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雪之丞変化と菜種油の燃焼(2)

勉強

今ファラデーの「ロウソクの科学」を読んでいる。
3回目くらいだが、ようやく実感を持って読めるようになった。
自分が理科で“燃焼”を習った時代にはロウソクが使われたのだが
今でもロウソクは燃焼の理屈を教えるのにいい材料だと思う。
それは、ロウソクは
固体の“燃料”が
熱で溶けて“液体”となり
さらに“気体”となって燃焼する
という、燃料を個体・液体・気体の三態で観察できるから。
ロウソクの芯にマッチの火を近づけると
まず、芯に染みたロウが溶けて液体になって、そこに火が付くのだが
炎をよく見てみると、不思議なことに炎の根元の部分が
まるでそこに何も無いように透明に見えて、芯も真っ白で焦げていない。
何も無いように見えるが、ここに針金を差し入れてみると
針金にはうっすらと白いロウが付いていた。
ロウが炎の熱で気体となって芯の上部へと供給されていたのだ。
ロウソク本体の上・芯の根元の部分には
すぐに液体のロウが溜まってくるものだが
その中にはよく、焦げた芯の細かいカケラがあって
その細かいゴミが溶けたロウの“プール”の中をぐるぐると動き回っていたり
時々、芯に吸い上げられていくのを見た。
(あ、子どもの頃にはこんなに近いところが良く見えていたのか!)
このように
ロウソクのロウをはじめとして多くの燃えるものは
紙でも木でも炭でも石炭でも
熱によって可燃性のガスが発生して・そのガスに火がついて燃えるものだ。
要するに、モノを燃やすためには
可燃性のガスが十分に発生するように
そのモノの温度を上げなければならない。

で、問題となるのが
いかに燃やしたいモノの温度を上げるのか。

アウトドア大好きで焼肉は炭火でガンガンやりまーす♪
という方々は火の起こし方が良くお分かりかと思うが
それでも今どきはバーナーで直接炭を炙って燃やす!かな?
自分が子どもの頃はマッチの小さな火をもとにして
ストーブや風呂釜や焚火の大きな火を起こしていた。
経験的に、小さな火は大事に囲んでやらないと
すぐに「死んでしまう」と知っていた。
それは、燃え続けるためには
可燃性ガスを発生し続けられるだけの温度を保たなければならないから
と、今ならわかる。
簡単に焚火をする場合
燃やすもの・落ち葉や小枝の周りは石などで囲まないので
燃やすものが少ないと、なかなか燃え続けてくれないものだ。
これは、せっかくの熱がすぐに周りに逃げてしまっていたからだ。
だから、落ち葉や小枝をまとめて盛り上げて
そこの真ん中あたりにくぼみを作っておいてマッチで火をつけると
無駄なく効果的に小さな火の熱が生かされる。

さてそこで
「雪之丞変化」の油の大桶には
どうやって火をつけるのが正解だったのだろう。(汗
大きな桶の油の温度を可燃性ガスが十分に発生するだけ上げるのは現実的ではない。
第一段階として少量の油の温度を上げて燃やしておいて
その熱で順次ほかの油の温度を上げて
火を大きくしていかなければならない。
そもそも、火をつけた男の目的は店を燃やすことなので
ならば
大桶の下についているはずの栓を開けて適当に油を流れ出させておいて
さらには油をひしゃくで汲んでそこら中にまき散らし
うひひひ燃えてしまえなんぞとつぶやきながら
その油を手ぬぐいにでも含ませて行灯の火をつけて
上がりかまちでも階段のところにでも引っ掛けて置いておけば
可燃材でできた日本の家屋のことだ
一面に広がった油とともに次第に炎が燃え広がって
映画の絵的にもいいのではないか。
(物騒なこと書きました)

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