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ヤドリギ

読書

「天駆せよ 法勝寺」八島游舷 著 東京創元社
をうかうかと買ってしまった勢いで

この作品の長編版の冒頭部が載っているという
「Genesis この光が落ちないように」宮澤伊織ほか:著 東京創元社
も買ってしまった。この本は「新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ」ということで現在進行形の選ばれし作家たちの選ばれし作品群を1冊で楽しめる楽しい本だ ♪
さてさてと楽しく読んだのだが
ある作品の中に一つ、違和感を持った言葉が出てきましてな。
それは
菊石まれほ氏の「この光が落ちないように」に出てきた
「トマリギ」という言葉。
作中ある機能を持った「木」を頭に植え付けられている「トマリギ」と呼ばれる存在が出てくるのだが作中の意味合いからするとこれはむしろ「ヤドリギ」あたりが自分としてはしっくりくると感じたワケでなぜなら止まり木だと多くは人工物なので作中の葉が生えていて新芽も出る様子だとこれは生きている木だよねーと感じたし葉がこんもりと繁っていそうな描写から自分の脳内に想起されたのはヤドリギの形状だったのでT字型のもちろん葉も生えていない止まり木ではなかった-あっ、要するに私はこう思ったけどアナタはどうかしら?というワケでぜひぜひ自分で読んでみてねー、であります。
さてそこでヤドリギですよ。
ヤドリギは「寄生植物」として良く知られていて、色々な樹木に取り付いてその木の栄養分を吸い取って生きているまあ評判の悪いw植物である。秋になって木が葉を落とすと「突如として出現する」ように見える直径30㎝から50㎝くらいの丸いボール状の緑の繁みを見かけたことはないだろうか。アレだでアレ。で、ナンで高い樹の上に生えることができるのかと言うと、ヤドリギは丸い実を付けて、それを鳥が食べて、木の上でフンをするとフンの中の種が木にくっつくのですな。ヤドリギの実の中身はずいぶんとねばねばしていて鳥の事だからそのねばねばのままフンもねばねばてれーっとタレ落ちて、そこらの枝や幹にくっついてしまうのですな。そしてくっついた種が木に根を伸ばしていくのですな。ただ、緑色に繁っているのからわかる通り葉緑素を持っているので光合成は出来て、寄生した木を枯らすまではいかず、実家住みでアルバイトして暮らすようなものですな。
ところがこのヤドリギは西欧では幸運の印でしてな。
それは冬枯れの木立の中で夏と変わらぬ緑の「ボール」を繁らせている姿が生命力を感じさせるからだとか。だから海外ドラマ等でクリスマスにヤドリギを束にして飾ってあったり、ヤドリギの下でキスをすると愛が永遠に続くなどというの見たことは無いですかな。
ああそうだ!ヤドリギと言えばフレイザーの金枝篇ですよ ♪
20歳の頃だったか、書店に並ぶ岩波文庫で「金枝篇」という名前に惹かれて購入したはいいものの、いや、確かに面白かったですけども!読み込むにはまだまだ知識量が足りませんでしたな。しかもその時売り場の棚にあったのは第5巻(最終巻)だけでヤドリギに始まり再びヤドリギに戻ってきた、といったことが書かれていたので是非に最初から読みたいなーと思って幾十年、もうそろそろ読まないと老眼ここに極まれり、でござる。
東京創元社さん、ありがとう ♪
Genesisのおかげでヤドリギまでたどり着きました。


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