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短編小説

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今まで書いた短編集です。
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記事一覧

「掌編小説」トイレットペーパー

「ねぇ、ママ、私のトイレットペーパーは何処?」 高校生になった娘のマキが、朝のキッチンで…

sanngo
4日前
46

「短編小説」花吹雪#シロクマ文芸部

花吹雪が新郎新婦を祝福するために人々の手から放たれた。 「おめでとう」 「お幸せにね~」 …

sanngo
3週間前
69

「短編小説」祈りの雨

二階の寝室の窓に打ちつける風の音が、うぉーうぉーとまるで狼か野生動物のような音を響かせて…

sanngo
3週間前
57

「短編小説」〜ムーンリバー&手のひらの恋〜NNさん企画#青ブラ文学部

海に浮かぶ月光を「ムーンリバー」と呼ぶと覚えたのは、幾つの歳だっただろう。 母方の祖父の…

sanngo
1か月前
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「ショート」手のひらの恋#青ブラ文学部

恋なんてものは、始まりはドラマティックだけど終わりは、どれもありきたりなものじゃない? …

sanngo
1か月前
56

「ショート」桜色の人生#シロクマ文芸部#青ブラ文芸部

あくまでもフィクションです。 本文はここから↓ 「桜色の人生だったな…」 火原 三平は病室…

sanngo
1か月前
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「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部

桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あれは確か中学生の時だった。持っていたお小遣いで足りる金額だったが。中学生だった私は、レジでその口紅を買う勇気がなかった。 きょろきょろと辺りを見渡すと店員らしき人の姿は見当たらなかった。防犯カメラも此処は死角になっているってクラスの女の子達から聞いて知っていた。 どきどきしながら、その口紅を制服のポケットにそっと入れた。そのまま足早にドラッグストアの外へ出ると後ろから肩を叩かれた。 「

「短編小説」 暗々裏

「全部、コロナのせいだ」 空席だらけのホールを眺めながら、店主の須藤 貴樹はため息をついて…

sanngo
1か月前
56

「短編小説」 朧月#シロクマ文芸部

朧月が春の夜空にぼんやりと浮かんでいた。 楼主のおやじさまが、ちり紙に包んだ星のようなお…

sanngo
1か月前
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「ショート」合わせ鏡

深夜1時55分にセットしたスマホのアラームが鳴った。 ベッドから手を伸ばしてアラームを止めた…

sanngo
2か月前
56

「ショート」卒業の日#シロクマ文芸部

卒業の日、体育館の裏に卒業する一年上の先輩から呼び出された。 「これ」 学生服のボタンが一…

sanngo
2か月前
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「ショート」朝焼けまで

遮光カーテンの隙間から、夜の闇と寒さが僅かに忍びこんでくる。俺はベッドの中で静かな寝息を…

sanngo
2か月前
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「短編小説」閏年に#シロクマ文芸部

閏年に一度、母は私に逢いにくる。 うっすらと覚えているのは、四歳の時、砂場で遊んでいた私…

sanngo
2か月前
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「短編小説」追憶の残り火3「春めく日に」#春めく#あの記事の後日談

渋谷 美希が杉浦 和也に宛てた手紙 杉浦 和也様 一雨ごとに春めいて参りましたね。 お元気でいらっしゃいますでしょうか。 杉浦様、いえ和也先輩と呼ばせてください。突然、お手紙を差し上げるご無礼をどうぞお許しください。 私のことを覚えていらっしゃいますでしょうか? もう二十数年前、先輩が高校三年生の時に絵のモデルをさせて頂いた渋谷 美希です。 あの文化祭の日、私は自分が描かれた絵の前でずっと和也先輩がいらしてくださるのを待っていました。 いいえ、勘違いなさらないでくだ