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頼むからこの面白さを伝える努力をしてくれ!サガ エメラルドビヨンド体験版の感想。

サガ エメラルドビヨンドの体験版をプレイして面白かったので感想を書いています。

サガ エメラルドビヨンド(以下サガエメ)は6人の主人公がいますが、今回の体験版はプレイする機種によって選択できる主人公が違うという珍しい趣向になっています。私はSwitch版とPS4版をプレイしました。当然ですが感想は体験版をプレイした範囲のものです。

プレイした感想を一言で表すと、サガ スカーレットグレイス(以下サガスカ)の好きなところも嫌いなところも受け継ぎすぎていて、この8年間の歩みについて思いを馳せてしまいました。これはサガエメが面白くないという話ではありません。

まず特筆すべきはバトルの面白さです。アンリミテッド サガ(以下アンサガ)からサガスカへと進化したバトルのメカニクスは更に洗練されています。私にとってシリーズで一番好きなシステムになるかもしれません。

バトル中はサガスカから引き続き、タイムラインで表現された行動順があり、全員の行動を選択すると、順番に実行するフェーズに移ります。サガスカには誰かを撃破してタイムラインから消した結果、繋がったメンバーで連撃を行うシステムがありました。タイムライン上でこちら側のメンバーで挟んでいる敵を倒すと追加で他の敵に大ダメージを与えられるということですね。これはバトル中の形勢の天秤がガッタンガッタン揺れる良いシステムだと感じていましたが、この連撃システムは今回廃止されています。代わりに選択した技によってタイムラインに展開される連携範囲を繋げることで連携が発生するようになりました。

敵を撃破することで連撃が発生し、更に有利になることがサガスカの連撃システムの魅力であったわけですが、サガエメではその代わりに連携の後に更に追加で連携するオーバードライブや、敵を撃破することで更に長い連携になる可能性を秘めた連携奪取などの新システムによって脳汁感は維持されています。

更にタイムライン上で孤立したキャラが一人で強力な連携を発生させる独壇場というシステムは、終盤ピンチであろうと優勢であろうと気の抜けない刺激的なバトルを演出するのに貢献しています。敵残り一体でほぼ勝ちみたいな状態から、こちらが連携を発生させた結果、相手の独壇場を誘発してしまい、一気に全滅みたいな状況が現れたりします。もちろんその逆も。

この連携関連のシステムをベースに、チェイス、インタラプト、フォロー、プロテクト、カウンター、詠唱ターンが必要な術といったタイムラインに干渉する要素が絡み合うと、バトル中に様々なドラマが現れ、うわー楽しーとなります。バトルはサガスカと同じくロード待ちや演出含めてだいぶ重めですが、サガスカやサガエメはバトル自体が作業ではなく一つのイベントのようなものなので、それほど気になりません。バトルしてキャラや装備を強化し、次のバトルに備えるサイクルが刺激的です。

一方でメニュー周りの操作のレスポンスはよくありません。特にSwitch版はかなり気になってしまいます。PS4版もあまりキビキビしているとは言えませんが、PS4版が快適に思えるほどSwitch版は重々です。またメニューに表示させる情報や操作も整理されているとは言いづらく、ストレスを感じる場面が多くあります。例えば武具強化の画面では、一覧の時点でどの武具が今強化が可能かどうかがわかりませんし、強化するために必要な素材は武具をいちいち一つずつ選択しなければ分かりません。

そしてここからは私がサガシリーズに対していつも腹立たしく感じている部分です。

サガエメは、これまでの多くのサガシリーズ作品と同様に、エピソードを語るという点において余りに雑、適当、大雑把、無頓着、神経が通っていない、優先度が低い、どうでもいいと思っている、無関心(様々な言い換え)です。

これまでのシリーズ作に散見された唐突な導入、急展開、ほとんどやりとりもないままなぜか仲間に加わるよく分からないキャラクター(しかもその後深掘りは全く無い)、バタくさいイベント演出。今回次に行くべきところが完全に視覚化されているという乱暴すぎる簡略化の手法は、作り手のこの領域に対する興味の薄さを象徴しているように感じます。

https://www.gamespark.jp/article/2024/04/04/140065.html

あらゆる世界やキャラクターがごちゃ混ぜに存在する奇妙な世界観は独特の魅力を放っていますが、その世界観の魅力を説明する手つきは拙いと言わざるを得ません。これをシリーズの味とするのはシリーズ自体の尻すぼみの要因にしかならないと思います。

また、前述した奥深いバトルシステムをプレイヤーに理解させる導線も不親切です。プレイヤーが自らtipsや用語集を掘って読み込まなければその楽しみに気づきにくく、これも一見さんお断り感を醸し出してしまいます。書いてある内容も「何が起きるか」は書いてありますが「どう使えばいいのか」は全く書いてありません。典型的な開発者目線の文章になっているように感じます。手取り足取り攻略法を教えろとは言いませんが、他にはないシステムを搭載しているこのシリーズでは、ある程度プレイの指針になるような情報を提供しても良いのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、サガ エメラルドビヨンドは噛めば噛むほど美味しい、ちゃんと遊べばとても面白いゲームです。しかし一方で噛めば美味しいということを伝えようとする努力は不足している(あるいは成功していない)ゲームだと思います。アンサガからずっとこうだよ!

終わり。

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