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かたはらいたい

言語
勉強

昔々、子どもと時代劇を見ていたら
「かたはらいたい」というセリフがあって
これってどういう意味?と聞かれたので
「笑いすぎて脇腹が痛くなるくらいばかばかしいって」
「それだけ相手をバカにしてるってことだよ」
あくどい大商人や権力者の武士が
無力な町民や農民をバカにして言う決まり文句の一つだったのだが
先日ふと思い出したので、改めて調べてみようと辞書を引いた。

新明解国語辞典第三版
かたはら[片腹]腹の片一方。→わきばら 
[―痛・い](形)[「傍痛い」の文字読みに基づく語]かたわらいたい。

かたわらいたい[―痛・い] (形)[ふだんを知っている自分からすれば]その人があんなえらぶった事をするなんて、おかしくて見ていられない。→かたはらいたい

えーと
チョとよくわからない。
おかしくて見ていられないのがどうして「かたわらいたい」になるのかな?

そこで、こちらも開いて見ると

広辞苑第二版増補版
かたはら-いた・し  [片腹痛し]〖形ク〗
(「傍」をカタハラと読んで片腹の意に誤ったことから起こった語)。
おかしくてたまらない。笑止である。
→かたわらいたし。口語 かたはらいた・い

かたわら-いた・し[傍痛し] 〖形ク〗(傍で見て痛く感ずる意)
みっともない。苦々しい。枕九十六「―き・もの。よくも音弾きとどめぬ琴を、よくも調べで、心の限り弾きたてたる」
気の毒である。源桐壺「うへ人、女房などは―・しと聞きけり」
きまりが悪い。はずかしい。源柏木「―・うて御いらへなどをだにえし給はねば」
→片腹痛し 口語かたわらいた・い

例文の枕草子
「ヘタな琴をイキってノリノリで弾きまくる(超意訳)」
って、ああーイタイイタイイタイイタイ(汗
(傍で見て痛く感ずる意)って
お清さん、鋭く心をエグってくるなあ。
で、これはアレだ
今に通じる「痛車」の「痛い」で「厨二」の「痛い」だ。
この「痛い」という意味・語感が
平安時代から続いているなんてスゴくないですか!?

そしてこの隣には似たような言葉の

かたわら-ぐる・し[傍苦し] 〖形シク〗傍から見て心苦しい。気の毒である。栄華松下枝「いかに聞き給ふらむ―・しげなり」

が載っていた。
痛いとか苦しいとか見ている傍の人もツライものですなあ。
結論として
笑いすぎて片腹が痛くなるというのとはちょと違ったなー(汗
そんなことを言うなんて鼻毛が笑っちゃうよー
ってやつだと思っていた自分が
エラそうに子どもに教えているところをモノ知る人が見ていたら
それこそ「かたわら痛い」状況だったぜ!
これぞ共感性羞恥心ですかね?
だけど・覚えたからヨシ!

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