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三浦半島釣り魚図鑑(28) サバ

新型の風邪が学校でもはやりだした。学級閉鎖になったので、しばらくの間はリモート授業。もちろん放課後もオンラインゲームくらいでしか遊べず、しばらく外に行くことができなくなってしまったので、外で遊びたい、釣りしたい気分が子どもたちみんなの中で高まっていたらしい。

隔離されて過ごさなければならなかった期間が終わる次の日に、みんなで釣りに行こうと約束して、子どもたちは久々の放課後釣りに出かけた。ところが、日が長くなって、暗くなるのが遅いというのに、暗くなってもなかなか帰ってこない。どうしたものかと待ちくたびれた頃、息子は大量の釣果をジップロックに入れて、ほくほく顔で帰ってきた。

中に入っていたのはすべてサバ。サバとは言っても、10cm〜12cm程度の小サバなのだけれど、その数、30匹を超えていた。一緒に行ったメンバーみんなが同じくらい釣れていたらしい。サバは臭くなりやすいから、と、YouTubeで見たやり方で、エラのあたりから引っ張って内臓を取り出していたので、遅くなってしまったという。ちゃんと処理してくれてあったので、家に持ち帰ってきたサバは生臭さなどまったくなく、そのまま洗って調理すればいいだけの状態になっていたので、母としては大助かりである。

実はサバは私も昔釣ったことがある。とはいっても釣り船に乗った時の話だ。釣り船では、どんな素人でもたくさん釣れるようなポイントに船長さんが連れていってくれるので、まず、釣れる。その時には、30cm以上のアジとサバがクーラーボックスにいっぱい釣れて、食べるのに難儀するほどだった。そりゃそうだ、釣り船に乗るのにはけっこうなお金がかかる。クーラーボックスいっぱいのアジとサバが釣れたからと言って、元がとれたかどうかは微妙だ。

でも、防波堤からサバが釣れるとなれば話は別。どんなに小さくてもサバはサバだもの、それが自力で釣れるならばうれしい。今までに近くの防波堤でも、アジやサバを釣ったという話はちょくちょく聞いたことがあったのだけれど、それまでうちの家族が釣ってきたことはなかった。

サバは、ある日突然回遊してくるらしい。季節が関係あるかといえば、そういう訳でもなく、ある日何かの理由でふいと漁港に入ってくるそうだ。この日からしばらくの間、小さなサバは漁港の中を群れになって泳いでいて、そして、だんだんとどこかへ泳いで行ってしまったようだ。

サバはワームなどでも釣れるけれど、よく釣れたのはイソメやエビなどのエサだそう。誰かが持ってきたエビがなくなったあとは、釣れたサバの内臓をエサにして釣っていたらしい。これならばエサがなくなる心配はないので、素晴らしい。

釣れたサバは、見る角度によっても色や模様を変えるのだけれど、背中にはサバ特有のうねうねとした紺緑色の模様があり、小さくてもちゃんとサバなのがかわいい。おなか側は、薄水色っぽいものだと思っていたけれど、ピンクや黄色や緑や水色が虹色になっていて、それはそれは美しかった。

本当は生でお刺身で食べたかったのだけれど、アニサキスが心配だと息子が言うので、初日は唐揚げにした。たくさんいたので頭は残してしまったけれども、食べようと思えばまるごと食べられる。

次の日に残ったものは南蛮漬けに。私はこれが一番好きなのだけれど、家族はみんなあまり好きではないらしく、唐揚げのまま食べていた。

次の日は私も防波堤に行って、子ども達に混じって釣らせてもらった。もう、ほぼ入れ食い。サバは中くらいの深さのあたりを泳いでいて、つんつん、と共食い内臓のエサに喰いついてくる。あわせて持ち上げれば、たいてい釣れてしまう。サビキだったらもっと釣れてしまうだろうけれど、釣れすぎちゃうから、とみんな針一本で釣っていた。

この日も大漁だったので、今度は頭を落として煮付けにしてみた。煮付けというと、カサゴやメバルがおいしいけれど、サバの煮付けは脂分が少ない分、ヘルシーな感じ。味噌煮ももちろんいいだろうけれど、この日は甘辛しょうゆ煮にしたら、缶詰によくありそうな感じの味に。お弁当のおかずなどにもいいと思うのだけれど、子どもたちにはあまり人気がなかった。要するに、うちの子たちはサバがあまり好きでないらしい。

それなら今度はぜひ、豆でいいので好物のアジを釣ってきて。

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