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【特集】トイ・レコードメーカーが、実験ふろくとしても革新的である理由

 先日からずっと、学研さんの「大人の科学 トイ・レコードメーカー」にハマっている左大文字です。

 前回は、このガジェットに至るまで、学研「大人の科学」の付録としては、なんと6作品もこれ以前に存在していて、今回が7代目であるお話をしたところ。

 その中で、大人の科学のふろくとしては「蓄音機」なるものが何度か登場していることがわかったのですが、実は今回のふろくは、これまでの作品と比較しても革新的であることが判明!

 それはいったいどういうことかというと!


「蓄音機」と「レコードプレーヤー」は似て非なるものである!

ということなのです。

 実は恥ずかしながら、左大文字はオーディオマニアとかではなく、ざっくりとした知識しかなかったのですが、いわゆる現代の「レコード」と「蓄音機」の世界には、大きな違いや飛躍があるということを知ったのでありました。


 はてさて、一般的な理解だと「今、電気で動いているのがレコードプレーヤー」で、「なんとなく昔のぜんまいで動いたり、ラッパがついているのが蓄音機」だと思ってしまうかもしれません。

 もちろん、その一面もあります。

 蓄音機は非電化で、レコードプレーヤーは電化されていますから、プレーヤーが登場した当初は「電蓄」なんてことばが生まれたのも、その証拠ですね。

 蓄音機にラッパがついているのは、非電化で音を増幅するためであり、電気回路でアンプを使うと、当然ラッパは不要になります。スピーカーに置き換わるということです。

 ですから、「電化されているものと非電化のもの」というくくりは大枠では間違いではないのですが、実はポイントはそこではありません。


 科学実験のふろくとしては、電化でもいいし、非電化でもかまわないわけで、実際6代目までの大人の科学シリーズでは、電池駆動のものもあるし、ぜんまい仕立てのものもあります。

 実験ふろくの醍醐味は「音を録音する」実験と、それを「再生して聞く」という実験ですから、駆動方式についても「ラッパかスピーカーか」についても、実は大きな差異はないということになるのです。


 ところが、今回のトイ・レコードメーカーは、これまでの「蓄音機」型付録とは、まったく、根本的に異なることが1つだけあるのです。

 それは、蓄音機に詳しくないと、絶対に気づかない、盲点みたいなツボでした。わたしも、それに気づいた時はビックリしました。


 さて、回答です。

 実は蓄音機というのは、針がついていて、それで音を再生するのですが、

「一回こっきりで針を新品と取り替えないといけない」

のですね。昔の蓄音機の針は、みんなそうで、鉄針であったために、レコード溝との摩擦に負けて、摩耗してしまう、というのです!

 科学的ふろくとしても、この限界は引きずっています。ですから、これまでの付録は

「何度も何度も、録音した盤を再生することを想定していない」

のです。

 なので、大人の科学の「プレミアム蓄音機」などでは、あえて竹針を採用して、「毎回竹針をカットして切る」という体験までついていました。

 逆に言えば、「録音再生の実験は、数回すればそれで飽きてしまい、何度も再生を繰り返さないだろう」という暗黙のイメージがあったことになるのです。


 ところが、現代に生きているわたしたちは「レコード針はそもそも毎回変えるものだ」なんてことは知りません。

 現在45歳の団塊Jrである左大文字にとっても、すでに父親が聴いていたレコードプレーヤーの針はダイヤモンドとかサファイヤで、「摩耗に耐える」素材だったわけです。

 レコードプレーヤといえば、「そのうちいつかは針を変えなくてはいけないとは知っているけれど、比較的長く持ちこたえる」ものだと思っている、そこがまさにミソでした!

 今回のトイ・レコードプレーヤーは、数回で針がだめになるようには作られていません。

 コストとの関係で、再生針はセラミックのようですが、それでも「すぐに交換」せねばならないほど、貧弱ではないということです。

 ドーナツ盤などのEPも聴くことができるようになっていて、ギリギリ簡易プレーヤのクオリティを満たしています。(むしろ、EPを聴くと意外とよく鳴るらしい)

 これは、明らかに「たった数回だけ録音再生の実験ができればOK」というこれまでの品とは、気合がまったく違うということになるでしょう。

 標準セットでも、空レコードが20面ついてくるわけで、それ以上の再生回数を耐え抜くように設計されているということなんです。


 これは、針が擦り切れるほど、楽しまないといけませんね!



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