【詩日記】 八月

八月
 
 
 部屋のカレンダーが八月で止まっている
 そういえば今年は夏以前の記憶がない
 もうすぐ今年も終わろうとしているのにな
 出会うはずだったあなたにさようなら
 この後の人生も楽しく過ごしてね
 
 いらないって日本語が
 稚拙でストレートで好きだ
 この世で一番最初に覚えた言葉
 だからあの日も口をついて出たんだ
 
 僕は今、あの日見つけた感情を探している
 羊文学とマユリカのラジオの
 ちょうど真ん中あたりで見つけたはずなんだ
 三歩歩いたらもう忘れた
 振り返っても何もなかったよ
 
 生きるためだけにちゃんとする
 ちゃんとしているうちに
 だんだんと身について
 自分が誰だったのか忘れてしまう
 最後に記憶喪失の『社会人』が出来上がる
 
 毎日同じ場所に通ってニ週間目に吐きそうになって
 みんな大人になったらつまらなくなるんだと思った
 そうしたら今年の夏が頭に溢れてきた
 思い出したくなかったから
 また吐きそうになった

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