「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部
桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あれは確か中学生の時だった。持っていたお小遣いで足りる金額だったが。中学生だった私は、レジでその口紅を買う勇気がなかった。
きょろきょろと辺りを見渡すと店員らしき人の姿は見当たらなかった。防犯カメラも此処は死角になっているってクラスの女の子達から聞いて知っていた。
どきどきしながら、その口紅を制服のポケットにそっと入れた。そのまま足早にドラッグストアの外へ出ると後ろから肩を叩かれた。
「