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人はネックレスをかけるとセクシーな気分になる動物だ

街を歩けば、女はもちろん、男もネックレスをよく首にかけている。老若男女もっとアクセサリーを付ければいいのにと私は思う。人間なんてものは素のままだと薄汚いのだから、ささやかな「お洒落」で我が身を演出してくれよ。「暑いから厚着、寒いから薄着」なんて機能重視で芸が無さすぎる。
若い学生が深めのVネックセーターなんか来てシルバーネックレスをしている姿はまことに色っぽい。見ていて心地がよくなる。露出された肌と人工物の対比こそ「色気」の秘密なのかしらね。「肉体の傷つきやすさ」が「金属」によってより際立つのか。そのへんの美学研究はいずれまたやろう。

ネックレスに関していえば、着けている当人がまず心地よさを感じているのです。ネックレスをつけたことのある人はだいたい分かるに違いない。官能をくすぐられるあの感じ。金属の冷たさも堪らない。だから一度つけると癖になってしまう人が一定数いる(そういう人にはたぶんMっ気がある)。

私も大学生の頃、「お洒落」のつもりで柄にもなくネックレスを付けてみて、首を愛撫されるようなその官能的快感に軽く酔った。ネックレスは太いほうが好みで、なんならダイソーのウォレットチェーンでもいい。ドン・キホーテに行けば首にウォレットチェーンをかけたマイルドヤンキーがたくさんいるでしょう。似合う似合わないはともかく、あれを着けている当人は気持ちがいいのだ。首に何かがかかっているだけでなんとなくセクシーな気持ちになるのはそのためだ。
思えば、男で、しかも「チャラ男」でない「普通のメガネ男子」にとって、ネックレスを付けて出歩くのはいささか恥ずかしかった。「色気づいている感」を察知されるのが恥ずかしいわけですよ。
しかしそんな羞恥の裏には「変身願望のうずき」がある。ネックレスをかけて街を歩くとき、私は「新生の興奮」を味わった。夏などは派手でセクシーなお兄系タンクトップを来て街を歩いていた。やはり「新生の興奮」を覚えた。この種の興奮は「お洒落」を好む人なら誰もがなにかしら身に覚えのある興奮なのだろうと思う。


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