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年に一度、この時期恒例の『藍の生葉染め』

藍染の原料『タデアイ』を摘んで、藍の生葉染めに

何年か前から藍染の原料『蓼藍(タデアイ)』を、うちの庭でタネから育て、葉を摘んで、友人たちと藍の葉の生葉染を楽しんでいます。
結構大変なので、年に一度だけ、9月にやっています。
今年は暑さや少雨の影響なのか成長が悪く、いつもは花が咲き始めているのですが、まだ花穂もついていません。
でも、なんとか藍染ができるくらいまで育ってくれました。

本来の藍染は、「タデアイの葉を乾燥させ、さらに発酵・熟成させて堆肥状にしたもの(すくも)を染料として使用」します。
うちでやるのは、「タデアイの生葉を水と一緒にミキサーで細かくして、青汁のような液体にして染める、生葉染め」です。

庭で育てた藍染の原料『タデアイ』、例年と違い、花はこれから。
でも花が咲く前の方が色濃く染まると聞いたことがあるので、ちょうど良いのかも。
茎から葉をもぎ取ります。すでに面倒な作業…
エプロン姿の二人は毎年参加の友人Wさん親子。奥は今年初めて参加の近所のMさん。
藍の葉を細かく切って、ミキサーで藍のジュースにします。

藍の生葉染め、いよいよ染め始めます

ミキサーで細かくしたら、布に入れ、濾して絞ると、藍の染め液ができます。何度かこれを繰り返して、たらいなどの容器に貯めます。
今年は手が多かったのと、タデアイが成長途中で柔らかめだったので、作業がスイスイ進みましたが、それでも、結構手がかかる面倒な作業です。

3人が頑張ってくれたおかげで、たくさん染め液ができました。
この量の藍液で、今回摘んだ葉の2/3を使いました。
「こんな風に布を広げて順々に浸して…」と説明するのは、私(帽子の人)。
みんなで一斉の布を浸していきます。
一斉にやるのは訳があって、入れるとすぐに染色成分が布に入り込むため、
時間をおいて後から入れたものほど、薄く染まるからです。
全部入れたら、また液の中で布を広げてあげたりして、満遍なく染まるようにします。
このまま30分〜1時間ほどつけておきます。
9月半ばを過ぎたのに、この日はまだ暑くて、、、
藍液に浸している間に休憩のアイスタイム。

近くの沢で、藍で染まった布を晒します

緑色の藍ジュースに布を入れると、先ずは緑色に染まります。これを水で洗って、干して空気に当てると酸化して、青に変化するのです。

洗うには水もたくさん使うのですが、うちはなんと良いことに、近くに洗い晒すのにちょうど良い天満沢(てんまさわ)があります。
葉っぱから作った藍の汁なので、川に流しても全く無害、自然環境は汚しまん。
また、染色した後の残りの液や搾りかすは、抗菌作用があって、ほかの植物にもいいそうで、私はいつもバラの根元に撒いておきます。

これから沢に行って、生葉染めした布を洗い(晒し)ます。
ここが天満沢、自然のままの沢の姿が残る貴重な場所。
今年は少雨で水が少ないけれど、枯れることはありません。
水に広げて洗い(晒し)ます。
私はいつも、帯の裏地(絹)を主に染めています。
今年もいい色に染まりそう。
 MさんはズボンとTシャツを染めました。
染色には絹や毛がオススメのようですが、
藍(の生葉)染では、綿でも結構よく染まることがわかりました。
Wさんは紬の着物を解いて、染めてみました。
洗い終えて、家に帰る途中。もう、山の向こうに陽が沈む頃かな。

こんな風に染まりました!

今年は結構濃い色に染まったかも。やっぱり、花が咲く前に摘んで生葉染めしたのが、良かったのかな?
水にさらした状態ではまだ青緑色、これを干すと青色に変化します。

こんな風に染まりました〜。左だけ綿のTシャツ、あとは絹です。
やっぱり絹が濃く染まるようですね。
でも、乾かすとまた少し薄くなって。キレイな青色になるので、
Tシャツも水色になるのかな?楽しみです!
これは、去年絹の帯を藍の生葉で染めて布で作ったサコッシュ。
元の帯が真っ白ではなく、ちょっとクリームがかっていたので、少し緑色を感じる青ですが、
上の乾かす前の『青緑』の状態にくらべると、『青』になったことがわかります。

今年もみんなで楽しく生葉染めできました。
いつも私は、残った液を捨てる(バラの根元に撒く)前に、次回に染める用の布を入れて、ほんんのり薄く染め上げおきます。来年もう一度濃い液に入れると、濃い色にしやすいからです。本当は2〜3回染めて濃くすると良いのですが、藍の生葉染めは年に1回しかやらなので、今年のうちから、ちょこっと下準備みたいな感じです。

並行してキハダ染、藍の生葉染とは方法が全く別、藍染はeco!

今年は藍染と並行して、以前いただいたキハダで染色液を作って染めることもやりました。うちの周りではキハダの木は見たことがありません。長野県の飯山から、知り合いが採って、繊維状に解いたものをたくさん送ってくれました。キハダは染色だけでなく、漢方薬なんかにもなるらしいのです。

木肌は煮出して、熱いうちに布を入れて1時間ほどおきます。そのあと、ミョウバンなどで焙煎液を作って、しばらく浸し、また元のキハダ液に戻して冷めるまで置きます。

向こうの鍋が焙煎液、こちらの鍋がキハダ液。
綿のブラウス、毛糸、絹の帯地を染めてみました。
とても鮮やかな黄色に染まりました。

実は、ほとんどの草木染めが、キハダ染めと同じ方法でやります。
液を煮出す→熱いうちに布を浸す→焙煎液(50度ぐらい)を作る→焙煎液に布を移す→もう一度元の液に布を戻す

ところが、藍染は工程が全く違って、まず、煮出す必要ありません。ミキサーの電気代はかかりますが、20〜30分ほど煮出したりするガス代に比べたら微々たるもの。

また、藍染は焙煎液もいりません。
焙煎液は鉄、アルミニウム、チタン、鈴、銅などの金属の入ったもので、色止め剤として使います。そんなに害のあるものではありませんが、これだと染めたものを沢に洗いに行けないかな。植物だけの藍液とは違います。

ということは、『藍染って、とてもエコな染色方法』なのです。古来から日本で行われてきた藍染って、素晴らしい〜!

来年は、タデアイの乾燥葉や、インド藍(木から作るそうです)でも、藍染やってみるつもりです。楽しみ!

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