労働衛生コンサルタント試験対策 筆記編 医師向け

割引あり

はじめに

ニッチな試験なのでしょうがないですが、この試験について真面目に分析したり、丁寧に解説している記事がなかったので自分の思っていることをつらつら書いただけです。
かなり真面目に試験対策をやりこんだと思っていますので、その感想を。

無料部分は労コンの概要、関係法令のみvs衛生一般+関係法令、勉強教材のレビューなど
有料部分は具体的な勉強法や、なぜかみんな強調しない試験の勘どころの鍛え方など。
いたって普通の王道勉強法です。
これを読んだら受かるというより、医師のみなさんなら、これを読んでこれ通り勉強したら受かるでしょという内容です。

王道勉強法ですし大した内容でもないので、Xでリポストすると無料で読めます。
めんどい方はご購入お願いいたします。

筆記試験概要

まず労働衛生コンサルタント試験は、試験区分が「保健衛生」と「衛生工学」が2分野があります。産業医の資格要件が労働衛生コンサルタント「保健衛生」であることや、医師で筆記試験の科目免除がされるのは「保健衛生」であるため、医師は必然的に「保健衛生」を受けることなると思います。

労コンは10月の筆記試験→1-2月の口述試験の2段階の試験となっております。

で、保健衛生の筆記試験は科目が3科目あり
①労働衛生一般(以下、一般)(択一式 30問)
②労働衛生関係法令(以下、関係法令)(択一式 15問)
③健康管理(記述式)
となっております。

医師の場合、①一般と、③健康管理を免除することが可能です。
つまり、筆記は②関係法令のみで受験が可能です。

合格基準は全体合わせての正答率60%以上です。
各科目が60%を割っていても全体で60%以上なら合格です。

「産業医学講習会」を受講できた先生はこの3科目が全て免除可能なので、筆記試験は受けず、口述試験のみでの受験が可能です。
※試験案内に書いてある厚生労働大臣が指定する者(法人に限る。)が行う講習はこの「産業医学講習会」のみです。

関係法令のみ or 一般+関係法令 結局どっち問題

自分は関係法令のみを受けました。この関係法令のみにするか、一般+関係法令の2科目にするかの議論は絶えません。
(健康管理は記述式でさすがに労力がかかるためほぼ全員免除している)

この問題の前提として、
関係法令は15問、衛生一般は30問
合格基準は全体の得点率60%以上なんで、
関係法令のみだと15問中9問以上で合格、8問以下なら不合格。
一般+関係法令だと、関係法令8問しか正答してなくても、一般で19問以上カバーしてたら、27÷45=60%以上で合格。
一般:難易度は関係法令より簡単、医師にとって馴染みがある
関係法令:一般より難しい、馴染みがないので勉強しにくい
という前提があります。

自分なりの結論を先に書くと

勉強時間の確保が保証できないのなら関係法令のみ
勉強時間が十分に確保できるのなら一般+関係法令

を推奨します。

自分も関係法令にした理由は「1科目だけのほうが勉強量少ないでしょ?」という単純な考えでした。出願時の7月には決めないといけないのですが、その時点では試験を真面目に勉強/分析する前だったので、めちゃくちゃ安易な考えでした。

とりあえず出願時までに柳川先生のサイトの試験解説のページは読み込んだほうがいいです。

関係法令のみだと15問中9問正解しなければならないというプレッシャーがキツいです。15問中9問というのは真面目に勉強してたら本来そんなに難しくない点数なのですが、関係法令をやりこめばやりこむほど試験対策の天井が見えてきます。そして、結局点数がその年の試験難易度にある程度左右されるのが分かってくるので不安になってきます。
過去問10年分やっても全部で150問なのでやることがなくなってくるので、本番難化したらどうしようと精神的に不安になってきます。むしろそこまでいくと衛生一般の知識も勝手についてきたり他の勉強する余裕が出てくるので「衛生一般受けとけばよかった~」という思考になってきたりします。
ただ、真面目に勉強していたら15問中9問はめちゃくちゃ難しいわけではないです。

