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地域に根差したもの

11月上旬の日経新聞に興味深いタイトルを見つけた。「指揮界にフィンランド旋風」。教育や働き方など、日本はフィンランド流から学ぶという傾向がこれまでもあった。それがクラシック音楽、とりわけ指揮者の世界にも学べる、という内容。

注目されているのは、クラウス・マケラ氏。まだ26歳だ。2027年からはオランダのコンセルトヘボウで首席指揮者になることが予定されている。亡きヤンソンス氏が2015年までの11年間、このポストを務めていた。その後、ガッティ氏が後を継ぎ、27年からマケラ氏が就任するとのこと。

記事を読むと、ほかにもフィンランドの指揮者が様々な場所で活躍している。しかも、いずれもプロの楽器演奏者でもあるのだ。つまり「二刀流」であるということ。指揮者養成の指導がフィンランドならではだと日本シベリウス協会の新田ユリさんは解説している。

その新田さんは、シベリウス音楽院のトップから以下のような言葉を聞いたという:

「日本からも近年、たくさんの方が視察に来ます。でも教育は本来、それぞれの地域の文化や歴史に根ざして、独自に組み立てるべきものではないでしょうか」

日本は昔から海外のよきものを取り入れて発展してきた。それこそ開国の前からもそうだった。でも、やはりそれぞれの風習や価値観など、大切な部分もある。いたずらに海外のものだけに関心を向けるのではなく、足元の長所も大事にしたいとの読後感を得た。

(日本経済新聞2022年11月6日)

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