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内申点、偏差値、教育の罠

私は高校までしか行っていないので
大学受験について、偉そうに言える立場ではありません…

ただ、長男が高校受験、大学受験をする中で、
経験していないからこそ冷静に感じたことを
書きたいと思います。

まず最初の違和感。
高校受験の際の内申点。
長男は超真面目でしたが、忘れ物が多く、
また手を挙げて発表するということはほとんどなかったようで、
勉強はストイックに頑張っていましたが、
内申点が行きたい高校の点数に足りず、
心が折れてしまい、公立高校の受験は出来ませんでした。
かたや、近所の子は、やんちゃな感じでしたが、先生に内申点が欲しいと頼んで、思っていた内申点がもらえたと言う話しを聞いたりしました…
内申点て何なんだろう…
先生にゴマをすれるか。
先生に気に入られているか。
実際に賢くて、全てちゃんと出来て、内申点をもらった子もいるとは思います。
ただ団子状態の位置に居る子たちは、
とにかく要領の良い子、
先生たちが好む活発な子、社交的な子が、
内申点が良いイメージでした。
まだ純粋にテストの点数で判断された方が納得が行く気がしました。

次は大学受験の偏差値
長男は浪人したので2回の経験で、
私の違和感は確信になったように思います。

学びたい学部、なりたい職業が
きちっと見えている子は特に問題はないのかと思います。

ただ、まだ将来の事は何も見えてなく、
ただ大学に行くという目標だけで勉強を一生懸命やっている子。
うちの長男は、このタイプでした。

勉強は嫌いではなかったようで、
本当にストイックに勉強していました。
尊敬する程に、
とにかく真面目に勉強するタイプでした。

現役の時は、親子で訳もわからず
必死に受験に挑み、
海事科学部という色んな事が学べるという学部を受験しましたが、残念ながら不合格。
後期は合格しましたが、
本人が浪人を決めたので辞退しました。

浪人での受験の際に、大きな問題が起きました。
長男は理系でした。
以前から、工学部(機械系)だけはちょっと違う気がする。と言っていて、考えて考えて、
現役の時から工学部以外を必死に探し選択していました。 

浪人して一年じっくり考えて
現役で受験した学部とは違う
芸術工学部を受験すると
決めていたようでした。

理学部は、就職がないから。
不人気だから。と言う理由で、
最初から選択肢から外していたようです。
医学部は、また更なる学力や、それ相応の志が必要になるので選択肢には入っていませんでした。

実際に願書を出す時になって
同じ学部学科で前期と後期を出すとなると、
近くには同じ学部学科などない訳で、
後期はどうしても県外の大学にならざるを得ませんでした。
後期はデッサンや小論文だけ。と言うところばかりで、後期の試験内容まで確認していなかったようでもうそれは大変でした。
福岡に住んでいますが、
盛岡とか…、秋田とか…、
ビックリする土地の名前を出してきて
さすがに諸手を挙げて応援できなくて、
本人もここまできてまさか、後期で悩むとは思っていなかったようで、
もう絶望に近い状態になりました。

共通テスト後の大事な時期に…
デッサンなんかした事ない。
小論文も自信がない。
前期で合格すればいいけど、現役の時のような心に余裕はなく、追い詰められていました。

学部選びで失敗したのかもしれません。
甘かったのかもしれません。

でも、勉強だけで勝負しようとしたら、
とても勝てない現実。
勉強よりも大事なことがあるようだ。ということ。
前期はテストの点(偏差値)で判断されます。
ただ、後期は、学部によっては、
テストの点数(偏差値)はある意味必要ない。
その子が、その分野に特化しているか。
求められる人材は、ある程度その能力を備えている子だと言うこと。
勉強だけの子は、もし万が一合格したところで入学後に居場所はないのかもしれない…

その時になって色々調べてわかったのは
浪人してデッサンの予備校に通う子がいること。
芸術系の学部はデッサンが出来ないと、
入ったところで相当苦労する。

結局は何かに長けた人が合格する。
この学部で学びたいという強い意思と
それなりのスキルが必要だと言うこと。

現実を知ると
結局、悩みに悩んで
学部を変更せざるを得ませんでした。

実際、もう理学部しかありませんでした。
あの前期試験前の一番大事な時期に
大きな変更をしたことは、
精神面で大きなダメージでした。
自分が受験する理学部がどんな勉強をするところか…
これまでは、不人気だから。
就職がないらしいから…。
子どもたちの中でのそういう会話から
詳しく調べたことはなかったようでした。

『高校までの勉強とは別物でヤバいくらい難しい。
ついていけなくて留年する人と退学する人が
毎年2割程いる。』
今はそんな事は調べればすぐに出てきて、
目にしてしまいます。
そういったことを調べてしまい不安がつのってしまいました。
もちろん勉強も手に付かなくなりました。
合格したとしても、ついていけないかもしれない。
辞めるかもしれない。
留年するかもしれない。
合格していないのに、そんな事を言い出して、
もう絶望状態でした。

