見出し画像

さんぽ絵日記 材木座 五所神社

鎌倉の正月はとにかく人が多い。駅前は圧倒的な人通りで、バスは容赦なく遅れる。三が日は許可証を持っていなければ鎌倉に車で入ることはできず、市境ではなんとか入れる場所はないかとうろうろする車がいて混乱するのは毎年のこと。だからせっかく近くても八幡さまに初詣しようという気にはならない。でもなんとなく晴れやかな正月の雰囲気を味わいたくて鎌倉あたりをうろうろしてしまう。

どこへ行ってもいつもよりは人が多く歩いているけれど、家々の門に祀られた門松や玄関の正月飾りを眺めながら、あえて普通の住宅が立ち並ぶ通りを選びながら歩く。普通の家並みとは言ってもそこは鎌倉。よく手入れされた松が寄り添う古そうな木造家屋や、立派な門や木の塀がある家が現れたり、旧道だなと思われる細い裏通りが大通りの間をぬってどこまでも続いていたりして、何回歩いても思わぬ発見があるから楽しい。

路地裏の祠やいつもの神社が正月のために整えられて、松笹まつささ注連縄しめなわと晴れ姿で出迎えてくれるのもお正月ならでは。

澄んだ空気、人々の表情の晴れやかさと、なんともいえず手持ち無沙汰な様子と、そここに見られるお正月ならではのしつらいがいつものさんぽを特別な雰囲気にしてくれるので、やっぱり歩きたくなる。

材木座の裏通りにある五所神社ごしょじんじゃは材木座の総鎮守。もともとは三島神社という名前だったという。明治時代に材木座村と隣の乱橋村が合併。その後ふたつの村にあった5つの神社が合祀されて五所神社となった。だから、小さな神社に見えるけれども立派な参道のある由緒正しい神社で、境内にはどれも云われのありそうな古いものが集められているので、見飽きない。宮司さんなのか、いつ訪れても社務所のそばで掃除などをしてくれている人がいて、信仰が生きている感じがするのがいい。

宵の口の五所神社

正月の五所神社には、いつもは分かりにくい大通りからの入り口に手書きの看板や笹と提灯が立てられている。奥の参道には提灯が並び、宵にはあかりが灯って美しい。お参りに訪れる人も、地元の人が多そうな印象。材木座の町並み自体が、観光ルートを少しはずれているせいか、人々の暮らしの感じられる町なのが好きだ。

ここ数年はどんど焼きのみの縮小開催だったけれど、毎年鏡開きの1月11日には材木座海岸で潮神楽が奉納される汐まつりという正月の行事もある。海を背景に舞う神楽をいつか見てみたい。

材木座海岸のどんど焼き

そうそう、やはりこのところ縮小開催が続いているけれど、五所神社といえば、6月にある乱材祭みざいまつりは3台ある神輿のうち2台の担ぎ手が神輿を担いで海に入るという海沿いならではのお祭りで、大勢の見物客が訪れる材木座海岸のハイライト。今年こそ、開催されるといいな。

#散歩日記

この記事が参加している募集

散歩日記

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?