ビニル袋_タイトル

息 と 美術作品

今回は、ある(図々しい)試みをした作品について。

作品制作の「素材」であると同時に(というか、むしろそれ以前に)、生活の中にあふれるガラス製品の「ユーザー」でもあるため、ガラスの「日常での使われ方」も気になります。

透明で中身が見え、経年変化が少なく、耐薬品性に優れ、無味無臭。

そういう特徴からか、ガラスは長期間の保存容器として昔から使われてきてました。固形でも液体でも、危険な薬品でも食品でも。守備範囲はかなり広く、プラスチックのタッパーなんかより(失敬)、正統派な感じがします。

と言いながらも、長期間保存に適しているけど、割れたらおしまい、なガラスの保存容器は、ものすごいジレンマを抱えた素材の使い方のような気もします。

そして、以前の投稿 " 息が かたちをつくる " に書いた、自分の息が直接かたちをつくる吹きガラスの私的かつダイナミックな「作り方」の面白さと、この、「容器としての側面」の両方を作品の要素に持ち込めないかな、と思って制作したのが、この「私の一息」シリーズです。

「 私の一息  − ビニル袋 − 」

「 私の一息 − 風船 − 」

タイトルの通り、一息分の息で制作した作品です。

息がかたちになる技法を使って、また、自分の息を保存する容器としての素材の側面を用いて、「自分の息」そのものが、いわゆる「美術作品」と呼ばれるものになる可能性があるのでは、という何とも図々しい試みです。

作品に使用した素材を表記する際にも、
・ガラス
・一息分の息
と、書いています(ちゃっかり)。

そして、風船の形を制作するときに驚いたのが、自分の息遣いがものの見事に、正確にトレースされるということです。ビニル袋や風船のように、できるだけ薄く作るためには、一気に吹いて一発で形を決めないといけないのですが、本当に微細な息の加減が形に影響するので、大量の失敗作ができました(過去最大)。

この作品が「美術作品」になれているのかは不明ですが、息の保存容器としては現在も活躍中です。

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