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雨戸と戸袋

自分の知る限り、今どきの家には雨戸がついていない。
冬に積雪・凍結する地域では
雪に埋もれたり凍り付いたりして戸の開け閉めができなくなるのだ。
以前三角屋根の家(落雪する)に住んでいた時には
ガラス窓が壊れないように冬の間中、板で窓を覆って守っていたな。
昔は家も冬囲いをしていたのだ。
だから冬は昼間でもうす暗くて
窓を覆う雪が溶けて沈みだすと板をどける日が待ち遠しかった。
あ、落雪する屋根だと今でも板で守っている家はあるな。
さてそこで
初めて雨戸を見たのは今から45年も前、横浜の下宿であった。
夜、部屋の灯りを点けていたら下宿のおばちゃんがやってきて
「ちょっと、アンタ、雨戸閉めないの?」(閉めなさい、の意)
部屋の外が明るいのに気が付いて見に来たのだと言う。
「???あまど???」
「アンタ、雨戸知らないの!?」
おばちゃんは部屋に入ってきて窓を開け
窓の脇からガタガタと木の戸板を引き出した。
「はあー!」
人生初の雨戸との出会いであった。
「雨戸って、どうして閉めるんですか?」
「はあああー!?」と、おばちゃん。
「アンタ、物騒でしょ!?」
そういえばドラマで見たことはあったなー
と思った19歳の自分。
まさに・異文化との遭遇であった。(遠い目)
そもそも
雨戸とは縁側の内側が・ウチと外との境界が障子だった時代に
家の内と外を区切って雨風を防いだり
外敵の侵入や強風で飛んでくるモノから家を守る“防護壁”だ。
使わないときに雨戸をしまっておく「戸袋」という存在も
この時・45年前に知った
のだが
戸袋と言う言葉にはナニやら覚えがあった・・・
月日は流れて
今頃になって思い出したのでござる。
そういえば札幌の実家には「戸袋」があった!
実家には縁側があって、庭側に二重のガラス戸がついていた。
で、「戸袋」は茶の間の隅にあって
扉を開けると食器などが入っていたので
子どもの自分にとって「戸袋」とは「モノ入れ」の意味だったのだ。
今思い出すに食器棚の作りではなく上下三段の押し入れのようだった。
下の段には古新聞や何かの当座使わないモノが入っていて
一番上の段はほぼ中を見ることも無かった。
考えてみると
戦時中に建った家だったので
本州仕様の縁側と雨戸と戸袋を備えた家だったのではないか。
外側を板戸、内側をガラス戸にしていたのを
戦後になって板戸をやめて内外ともガラス戸にしてしまって
戸袋はモノ入れに使えるように三段の押し入れ様にしたのではと。
子どもの頃は確かに縁側のある家は珍しくなかったな。(再び遠い目)
今度古い民家を見に行くことがあったら
縁側と戸袋に気を付けて見てみる所存でござる。

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