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普段の生活を維持管理する

よく作業的な動画配信を見ている。
家の片付け業者の動画、排水管清掃業者の動画ときて
今はナンと海外のビーバーのダムを崩す動画!
初めのうちは、ビーバーがいるところで見渡す限り平原で寒そうなところ
というワケで北米かと思ったのだが(英語でしゃべっていたし)
その英語に東ヨーロッパっぽい響きがあって
それで平原という事は、ポーランドかな?と思ったが
改めて動画をよく見てみたらバルト三国の一つ、リトアニアの人でした ♪
ポーランドの隣だよ ♪
さてそこで
この人はなぜにわざわざ
ビーバーが若木を齧り倒しては運んで
一生懸命にこしらえたダムを壊し続けているのか?
まずわかったのは
ビーバーがダムを作るとダムの上流側の水路の水位が上がって
畑や道路に水が溢れてしまうから、ということ。

ビーバーのダムと冠水

見渡す限り山が見えない平原に穀物畑が広がっているという
要するに高低差が小さい土地なので
ビーバーのダムで水位が1m、2mと上がっていくと
すぐに畑や道路が水をかぶってしまうのだ。
畑や道路を守るためには水位が上がらないようにダムを崩さねばならぬ。
ふむふむ
次にわかったのは
初め「用水路」だと思っていたのが実は「排水路」だった!ということ。
だってさ、日本でのこういった水路の多くは田んぼの用水路だから。
そこはどこまでも平たい土地なので、水がはけにくいのですな。
水路が無ければここは湿った平原で
人間や家畜が食べる穀物は生産できない。
ダムは崩しても崩しても「勤勉な」ビーバーがまたせっせと枝を運んで積み上げて、2週間もすればまたダムが出来て水路はせき止められてしまう。
「いたちごっこ」ならぬ「ビーバーごっこ」である。
積む、崩す、積む、崩す、積む…
それでも食料を作る・生活するためにはダムを崩し続けねばならぬ。
水路の維持管理作業は一見、何のためにと思える果てしない作業だが
それは我々の普段の生活でも
洗濯しても掃除してもまた汚れるし散らかるし
ご飯を作っても作っても食べたら無くなるしまたお腹がすくし
同じようなモノではないか。
維持管理作業は賽の河原である。

動画では主にイモ掘りフォークとスコップを手に一人で作業しているが
時に、重機が登場して一気に片付けたりしている
が、重機を使うという事はすなわち経費が・お金がかかるという事なのだ。

だから僕は手でやっているんだよ
ビーバーも殺したくはないよ
毎日できるだけ水路を開いているんだよ(ゆる訳

ビーバーが住んでいた土地に人間が入り込んで環境を破壊している!!
うんうん、そうだけど
ビーバーも人間が作った水路にダムを作っているワケで。
どちらが先だとか正しいかという話でもなく
自然の中では「圧」の強い方が押していくのだね。
人間の「圧」が自然を押しのけていっても
ひとたび人間の「圧」が弱くなればすかさず自然が押してくるのだ。

この動画を見ているのは、自分には現場作業と沢登りの経験があるので
作業中の手ごたえや厄介さや水の冷たさや水流の強さが実感できて
一緒になって作業しているような気持になるのと
作業音、風の音、中でも水流の音を聞けるということも大きい。
そして自分もそうだが

道路の雪解け水を排水口へ

この人もたまった水を流すのが好きだと言っている。
というワケで
最近はこの作業音と水流の音を聞きながら文章を書いていたのである。


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