猫は天使が座った場所を好む
「ロックンロールが世界を変えるところを見たくないか?」
奴は酔うといつもそんなことばかり言っていた。若い頃の夢を忘れられないというより、それ以外が全部夢とでも思っているような調子で。場末の酒場でカクテルベースにしかならないような安っぽいラムを呷っては、自作の歌を口ずさむ。その風体からは想像できない美しい声には全く惚れ惚れするしかないが、いかんせん一曲が短い。クラシックじゃねえんだから3分でも大作だぜ、なんて嘯いているが、たぶん長い歌詞が覚えられないだけだし、途中で飽きてるのが