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それは誰のモノか

昔々、レクリェーション農園を借りていた。
10坪と15坪、何十か所かに区切られている広い畑地で
そこの10坪の畑地を5月から10月いっぱいまで借りて
耕したり植えつけたり収穫したり、本当に楽しかった。
露地だから収穫の時期にはお店でも安くておいしい旬のモノが出回るのだが
それでも作る楽しみと、農家のありがたみを感じるいい経験だった。
さて、畑地を借りてまずやることは
冬を越えて固まってしまった土を起こして
堆肥を入れることだ。
堆肥は近所のニワトリや羊を飼っていたところの
ワラやフンを積み上げた下の方
2年くらい経ったところを掘り出して
一輪車に積んで行ったり来たり何回も運んだ。
わざわざそんなことをする人は少なかったが
ほどよく「こなれた」堆肥の効果は大きく
夏ごろには土はふかふかになっていた。
そういうわけで私が借りた畑地は人気があって
…つまり、毎年行列して畑地を借りる手続きをするので
翌年も同じ場所を使えるとは限らない
っていうか、同じ場所になったことがない。
並んだ順番で、先着順に好きな区画を選べるのだ。
私が使った畑地は翌年になってもふかふかで
耕しやすいし、土が「ダマ」にならないと言っていた。
私は毎年コチコチになった畑地を
新たに労力を費やしてふかふかにしていたわけだ。

そんなことしてバカバカしいでしょう、と言ってくる人もいた。
毎年頑張って土を良くしても
次の年にはその畑地は別の人が使うのに、と。

自分は土を畑として良くしたくて、できることを好きでやっているだけで
土がそれに応えて変わっていくのが面白い。
それでおいしい野菜ができて
次の年に誰かがいい畑だと喜んでいるならそれでいいわけで。
そこの土地が自分だけのものでなければ手をかけない
というものでもないと。
あくまでも自分的に、ですが。

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