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短編小説

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今まで書いた短編集です。
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記事一覧

「掌編小説」金魚鉢は知っている#シロクマ文芸部

金魚鉢を床に叩きつける。 ガチャンと言う音を立てて粉々に砕け散った様子を見て作業療法士のY…

sanngo
3日前
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「白い靴〜パクリ小説〜」#シロクマ文芸部

ー白い靴が欲しい ミカは思った。私の足の裏は、そんなに強くない。 この星は清潔だから、憧れ…

sanngo
10日前
57

「掌編小説」〜白い靴〜#シロクマ文芸部

白い靴がコツコツとアスファルトの道路に足音を響かせて、私の背後から近付いて来る。 コツコ…

sanngo
9日前
51

「赤い月」#春弦サビ小説

大好きなnoter Blue handさんのこの声にヤラレて、サビ小説を書こうかな?!なんて口走ってし…

sanngo
12日前
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「掌編小説」トイレットペーパー

「ねぇ、ママ、私のトイレットペーパーは何処?」 高校生になった娘のマキが、朝のキッチンで…

sanngo
2週間前
50

「短編小説」花吹雪#シロクマ文芸部

花吹雪が新郎新婦を祝福するために人々の手から放たれた。 「おめでとう」 「お幸せにね~」 …

sanngo
1か月前
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「短編小説」祈りの雨

二階の寝室の窓に打ちつける風の音が、うぉーうぉーとまるで狼か野生動物のような音を響かせていた。  ー窓がきちんと閉まっていないのかしら? 美奈はダブルベッドからそっと降りて、出窓を確かめた。窓の下では枯葉がくるくるとつむじ風のように踊っているのが、ぼんやりと照らす半月の光で確かめられた。どうやら季節はずれの台風が来る予報は当たるらしい。出窓の施錠をしっかりと確認して振り返ると 「どうしたの?眠れない?」 やはり、この風の音で起きてしまったのだろう。夫の誠司が、眠たそうに声を掛

「短編小説」〜ムーンリバー&手のひらの恋〜NNさん企画#青ブラ文学部

海に浮かぶ月光を「ムーンリバー」と呼ぶと覚えたのは、幾つの歳だっただろう。 母方の祖父の…

sanngo
1か月前
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「ショート」手のひらの恋#青ブラ文学部

恋なんてものは、始まりはドラマティックだけど終わりは、どれもありきたりなものじゃない? …

sanngo
2か月前
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「ショート」桜色の人生#シロクマ文芸部#青ブラ文芸部

あくまでもフィクションです。 本文はここから↓ 「桜色の人生だったな…」 火原 三平は病室…

sanngo
2か月前
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「ショート」桜色の口紅#シロクマ文芸部

桜色にほのかにパールが入った口紅を見た時、私は欲しくて欲しくて堪らない衝動にかられた。あ…

sanngo
2か月前
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「短編小説」 暗々裏

「全部、コロナのせいだ」 空席だらけのホールを眺めながら、店主の須藤 貴樹はため息をついて…

sanngo
2か月前
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「短編小説」 朧月#シロクマ文芸部

朧月が春の夜空にぼんやりと浮かんでいた。 楼主のおやじさまが、ちり紙に包んだ星のようなお…

sanngo
2か月前
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「ショート」合わせ鏡

深夜1時55分にセットしたスマホのアラームが鳴った。 ベッドから手を伸ばしてアラームを止めた。 「今日こそ」 のそのそと布団から起き出してテーブルに置いた鏡を2枚確認した。 高校で流行っている「合わせ鏡」の都市伝説に私は今日こそ挑むのだ。眠くて、もう二回も失敗していた。 隣のベッドから姉の美咲が 「うるさいな~、何時だと思ってるの」 寝言のように苦情を言った。 2枚の鏡を持って、大きく深呼吸をした。学級委員の麻紀の話しによると9番目の顔が自分の死に顔らしい。間接照明に白く浮か