衛生一般は医師からすると関係法令よりは馴染みがあるため勉強しやすいですし、6割以上取ること自体はそんなに重圧にならないと思います。
そして、衛生一般の知識は口述でも聞かれることですので、口述対策のアドバンテージにもなります。
けど、衛生一般も受けると間違いなく勉強量は増えるというこれもまた矛盾。関係法令のみのほうが間違いなく勉強量は少なくて済みます。

で、提案としては勉強時間を(4月くらいから)まとまって確保できるかどうかで判断を。多くの人は出願の7月くらいから本格勉強すると思いますが。

・勉強する時間あまり取れないしなるべく無駄なく最小限の労力で合格したい。口述はまあ筆記終わってから考える。
→関係法令のみ

・勉強する時間も十分あるし確実に安心して合格したい。口述も余裕をもって対策したい。スーパー王道勉強法。
→衛生一般+関係法令


勉強教材の紹介・レビュー・使い方


・わかるわかる衛生管理者第一種試験  おすすめ
・図表でわかる衛生管理者の合格の知識  おすすめ
・衛生管理 上  労働衛生一般の教科書的な立ち位置
・衛生管理 下  関係法令を抜粋・まとめたもの
・職場の健康がみえる
・作業環境測定士・労働衛生コンサルタント等資格取得のための労働衛生関係法令の要点の解説
・スッキリわかる衛生管理者第1種

労コンは本当にまとまった教材がないです。そのため多くが衛生管理者試験の教材を使うことになります。そして、どの教材もそうですがこれ1冊をやったら労コンレベルの知識を網羅しているというのがなかなかないです。それぞれの教材がそれぞれどこかの各論の記載が甘いので、「この教材はここの解説全然ないじゃん、あっちの教材はここの解説詳しいけど別のところ少ないじゃん」みたいな感じになります。
その中でもよく紹介される「わかるわかる衛生管理者第一種試験」「図表でわかる衛生管理者の合格の知識」が労コン対策としてある程度網羅されています。ただし改定されておらず若干古いのでところどころ間違っているところがあります。ただそれでも他の一般的な衛生管理者試験対策本は有害業務の記載が足りなさ過ぎて、結局この2冊を使わざるを得ないという感じです。
そのため、自分で書き込んだり、改正ポイント確認したり、必ず厚労省や労基の各種リーフレットを参照する必要があります


・わかるわかる衛生管理者第一種試験  おすすめ
比較的細かいところまで網羅しているのと、コラム的に書かれた解説が良い感じです。他の書籍は解説が乏しくてただの羅列になっているのでめちゃくちゃ勉強しにくいんですよね。
関係法令だけであれば関係法令の第1章~12章だけ読めばOKです(13章の労働基準法は基本的には読まなくてOK、過去の労コン試験で出題されたことがないです)。
問題もついていますが問題は個人的には最初やらないほうがいいと思いますし、究極最後まで無理にしなくてもいいと思います。一周目通読の段階でやろうとすると、あまりに細かすぎて挫折します。問題の構成も分かりにくいのと、解説もなく○×しか書いていないのでいわゆる試験の勘どころが鍛えにくいです。いい意味でも悪い意味でも網羅的に問題が書かれてしまっているという印象です、例えるならイヤーノートのクイックチェック的な感じです。
究極ここの問題はやならくてもいいと思いますし、やるにしてもある程度過去問などをこなし勘どころをすでに鍛えた上で知識の確認・補強の意味合いでやったほうがスムーズだと思います。

