「君の名は」を観る。感想(後半ネタバレ)

「君の名は」を観る。
色々つじつまは合わないけど、周りのひどい評判を覚悟で観てみると、案外良かった。
大ヒットするのはよく分かる。だいたいメジャーヒットってとっても良くできた凡作なんだよね。にしてもつじつま合わないけど、この世界観では記憶は都合よく忘れたり思い出したり閃いたりするものらしいから仕方ないか。



ここからネタバレ含む。

新海監督独自の風景描写と自然描写で、時が止まったような情緒的なストップモーション・スローモーションシーンと、音楽に合わせてテンポ良くよけいな説明を省いてばぁあと流してしまう。もしくは説明シーンをぶったぎって場面展開するのは。「上手いなぁ」と素直に関心してしまいましたが、人によっては「説明不足いや放棄」であり「それ省いたら何でもアリじゃん」という感覚で「ずるいなぁ」と思われるかもしれません。
実際に、なぜこの二人だけが特殊能力というか境遇になったのか?その説明も一切ありません。確かに科学的には神社の境内を抱き合って転げ落ちるくらいの理屈なら、いっそいらない、ちゅうのもありますけどね。物語上ではそれは「運命の二人」の定義付けの儀式なわけでそれさえもない。別の時間と空間にいたたまたまそうなった他人の二人。というのは納得いかない。といえばいかない。女の子は「この時」に村を救うために代々用意されていた時限装置だったとしても、男の子なしには成立しない機能なので男の子はただの無作為抽出だったかしら?(もとは同じ血筋とか設定あった?)この男の子が女の子に恋をしなければ、ある意味成立しないので、無作為抽出された、ただのオッサンだったらどうしたんだろう?ボクなら探しに、いかないかもよ。とは思います。
またあちこちつじつまが合わない部分はあるのだけれど、一番は組紐のブレスレットがいきなり出てきたので、とまどっていたら三年前に彼女から送られたもの・・・・・という種明かし。
それまで、してなかったよね?。それにそれなら彼女の方は彼の事はすでに強烈に意識していたわけで入れ替わった次点で「あ!たきくん!」になったはずだよね?*(後で修正)
まぁそこは、コメントで玉屋さんご指摘のとおり過去の状況の変化によって未来の歴史や未来の登場人物の記憶やキャラが常に流動的に変化しているからなのだろうけど、それって物語の歴史的にすんごいサーカスだと思う。
画期的。
たとえば「組紐は時と同じ」と男の子は誰からか聞いたと言っているけど、物語上の描写は孫たちにばあちゃん語っているだけで、少女の方にしか知識はないはずだよね?それがなぜ男の子が「誰かに聞いたことがある」という記憶にすり込まれているのか?
確かに途中、入れ替わりを続けるうちにお互いの知識や経験が混濁してお互いの事がわかり始める。という文言はあるけど、そういうキャラの独立普遍性、自我統一性を崩す事は、物語ではかなり危ういところだよね。
通常、セオリーではやってはいけないこと。ある大きな出来事や時間経過がないとキャラのドラスティックな性格変化は描かれない事。だったはずなんだよね。それが、すんごく無頓着に(みえる)さりげなさで、描かれている。
そこにひっかかる人も多かったんじゃないかな?ボクだけかしら。

一説にプロからの文句が多いというのも、プロだと、すごく気をつける「ご都合でキャラを変えてはいけない」にモロに引っかかるので、プロほど、気になったのかも。
菊池寛だっけ?太宰治に「君の登場人物には一貫性がない」と指摘されて太宰が「じゃあ実在の人物に首尾一貫性がそれほどありますか?ころころ変わるのも人間じゃないですか?」と応えたというけど、それは確かに太宰に一本あげるボクだけど、二人の主人公格の混同は、やはり気になる。
だから後編にいくほど、双方のキャラの描き分けが極端になり、女の子キャラが男の子のキャラに入っているとき、女の子のままでいるよりも極端に、なよっとして、女々しくて気持ち悪いんだ世なぁ。まあ、苦労しているのだと思う。このやりかたは否定はしないけど、すんごい冒険したなぁと思う。
気づかない人は気づかず、気にならないんだろうか?
結末までのノンストップ彗星アクション。その後日談的な情緒は良かったなぁ。五年後の彼らのそれぞれも良かった。

運命の人とは会えば「必ず分かるもの」なのかしら?

今度、すれ違った素敵なれぃでぃに、「どこかで会ったことありませんか?」
「君の名は?」って聞いてみようかしら?
え?通報される?失礼しちゃうわそれに「口噛み酒・三年醸造」を呑めば二人が繋がれる。って、なんで分かるんだよ!どこだれから得た知識と確信だよ!
この話「・・・・・な気がする!ボクには分かるんだ!」が多すぎるんだよね。ね。たきくん、おばばから、可愛い中学生に代替わりしていて良かったですね。

上記文章に、以下のご指摘を受けて・・・・・

ご指摘「これって3年前じゃなくて3年の時差があるんじゃなかったでしたっけ?なので彼女にとっては最初に入れ替わった時はタキくんを知らなかったと思いますよ。」


鍋島

三年の時差あるんですよね。初めて入れ替わった時には、男の子には彗星災害の後。女の子には彗星災害の前。
そんで、女の子が会いに行って男の子に電車の中で会ったのは、彗星災害の直前。女の子にとっては入れ替わりが始まった後の現在で。男の子にとっては同じ彗星災害の直前でも、入れ替わりが始まる前の三年前・・・・女の子にとっては入れ替わり後なので入れ替わり冒頭では、男の子を知らなくても良いのか。
あーなるほど、。阿部さんのおっしゃるように、それで良いんだ。
ボクが混乱していましたね。
あれ?じゃあ逆に男の子は電車の中の事件の三年後に入れ替わりが始まっているのだから、入れ替わり冒頭、女の子の事を覚えていてもよさそうだなぁ。まぁ瞬間的な事だし、髪型も違うから忘れていてもしょうがないけど、印象的な出来事だし、その後ずっと組紐をブレスレットにして付けてたくらいなのだから。彼女になって生活するうちに組紐組んだりすると、思い出してもいいような気がするなぁ。
まだ、なんか間違ってますかね?
あーもうややこしいなぁこれだからタイムスリップ物は、

ま、ガチなSF物はボクも苦手なので、ファンタジー恋愛物としてボクも十分に楽しめました。ヒットには「おおげさな」キャッチーさと、多数を取り込む「ゆるさ」の双方が必要なのかもしれません。




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