結果、前期試験は不合格。

後期試験は、何とか気持ちを切り替えて
合格することができ、
今はその後期試験で合格した大学に通っています。

受験戦争。と、言われるように、
本当に戦いです。

戦い方は色々あるようですが、
戦い方を知らない親子には厳しい世界でした。
これと言った得意がない子。
ただ真面目に勉強だけをやって来た子。
よほどの秀才は別ですが、
確固たる目標がなく努力だけで上を目指した子は偏差値だけで大学を選びます。
はっきり言うと、それしか選ぶ基準がありません。

一見同じ学部だと思っても
大学によって、学ぶ内容が違っていたりします。教授の得意分野があったりするそうです。
これ。という道が見えていない子は
学部を調べるだけで相当時間を費やします。
真面目な子は、そこも適当には出来ません。
大学の数も全国津々浦々ものすごい数あります。
学部の学科、学ぶ内容、就職先はどんな会社か。そんな事まで詳しく調べようとすると、
訳が分からなくなってきます。
将来を真剣に考えていればいる程、
勉強も必死にやってきた子こそ妥協が出来ないように思います。 
落とし処が分からなくなります。
長男は確実にそんな感じでした(^^;;

大学受験では
偏差値という指標だけでは、
最後の最後に何の助けにもなりませんでした。
それだけを頼りにして受験に挑んだら
何だか罠がいっぱいだな。と、
感じずには居られませんでした。

やりたいことがまだ見つかって居ない子が
大学の学部を選ぶことは
とてつもなく難しいことでした。
学部を妥協したり、
ある意味要領の良さが必要だったのかもしれません。

高校の内申点。大学の偏差値。
こういった国が作った指標は、
やはり闇や意図があったのだろうと思います。
その闇の波に乗るのは純粋な心を持つ子ほど、
容易ではないし、苦しみを味わうことに
なるのだろうと思います。

小さい時から塾に通い、大人が言う通りに
一生懸命勉強してきた子こそ、
偏差値で大学を選んで入学してから、
心から楽しめない。
自分がやりたいこととは違うかもしれない。
そんなモヤモヤを抱えているのではないか。
奨学金という借金まで背負わされて、
誰にも言えずにただ毎日が過ぎるだけの、
若者たちが沢山居るんじゃないか。
と思います。

これからAIが社会を席巻するようになったら、
いよいよ人間が働く場所が減ってくる未来は
すでに明らかになってきています。
日本という国の教育システムは限界が近いと感じています。
教育システムにどっぷり浸かり、
うまく行っていないと感じている人たちの
メンタルの限界も近いように感じます。
私は教育システムには浸かっていない人間なので、ある意味、融通がききます。
一生懸命勉強していないし、
大人の言う通りに生きてきていないので
常に自己責任の感覚があります。
でもずっと社会を信じて、そこに必死に順応してきた人たちは、やはり自分以外のところに
責任を見出だしてしまうように感じます。

幸い長男は、最後の最後にトラブルが起きたことで、
その時の最善の道に進めたように感じています。
もしその時に私たち大人のアドバイスを聞いて
意には反するリスクの少ない道を選んでいたら、何か嫌な事が起きた時にはアドバイスをした人に対して恨みになるのかもしれません。

長男が魂の声を見過ごさなかった。
周りの目よりも、自分の心に従った。
それが分かれ道だったと思います。

何が良いことなのかは、わかりません。
人生に起こることから何を学ぶか。
モヤモヤを抱え現状維持か、
リスクを背負って行動するのか。
私たちは常に試されているように感じています。

長男の頑張りのおかげで、
私たち家族も貴重な経験になりました。
長男は、親や祖父母、弟妹たちの、
期待を一心に受けて、
親が無知で情報がほとんどない中で、
全身全霊で大学受験という初の事に挑戦して
くれた事は間違いありません。

『工学部だけはちょっと違う気がする』
という、魂の声に従った結果の苦労だと思います。
あの頃は夫も私も
「工学部にすれば良いんじゃない。」と。
就職もいい、世間的にも評判がいい、
工学部に行ってくれないかなと内心は
思っていました。
長男の想いを否定こそしなかったものの、
工学部に行ってくれた方が親孝行だと、
心の中では思っていました。
でもそんな周りの無責任な言葉や思惑を
汲み取らずに、
自分自身のしっくりこない感じをちゃんと
感じとり、その感情を無視しなかったから、
今、大学生活が楽しめているのかもしれません。

結果的には前期よりレベルを下げた理学部に
入学したのでそれほど苦労はないようです。
そして幸い、その大学は1年目は理学部の学科をまんべんなく学ばせてもらえ、
2年時に自分自身で学科の選択ができる
素敵な大学でした。
偏差値だけに目を向けている時は
見えない世界がでした(^^;
一年前の絶望は何だったのか?と、
思う程に充実した毎日を送っているみたいです。

長男は、
二極の世界を味わい尽くしています(*´-`)

最後まで読んでくださり
ありがとうございました(*^^*)




未熟な母親でしたが、子育てでたくさんの学びがあったことに気が付きました。これからは子どもたちと一緒に私の人生の楽園も追及したいと思います(*^^*)