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札幌軟石

勉強

以前ブラタモリで札幌を紹介していたのだが
札幌人の自分としては、まだまだタモリ好みの面白いネタがあるのになあ、と。
その一つが、硬石山と札幌軟石。
札幌には硬石山という山があって、明治の昔は硬い石を掘りだしていた。
「硬石山行き」というバス路線もあってそのバスが通る幹線道路が石山通。
札幌軟石という石でできた古い建物や塀がたくさんあって
明治から大正にかけての古い墓石にも札幌軟石のものが多い。
と、ここまででお気づきだろうか?(六角精児の声で
さてそこで
札幌軟石をたずねる見学会があったので行ってみたらば
石山通り沿いの札幌軟石を使った建物をいくつも見たり
軟石を採掘する現場に行って現在の機械採掘の様子とともに
昔ながらの手掘りのやり方を「最後の石工さん」が見せてくれたりと
非常に面白く軟石尽くしの半日だったのだが
ここで、衝撃の事実を知ることになる!
な、なんと、硬石山の石と札幌軟石とは違う種類の石だった!
札幌に生まれて半世紀以上、地理でも習ってたんじゃないかと思うのだが。
硬石山の石は溶岩からできた「硬い石」で、だから「硬石山」と呼ばれて
札幌軟石の方は、支笏カルデラを形作った大噴火の火砕流でできている
・・・げ、支笏湖からここまで来たんかい・・・(汗)
石山通りを挟んで、東側が軟石・西側が硬石だぞ、と。

札幌軟石をよく見ると大きな白っぽい「つぶつぶ」が見えるのだが

それが火砕流に混ざった軽石で、それがタテに長いか横に長いか
あるいは円に近いかで、その面の上下方向がわかる。
それは、地層の重みで柔らかい軽石がつぶされるから。
建物や塀になった札幌軟石の隣り合った2面を見ると
大抵は白っぽい軽石の部分が、円に近い面と楕円形の面とがあって

白い部分がタテにつぶれた楕円形

円に近い方が上下どちらかの面で・楕円形の方が地層の横方向の面なのだ。
鏡餅は上から見れば真ん丸で、横から見れば楕円形・・・のようなもの。
で、この軟石を切り出して札幌都心に運び出すために開いた道路が
札幌を南北に貫く西11丁目通り・その名も石山通で
石を運んだ馬車鉄道が現在の路面電車の基礎となり・・・
ナンテ話、すごくブラタモリっぽいと思うのだけど。

ちなみにこちらは古い札幌軟石のブロック。

いつも行っていた丘の上の喫茶店の植え込み部分だ。
この斜めに入った細いくぼみは
くさびを打ち込んで割取った石の面のデコボコを
ツルハシで削り落とした痕だ。
昔は大きな岩にくさびを一列に打ち込んで割取っていて
それから人が重たいツルハシでがっしがっしと仕上げていたのだ。
見学会では、ツルハシを使う人は一人だけになったと言っていた。
で、現在はチェーンソーで切り出しているので
書店の植え込みのブロックのように「つるり」とした面になっている。
自分の好みとしては、ツルハシの痕が残る方が好きなのだが
そりゃあ、疲れて大変だわな。
面の仕上げとしてはこれらの他に
ツルハシの先で細かく叩いたものもあって
これは仕上げに手間がかかったので高かったという。
見学会では「これです」と見せてもらえたのだがなぜか写真が無くて(汗
その後あちこち探して歩いたら見つけた ♪

開拓の顕彰碑の土台部分。
大切に残したかったから
手間のかかる丁寧な仕上げの石材を使ったのだなあ。

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