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必要なのは一緒にDVDを観る時間だった。ペルソナ3リロードについて。

ペルソナ3リロード(以下P3R)をクリアしました。難易度ノーマルで65時間。P3Pをプレイ済みにも関わらず、強く心に残るスペシャルなゲームになりました。リロードしてくれてありがとう。

P3Rはその後の拡張版・移植版であるP3F、P3Pの追加要素をある程度取り込んだ上で、P3無印の大筋をほぼ変えずに2024年に作り直したリメイク作です。中身はほぼ変えず、プレイヤーが触れるガワが徹底的に新しくなっています。P5の流れを汲むグラフィック、オシャレと快適さを併せ持つUIと各種アシスト機能により、2024年のゲームとして見事にリロードされています。

昼間にコミュを進めた日の夜にタルタロスに行くとちょっとだけセリフが変わる。細かい。

P3の骨子の部分はそのままにガワだけを整え直すというリメイク方針には、P3そのものが、今でも十分に通じる普遍性や古くならない魅力に溢れているという自信があったのではないでしょうか。そしてそれは正しかったと感じています。
P3では全編を通して様々な死や別れが描かれます。その恐怖に立ち向かうストーリーには、他のナンバリングと比較しても強い普遍性があります。システムもわかりやすい。

一方でタルタロスだけはリメイクとしてやや残念でした。なんとか払拭しようとした跡は見られるものの、原作の問題点であった単調さは捨てきれていません。P4やP5ではダンジョンにその持ち主の内面が反映されているため、ダンジョン探索がストーリーを語る一助にもなっているのですが、タルタロスの探索は物語と直接リンクするものではありません。そのためタルタロス攻略中は物語進行が完全に止まってしまいます。ダンジョンの内装をリッチにしたり突発イベントを追加したとしても、結局やることは一緒なので単調さはどうしても感じてしまいます。バトルが快適になり、疲労や風邪の仕様が廃されたことでテンポよく進められるようになったことは嬉しいのですが。

本題

この記事はここからが本題です。

P3のメンバーは他のナンバリングのメンバーと比べてギスギスしている、距離感が遠い、ビジネス!とよく言われます。これはP3のメンバーだけ、他の作品の様に「集まった」仲間ではなく「集められた」仲間であることや、それぞれが重い過去を背負っていることが大きいと思います。(純平は何も無いのにああですね)

その感じがP3の味にもなっていつつ、そんな面々が困難を潜り抜けていくうちに本当の仲間になっていく姿が描かれるのですが、私が過去にP3Pをプレイした時はその辺りの流れにイマイチ乗りきれずに終わってしまった記憶があります。

しかし今回私は自分でもビックリするぐらい特別課外活動部の面々に心が近付いていました。それにはP3Rから追加された、夜にメンバーと一緒に時間を過ごせるイベントが大きく影響している気がします。このイベントは、同じくP3Rから追加されたリンクエピソードとは違い、メインストーリーには全く絡みません。また、そのキャラクターの意外な過去みたいなものも描かれません。(進めるとバトルで役立つ特性が手に入るメリットはありますが)

このイベントでは、タイミングが合ったメンバーとただ一緒にDVDを見たり、料理をしたり、本を読んだりするだけです。コロマルにはブラッシングもしてやろう。ただそれだけ。ただそれだけなのですが、単純接触効果なのでしょうか。そういう何でもない時間をプレイヤーの私も共に過ごすことで、少しずつ少しずつ、メンバーとの心の距離が近づいた様に思います。必要なのはドラマチックな展開ではなく、一緒にDVDを観る時間でした。

そうやって心の距離が近付いた上で過ごす気の重い最後の二ヶ月間。その中でも時々現れる楽しい時間。最後に私の中でこのゲームがスペシャルなものになったのは、終盤も終盤、1月29日のコロマルとの散歩です。

このイベントは選択式なので、1月29日に別の行動を選択して普通にスルーしてしまう人も多いと思いますが、今回私は運良くこのイベントと出会いました。1月29日に散歩を選ぶと、その日だけは全員で散歩に行くことになります。そこで描かれるのは本当に何でもない時間です。物語の最終盤に至って描かれるこの何でもない時間は、このゲームが語りたかったものを全て物語っている様に感じました。

なるほどなー

終わり。

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