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多分逃げたくなかった。ただそれだけ。(短編エッセイ)


4月1日。

例年より少し咲くのが遅く感じる桜の木を見ながら
私は慣れない土地を歩いた。


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頭いたい。
解熱剤の効きは悪い。
何より胃がキリキリして気が重い。
理由はとっても簡単。

1週間前上司がとんだから。


それはもうとてもとても大きなイベントを
丸っ切り放り投げて。
イベントだけじゃない多くの途中業務を投げて。


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当然ながら大きな混乱を招いた一件は
その出来事よりその翌週に控えた
大きなイベントに目が向いた。


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荒地の状態で逃げたくなった。
というか、もはや逃げても誰しもが納得する。
それくらいまぁやばかったわけだ。

でも起きてパソコンに向かう自分がいた。


泣きながら歯を食いしばって
業務に向かう自分がいた。


弱音を吐きながら準備をする自分がいた。


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連日いろんな部署から生存確認の連絡。
電車にゆられながら、
先週の自身の状態のヤバさを知った。


それでも逃げなかったのは多分プライド。
あとは逃げ癖をつけたくなかったのだと思う。


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今は逃げる時じゃない。


直感的にも思っていたのだと思う。
だから向かった。



腹を括った人間は強い。


なーーんて自分に言い聞かせて、
とりあえず大きな山場を私は終えたのでした。



春、始まりの季節。
無理をする必要や自分を傷つける必要はない。

でも鍛錬は必要。



このバランスを大事に明日もパソコンに向かおう。
さぁ、腹は括ったぞ。

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