお伺いしたいんですけども。まさに今日、千葉ともこさんに今日のゲストとしてお越しいただいた理由として、この作家になる前のお話っていうところ、経緯というところがすごく、異色なんじゃないかなというところで、そちらのあたりから色々とお話伺っていきたいなと思っております。

実は県庁で働いてらっしゃっていた、とお話伺ったんですが、どのようにして作家の道を志されたのでしょうか?

千葉:そうですね、茨城県庁に20年間勤めてまして、 大学卒業してからその県庁に入って、そこと同じぐらい同時期に小説教室に通って、18年間小説教室で修行してデビューしたみたいな感じですね。

スニョン:18年!!

千葉:長いですよね。子供成人しちゃうみたいな。
えってすごい、我ながら思いますよね。よく諦めなかったなっていう。

秋間: この小説の教室に行くところと、実際に本当にデビューっていったところのきっかけになったことって、どんなことだったんですか?

千葉: そうですね、小説教室を選んだのは、宮部みゆきさんがOGで、その前身の教室に通っていて、宮部さんのことが大好きで大ファンだったので、 同じ教室通おうって教室を選んで入ったんですね。そして働きながら小説修業をしていました。 ただとても仕事が忙しかったんで、そんなにたくさん書けなかったんですよ。

それで、ちょうど出産をした時に、 なんか「このまま仕事が忙しい忙しいって言って小説を書かないでいると一生小説家になれない!」と思って。
出産を機になんでしょうね、次世代が生まれてしまったということで自分の人生、後半戦!みたいなところがあって。「もう本腰入れてやらないと作家にはなれない!」と思って、出産後に本腰入れてやり始めて。

でね、育児のサイクルって大体授乳とか4時間なので、1日を4時間で区切って、 夜の睡眠時間4時間って10時から2時までを睡眠って決めて。深夜の2時から朝の6時までを自分時間として、集中して小説修業する時間にして。
もう昼間になると、仕事とか、子供の世話とかあるので、(睡眠4時間生活で) 執筆というのを本腰を入れてやっていくうちに、だんだん新人賞の応募とかも、選考残るようになってきたっていう感じです。

秋間:すごい!!!

スニョン:その生活は何年続いたんですか?

千葉:何年なんだろう?もうなんかその頃の記憶がない。もう忙しくて笑。
記憶飛んじゃいますよね。ちゃんと説明できないです。

松本清張賞を受賞して作家デビュー

秋間:この本腰を入れたところをきっかけに、今最初にもご紹介した松本清張賞を受賞されたんですよね。

千葉:はい、そうです。松本清張賞受賞が2020年。その受賞でデビューですね。

秋間:そこから転職と言いますか、県庁職員からもう専業の作家さんになられたということですか?

千葉:そうです。(松本清張賞を)受賞したあと、どうしても県庁で自分でやりたい仕事があったので、2年だけは務めて、それあと専業作家になった、という感じですね。

もう 1回ちゃんと仕事を辞めて、小説家になる修行をしたいと思ってたんで、(受賞やデビューの前に)辞める準備はもうしてたんですけど。
それで、デビューしてから2年だけ県庁を務めて、一区切りしたところで、
専業作家になったっていう感じですね。

秋間:すごい!
「もう、先ほどの18年、すごいかっこいい」とか「4時間睡眠に恐れ入ります!」などコメントいただいています。
ご質問も来ておりまして、「4時間睡眠が定着するのに時間はかからなかったのでしょうか。体への影響はなかったんですか」と。

千葉:それ(体への影響)は大いにありまして笑。
4時間睡眠は授乳のサイクルだったので、定着は簡単だったんですけど、やっぱりその産後に無理するって本当良くないなと思っています。
ほんとにあれは一時期だけに絞ってやることで、長年やっちゃいけないって今思ってます。

だから無理しなきゃいけない時。「人生で今無理する時だ!」みたいなタイミングがやっぱり来るので、その時はもう期間をちゃんと区切って、その時だけ無理をするようにした方がいいなと思いました。
長々やることじゃなく、睡眠はやっぱりちゃんと7、8時間寝るべきだと思います。

ただ、やっぱり無理をしたあの時期がなかったらデビューはできなかったので、後悔はしておらず、ただ反省はしてます。もうちょっと体はいたわるべきだと思いますね。やっぱ寝るの大事です。

秋間: そうやってこのまま延長線上、小説の教室に通いながらの仕事では、デビューがなかったという時代から、やっぱりグッと"てこ入れ"と言いますか、本腰を入れたことで、 意識が変わったっていうのもあるかなと思いました。

小説家として作品に通底するテーマとは?

