胡瓜・蛞蝓        455-0/21Ⅳ


     胡瓜揉みぜんまい豆腐油揚げ  暦

 ぜんまいは晩春の季語で、季重ねである。胡瓜は晩夏の季語だから晩春とは少し開きがある。いただき物のぜんまいは、干してある保存食である。水でもどして使う。だから、私としては胡瓜の方をこの句の季語としたい。とは言え、胡瓜も今では年中売っているような気がする。
 これは、「料理と利他」という本に書かれていた和え物である。その本の「ぜんまいを薄味で煮たものと、きゅうり揉みとか、油揚げの焼いたものとか、胡麻と豆腐をつぶしたものをそのまま鉢に盛り込んで、自分で和えて食べる」という記述だけをもとに作ってみた。和え物は、食べるときに和えるのが最もおいしいと書いてあったので、おいしそうだな、作ってみたいなと思った。ぜんまいは麺つゆで煮て、きゅうりを薄い輪切りにして塩で揉んで、油揚げは短冊に切ってオーブントースターで焼いた。白ごまを擦って、豆腐は、つぶすのがなんとなくためらわれたので大きめの賽の目というか角切りというか一口大にした。味つけはどうするのか、まずこれらを和えて食べてみた。味は、きゅうり揉みの塩分と、ぜんまい煮の麺つゆ味で十分おいしかった。豆腐の無味がちょうどよかった。豆腐にこくがあっておいしかった。油揚げを焼くとサクサクするのだとわかった。油揚げを焼いたのは初めてだった。これもおいしかった。きゅうりもぜんまいもすべておいしかった。
 胡麻も一緒に詠むとすれば、「胡瓜胡麻ぜんまい豆腐油揚げ」。入れるとしたらここだろうな。もしやと思ったら、案の定「胡麻」は仲秋の季語であった。またこの料理を作りたいときにはこちらの方で思い出したらよさそうだ。


     ベランダの床板に蛞蝓の跡  暦

 蛞蝓の餌は何だろう。苺などを食べているらしいとは思っていた。基本的には、落ち葉、新芽、花、農作物などを食べるそうだ。どうしてここに上ってきたのだろうか。ここにあるのは洗濯物や土だけがはいった鉢だけである。


異存・難色の発声(4回でアウト)

 アウトだった。

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