三ツ矢サイダー

やりかけたままで放っておいたことがたくさん残っている。自宅には数百冊の本があり、そのうち二割ほどは読みかけである。全てに栞が挟まれている。幸せなことだと感じつつも、一刻も早くこんな状態からは抜け出したい。

今までに行った施設の入場券や、おもしろかった映画の半券などを捨てられないでいる。栞として使いながら、それらにまとわりつく思い出をついでにまだまだ味わおうとしている。こんなに栞を持っているからこんなに本を読みかけのままにしておけるのかもしれない。

二十年以上も生きてきたので、やりたいと思ったのにやらなかったことが山積している。曲を作ったり、絵を描いたり、本を書いたり、勉強したり、好意を伝えたり、感謝を伝えたり、もしどこかでやりきっていたらどんな人生だったろうと妄想する。それらしい理由を用意してすぐにやらない自分の悪癖に嫌気がさす。罪滅ぼしのつもりなのだろうか。無意識下に潜伏している自分の思考は狡猾で、なんとも自分本位で、怠惰なものだ。

読みかけの本も、買っただけの本も、優先度の低い仕事も、いつか必ず自分の時間を使いに来るから待っててねと折り合いをつけているうちに、その場を乗り切るのが上手くなってしまった。今まで都合よく手をつけたいろんなものに、意識の一部を切り離して栞として挟んでいる。挟んでそれきりにしている。報いを受けるかのように、最近の自分はもう、そうまでして何がしたいのか全く分からない。

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