秋間:そして今度は、実際に作家になられてからのお話もぜひお伺いしたいです。

こちらの話題というと、作家になってからの、今やってるその作品群が「テーマがある」というところが、私自身すごく インタビュー記事とかで拝見して感動しました!ぜひ、このテーマの話、「なぜそのテーマにしたか」などぜひお話しいただけますか?

千葉: そうですね。よく言われるのは、小説家ってどの作品でも通底して、同じテーマで結局書くんだ、みたいな話を よく聞くんですが、多分自分の場合は、「個人は何ができるのか」っていうことなんだと思います。

県庁に勤めてた時も、東日本大震災があったり、リーマンショックがあったり、大きな災害などがあった中で、自分1人でできることって、 本当にないというか、「自分が非力だな」って感じたり、無力感を感じたり、ということがすごく多かった。その時に、 じゃあ何もやらないわけにはいかない中で、「個人っていうのは何ができるのか」っていうのを、役所にいた時代からよく考えていました。それが全ての作品に通じてるんじゃないかなと思っています。

じゃあ、作家である私個人として自分が何をしようと思ってるかっていうと、 世の中のだいたいの問題って、背景や原因に『孤独』があると思ってるんです。そして小説は、人の内面に入ることができる。親兄弟とか、親しい人でも入れない心の領域でも、物語はそこになんか入ることができるらしい。そう、小説書いていてわかってきて、その人の苦しみとかを書けたら、
その人は孤独じゃないって思ってもらえると思うし、面白いって思ってもらえたら、多分孤独じゃないんだろうなっていうのがあるんですよね。
なので、 そう。どこにいるか分からないですけど、たった1人の読者のために小説を書くっていうことを、最近は考えるようになっています。

特に今回の「火輪の翼」はそれを考えて、その人の苦しみとか心が洗われるような小説、面白い小説を書いて、 そのひとの居場所だって思ってもらえるように。「たった1人の読者のために書く」ってことを、今は意識して書いてます。
私もね、成長してるんです。小説家としてデビューした頃から、今、そこにやっと到達した。

秋間:「そのたった1人の読者は自分だった」と、読んでる最中の自分を思い出すと、今のともこさんのお話に胸熱です。
スニョンさんもよかったら読者としての 一言いただけますか。

スニョン:いや、だってこの作品には、すでにもうグサグサ刺されますから笑。
なんかこのキャラクターがたくさん出てくるんですけど、その1人1人の思いがどんな人にも当てはまるというか、もう全部共感!感情移入してしまいました。
自分も共感するし、共感してもらってるような感じがして。本当に、なんかすごく癒されました。ほんと浄化される本です。皆さんに読んでいただきたいです!

秋間: 私自身も個人的に、個人の無力感とか、大きなものに対しての理不尽な思いっていうのをどうやったら乗り越えるかっていうのが、自分ごとに思える題材ということもあって共感が大きかったです。
魂が揺さぶられるからか、読んでた場所、スターバックスの閉店間際まで食べることも忘れて、号泣しながら、あちこちから水を流しながら、読ませていただいたんです。読み終わった時の、洗われる感じ。デトックス感がすごかったです。よかったです!

スニョン :私たちビジネスする人も同じですよね。その1人のためにコンテンツを作ったり、レッスン作ったりっていうことをしてるからか、 同じようなシンパシーを感じます。

秋間:ご覧になっている方の中心は、女性企業家のコミュニティの方々で、今回は一般の方にも特別にオープンに開催した会でした。
何かことを為すっていう時に、起業だけじゃなくて、1人の人間として、日々日々生きることの中に、先ほどともこさんがおっしゃったような、「孤独に向かい合わなきゃいけない」「無力感とか、非力さとか、自分ではどうしようもない」って思うような場面も多いんだと思います。
誰もが、気持ちが落ちた時に、「それでも人ってやっぱりこれだけの力があるよね」っていうことを思い出させてもらえる。その装置というか、きっかけとなるこういう作品を世に出していただいて、もう本当にともこさんには感謝しかありません。

スニョン:笑!

千葉:よかったです。本当に。なんかそう言っていただけるとね、頑張って書いた甲斐がありますね。

>>後編に続く


「火輪の翼」購入サイト
千葉ともこ先生のX(Twitter)



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