・図表でわかる衛生管理者の合格の知識  おすすめ
労働衛生の重要ポイントがまとまった書籍です。労コンレベルでかなり細かいところまで網羅していますし、重要ポイントがちゃんと赤字で強調されています。赤字めちゃくちゃ重要です。解説とかは載っていないのでどちらかというとまとめノート的な感じですかね。ただこれも古いです。改正ポイントは確認したほうがいいです。
試験勉強って見返すものを一冊にまとめたいんですけど、「わかるわかる」に書き込むか、「図表でわかる」に書き込むか、どっちかだけにまとめるのは現実ムズイです。
前述の通り、どっちもそれぞれ足りてないところがあるので。
自分の場合、どちらかというと文字が好きですし、最初に「わかるわかる」を通読し「わかるわかる」に目が慣れてしまったので、基本は「わかるわかる」に足りないところを書き込んで、分野によって(特に粉じん則、電離放射線、鉛則、高圧則)は「図表でわかる」のほうで覚えてたりしていました。結局一冊にまとめることは出来ませんでした。ノートを作ってもいいかもしれません(自分はノート作り嫌いなタイプなので作りませんでした)。
各有害業務は一般的な衛生管理者試験対策本だと対応できないしほとんど記載ないことが多いのですが、「図表でわかる」は労コンレベルで網羅しています。


・衛生管理者 上 
労働衛生一般の教科書的立ち位置。
労働衛生をこれまで触れてこなかった方に対して「労働衛生ってこういうのなんだ~」を学ぶための、労働衛生の概要を掴むために最初に1周通読するものです。読むとしても覚えるのではなく最初にさらっと読めばいいです。衛生一般を受ける方はこれが教科書になると思います。
みえるシリーズを読むか、こちらを読むかは、好みの問題。
こちらは基本文字ばかり、みえるシリーズはイラスト多数です。

・衛生管理者 下
いわゆる関係法令の抜粋集、ミニ辞書的なものです。全部読むものではなくて、調べものに使うものです。個人的には中途半端でした。問題解いててその関係法令をこれで調べるという使い方になると思うのですが、重要どころをまとめているのでほとんどは載っていますが、たまに載っていないものがあったり、全文が載っているわけではないので、知りたい内容が知れなかったり、個人的には中途半端に感じてしまいました。
関係法令そのものの解説もないです。
持ってて悪いものではないですが、調べものに使うのに調べきれないし、結局ネットで関係法令集全文見たり、各種リーフレット、HPを調べたりするので、これ一冊で関係法令全部まとまっているかというとまとまってないので中途半端という印象です。

各有害業務の作業主任者テキストの関係法令は解説付きで個人的には最高に分かりやすいですが、それぞれ買うのも馬鹿らしいので、おすすめもしません(自分は有機溶剤と特化物の作業主任者講習受けていたのでたまたま持っていただけ)。
関係法令で分からないところはこれで調べたり、普通にネットで調べたり、各種リーフレットを確認し、その都度メモを書き込んでいくという感じになると思います。

・職場の健康がみえる
いわゆる「みえる」シリーズですね。
労働衛生とか産業保健全く触れたことない人が最初にイメージ掴むためにさらっと読むものです。最初に読むものですが時間かけないほうがいいです。
「衛生管理者上」か「みえる」どっちか一冊でいいです。
文字が好きか、イラストが好きか、好みの問題です。
自分はみえるも買いましたが、結局全く使っていません。

・作業環境測定士・労働衛生コンサルタント等資格取得のための労働衛生関係法令の要点の解説
唯一労コンの名前を冠した問題集。自分は労働衛生上とわかるわかるを通読したあと、これをしましたが、無理にしなくてもいいかなーと思います。過去問の重要問題を抜粋・解説しているものです。解説も丁寧ですし分かりやすいのですが、タイトル通り要点の解説なので量が圧倒的に少ないですしこれ1冊では太刀打ち出来ません。言うても過去問抜粋なので過去問でええかと。薄いですし、解説は分かりやすいので、後で過去問やりこんでからパラパラ眺めてると、ふむふむ良い解説してるなーとは感心します。

・スッキリわかる衛生管理者第1種
衛生管理者試験の参考書で1番売れてるやつ。ただし有害業務が労コンレベルで太刀打ち出来ないのでなんともびみょー。買ってみたけど使わかなかった1冊。
→結局「わかるわかる」「図表でわかる」に落ち着いてしまうという結論に。


なぜか強調されないポイント 勉強教材


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