【詩】世界から零れ落ちる命が僕であれば
今日が終わるのをただ見ていた
夕陽が沈んでも月は出ず
そのせいか代わりか星が綺麗な夜だった
道端に落ちていたキーホルダー
主人の迎えを待っているんだろうな
僕にとっては薄汚れたガラクタのこいつは
無機質なのに何故か泣いていた
愛されて生きてきた
それが息苦しくて耐えられなかった
「世界から零れ落ちる命が僕であれば」と
思うだけ思うだけ
臆病な僕をどうか見捨ててはくれないかな
棄てられた先でただ独り消えたいだけ
ただ独り消えたいだけ
*
今日が始まるのをただ見ていた
命の色に染まりゆく空は
産声をあげているようで痛かった
眩しい光を浴びたのが僕なのは
罪か罰か或いは幸せなのか?
世界の何処かで生きてる誰かには
知られてもいない命(ぼく)だけどさ
捨てたいのに捨てられなくて
僕が背負うには重たいんだ
愛されて生きてきた
それが息苦しくて耐えられなかった
「世界から零れ落ちる命が僕であれば」と
思うだけ思うだけ
臆病な僕をどうか見捨ててはくれないかな
棄てられた先でただ独り…
ただ独りどうしたいんだろう
*
僕の手を取り幸せそうに笑う君
隣に君が居るそれは僕が始めた物語
ぽつり、ぽつり涙のような言葉を零しても
今更遅いんだよな
*
愛されて生きてきた
それが息苦しくて耐えられなかった
でも
頬伝い零れ落ちた雫を靴底に
明日を探してしまったんだ
臆病な僕とどうか共に生きてほしい
僕と君が歩む先でただ笑いたいだけ
僕の手を包む君の手が温かいから
生きていようなんて思ってしまったんだ
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