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聴覚障害者のわたしが実践している!映画を楽しむ5つの方法

映画鑑賞が趣味、という方は多いのではないでしょうか。かくいう聴覚障害のあるわたしも、ふと時間ができたタイミングに映画鑑賞をすることが、よくあります。

ところでみなさんは、聴覚障害者がどのようにして映画鑑賞を楽しんでいるかご存知ですか?今回は、聴覚障害者のわたしが、実際に映画鑑賞をするときに実践している方法をご紹介します。

補聴器は、機械音声を聴き取ることがニガテです。

わたしは、左耳の聴力が活用できるため、左耳に補聴器を装用して生活をしています。前回の記事のように、日常会話では相手の口の形を読み取ったり手話をしたりしながら話の内容を理解しています。

でも、それができるのは、対面のときだけです。

補聴器には、肉声を聴き取りやすくするためのプログラムが内蔵されています。しかし、映画のような「機械」の音声は、全て「言葉」ではなく「音」として補聴器に認識されてしまうため、聴き取ることがぐっと難しくなります。

また、映画の画面には、話し手以外にも登場人物や風景描写など、様々な情報が散りばめられています。台詞の話者だけに注目してしまうと、映画全体を楽しむことが難しくなってしまいます。

そこで、わたしは、以下の方法で映画を楽しんでいます。

1.日本語字幕で上映されている映画を鑑賞する。

わたしが一番よく使う方法は、「日本語字幕」です。洋画を観に行くと「日本語字幕」と「吹き替え」から選択することができますよね。その、「日本語字幕」です。

洋画には、ほぼ必ず「日本語字幕」での上映があります。また、「洋画は字幕でみたい!」という聞こえる人も多くいるため、友達やパートナーとの自然に映画を楽しめて、大変便利です。

聴覚障害を隠しているわけではないけれど、聞こえる友達やパートナーと一緒のときは、映画を鑑賞する時間くらい自分がきこえにくいことを忘れたいなぁと思うこと、あるんです……よ。笑

2.聴覚障害者用「バリアフリー字幕」の上映会に鑑賞する。

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アニメはジブリ派のわたしは、『思い出のマーニー』も『風立ちぬ』も「バリアフリー字幕」を使って鑑賞しました。

「日本語字幕」は、外国語を聞き取ることが難しい人に向けて、日本語での字幕がつけられている映画ですよね。一方、「バリアフリー字幕」は音声を聴き取ることが難しい人に向けて、音声情報を字幕として提供されている映画です。

「日本語字幕」では、英語で話されている部分だけが文字として出てきますが、「バリアフリー字幕」では鳥のさえずり、ドアを閉める音なども字幕として提供されます。

わたしの好きなジブリは、自然の描写がたくさん出てくるため、字幕を見ながら音で表されている描写に思いを馳せています。

ただ、
・劇場公開映画における「邦画・アニメーション」の聴覚障害者用字幕の付与率は現在10%前後
・上映される映画館が少ない
・上映期間や上映時間が決まっている
という事情もあって、バリアフリー字幕が利用できる機会は、限られています。

例に挙げた『思い出のマーニー』や『風立ちぬ』は市内で1館、たった5日間(しかも平日)朝8:00〜の回しか上映されませんでした。そのため、鑑賞したい映画があっても、仕事や学校を休むわけにもいかないために、泣く泣く諦めたことも数多くあります。

3.金曜ロードショーでの放映やDVD化を待つ。

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「バリアフリー字幕」での上映がなかったり上映期間中に映画館へ行けなかったりしたときは、金曜ロードショーでの放映やDVD化を待ちます。

テレビが地デジ対応になってから、多くの番組に字幕がつくようになってきました。金曜ロードショーもその一つ。ほぼすべての放映に字幕がつくので、楽しみにしています。といっても、上映から1年以上は待つことが多いのですが。

また、DVD化するタイミングで字幕モードがつく場合もあります。しかし、「バリアフリー字幕」での上映自体がなかった映画や昔の映画には字幕が付いていないことも多くあります。レンタルや購入の際には、パッケージに「字幕」と記載されているかどうかを一旦確かめています。

4.「バリアフリー字幕」アプリを利用する。

泣く泣く邦画やアニメを諦めていたわたしたちにとって、夢のようなアプリ「UDCast」(✳︎1)が2014年に開発されました。現在は、「バリアフリー字幕アプリ」として「UDCast」「HELLO! MOVIE 」(✳︎2)の2つのアプリが使われています。

これらは、字幕や手話の表示、音声ガイド再生等を行うことのできる無料アプリケーションです。このアプリを使うと、専用のメガネや自分のスマートフォンで自分だけ「バリアフリー字幕」をみることができます。

以前、「UDCast」を利用して『マチネの終わりに』を鑑賞した際のnoteはこちら

これも「UDCast」と「HELLO! MOVIE 」に対応している映画しか見られないのですが、今話題の『鬼滅の刃』をはじめ、話題の邦画の多くが対応しています。

何よりも、日時の制限なく「バリアフリー字幕」を利用できる!わたしたち聴覚障害者にとって夢のような話が現実になりつつあるのです。テクノロジーってすごい。

✳︎1:UDCast

✳︎2:HELLO! MOVIE 

5.手話で撮影された映画を観る。

音声言語で撮影される映画がるように、実は、手話を使用して撮影された映画もあります。

これらは、手話を中心にストーリーが展開していくため、聴き取れなくてもみて楽しむことができます。日本語字幕も付いているので、手話がわからない人は字幕と一緒に楽しむことができます。

主人公に聴覚障害者が取り上げられることも多い、手話での映画。わたしたち「音のない世界」の住人の見る世界を垣間見ることができるかもしれません。鑑賞された方は、ぜひわたしと感想をシェアしましょう!

まとめ

わたしたち聴覚障害者は
・日本語字幕
・バリアフリー字幕
・金曜ロードショーやDVD
・バリアフリー字幕アプリ
・手話で撮影された映画
を鑑賞することで、映画を楽しんでいます。

「地デジ化」や「アプリの開発」などといったテクノロジーのおかげで、わたしたちも様々な映画を楽しめるようになってきました。

聴覚障害者の中にも、趣味を映画鑑賞とする人はたくさんいます。これからも、わたし達もきこえる人たちのように「みたい!」と思ったタイミングでみられる映画が一本でも増えていってくれると嬉しいです。

そのためにも、わたしは、発信し続けるんだ。

        ✂︎「字幕」とわたしの物語はこちら✂︎
UDCastで「マチネの終わりに」を観てきたよ。
狭間をぴょんと飛ぼうとするとき、世界はちょっぴりやさしく、輝きを増すのかもしれない。
目で理解するわたしと記者会見のこと。

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