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あの夏の日の不思議。

夏になると、思い出すことがある。

それは私がまだ小さかったころ。
たぶん幼稚園に通っていたころだったと思う。


母の実家の近くには田んぼに囲まれた小さな公園がある。
今はどうかわからないけど、砂場とか、いくつか遊具とかがあって、小さいなりには遊ぶものが充実していた公園だったと思う。

母の実家に遊びに来た私は、一人で公園に行くこともあり、その日は公園にいた女の子と遊んでいた。
顔はよく覚えていないけど、たぶん私と同じくらいの歳の子だったと思う。遊具とか砂場で、ひと通り遊んで、日も暮れてきたのでバイバイした。
実家ヘ帰る方向を向いたときに、ふと、その子の名前を聞いていなかったことに気づいて、「ねぇ」と振り返った。


そこには誰もいなかった。
ただ夕日に照らされる田んぼが広がっているだけ。

周りには大きな建物はないので、どんなに早く走ったとしても、後ろ姿くらいは見えるはずなのに。
もしかしたら、女の子は何かのかげに隠れて驚かせようとしてるのかもと思って、公園の周りをぐるっと探してみたけど、結局誰も見つからなかった。


狐に化かされたのか、霊的な何かだったのか、はたまた記憶違いなのか、今でもよくわからないけど、怖かったという感情はなくて、ただ不思議な気持ちだけが残っている。
大人になってからはこんな不思議な体験は全くないけど、夏が来るたびこんなこともあったなぁと、平成最後の、今年の夏もまた思い出していた。

まだあの公園はあるんだろうか。
しばらく行っていなかったけど、今更ながら気になってきた。

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