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奇妙なお別れ

小さな怪奇現象

その1
地方の町に引っ越してほどなく中学校の同級生にばったり会って
お互い「何でここに?」と驚いた。
それから自分がまた引っ越すまでの短い間
ときどき会っておしゃべりをした。
自分がその町を出て数年後
その人のお母さんから、彼女が亡くなったと電話があった。
病気が再発してしまったのだ。
同級生はその町で私とおしゃべりしていたときが
一番楽しかったと言っていたと。
ばったり出会って、良かったんだな。

その2
地方から出てきた勉強仲間と
喫茶店でサンドイッチを食べながらおしゃべりをしていた。
今日は自分の使えるだけの時間をこの人のために使わなければならない
と、なぜだか切羽詰まったような気持になっていた。
駅まで見送ってお互い笑顔で手を振って別れたが
その3日後
その人のお母さんから、彼女が亡くなったという電話があった。
「救急車が間に合わなかった」
「タクシーで病院に担ぎ込めばよかった」
そんな話をぼんやりと聞いて
ああ、それでか、と思った。

その3
テレビから知っている名前が聞こえて思わず画面を見た。
散々泣いて・迷った末に、その人の家にお参りに行った。
帰り道、彼女は中学生のときのままの姿で一緒に付いてきて
私の部屋で中学校時代のバカ話をして二人で大笑いした。
そのうち突然、さびしそうな顔をして
「もう、行かなくちゃ」とつぶやいて
夕暮れのような世界に溶けるように消えて行き
私は真夜中の明るい部屋の中に
こちらの世界に一人、取り残された。

奇妙なお別れにつながる、3つの思い出。


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