コミケ初サークル参加感想

サークル『春のぬかるみ』風倉森羅です。
初めてコミケにサークル参加したので、その感想を残しておこうと思いました。

2018年8月〜夏コミ〜

冬コミでのサークル初参加を語るためには、まず、その年の夏コミについて語らなければならない。
なぜなら、一般参加する夏コミにて、普通に楽しむ他に、他サークルスペースの設営方法観察、同人誌のデザインの同人誌の購入、そして、なによりもサークル参加の申込書の入手を予定していたからだ。
冬コミでのサークル参加を目指していたので、既に準備を始めなければいけない。もしかしたら、遅いくらいかもしれない。そう、思っていた。
因みに、東京行きは地方住みの私にとって、一大行事のひとつである。往復を夜行バスを使うといっても、それなりの交通費がかかり、当然ホテル代もかかり、東京に来たからには美味しいものが食べたいので食事代もかかり、コミケ以外にも東京で行きたい場所をいろいろとチェックしていたので、コミケに使うお金以外のお金もなかなかに怖ろしい額になる。
今回の夏コミでは、今までの反省点からよくカタログを読み込み、また、サークルをまわり忘れないように厳重に舐め回すように確認をした。コミケの一般参加も5回目くらいで、サークルのまわる順番も少しは考えられるようになってきていた。そろそろ目当てのサークルを漏らさずまわれるようになりたかった。
今回夏コミは自分史上、最大の準備万端のコミケだった。冬コミでのサークル参加を目指す以上は、一般参加で挫けていられない。

そして、夏コミ数日前。

そう、骨折である。

骨折とは、すなわち、右足の甲の骨折である。

しかも、事故とかではなく、自宅の階段で、朝、寝惚けて、階段を踏み外す。

たぶん折れてないと思うけど、一応、念の為、一応、万が一のために病院行っておくかー、からの骨折診断。

医者「結論を言いますと、すばり、折れてます」医者ズバリ言い過ぎ。

もはや、笑ってもらった方が供養になるレベル。

正確には、骨折といっても、骨にヒビが入った状態で、自然治癒も可能だけど、ちゃんと治すにはギプスつけるべきと言われた。

ギプスつけて東京は流石に厳しいので、東京行きを諦め、コミケの代わりにサバフェスに参加し、スイッチとiPhoneとギプスに囲まれて、虚しいお盆休みを過ごした。
冬コミサークル参加に向けて、完全に出鼻を挫かれた感があるが、まだ、サークル参加のチャンスは残っていた。なんかよく分からないオンライン申込。
コミケ会場で申込書を買う気満々だったので、オンライン申込がよくわかっていなかったが、なんかまだ間に合うらしい。そして、勢いで申し込んだ。入力ミスがないか、ガチガチ震えながら、ネットで調べながら、申し込んだ。とにかく、申し込んだのである!

2018年9月〜10月

そもそも、どのような作品でコミケ参戦を狙っていたかというと、本当は小説が書きたかった。でも、無名素人の創作小説は売れないだろうくらいの予測はあった。
絵が描ければ少しは目立てるかもしれないが、絵心はない。しかし、羊毛フェルトで人形なら少しは作れるなぁと思った。
また、一から長編小説を書くのはキツイけど、絵本くらいの長さならなんとかなるなぁと考えた。
そして、前々から書きたいと思っていた、あまり長くないハッピーエンドじゃない系の話のアイディアがあった。

そして、『魔王の妃』という作品で冬コミサークル参加を目指すことにした。
フェルトの人形を作って、写真を撮る。文章と並べて、絵本みたいな作品を作る。

予定では、コミケ当落が判明するまでにほぼ終わらせておくつもりだった。12月に〆切に追われて死にそうになりたくはない。初参加で新刊なしは辞めたい。
そして、ギプスがなかなか取れず、やる気のない9月。どうせ落ちるだろうという、謎の余裕があった10月。

そして、まさかの。

2018年11月〜コミケ当選〜

11月。ツイッターのタイムラインが悲鳴と歓喜入り乱れるなか、帰宅すると、封筒が届いていた。そう、コミケ当選である!
当選すると思ってなかった。めちゃくちゃ嬉しいけど、当選すると思ってなかった。当選すると思ってなくて、まだ、作品が完成から程遠い。めちゃくちゃ遠い。当選が嬉しくて、かの有名なサークルチケットをツイッターにアップしそうになったけど、本名載ってたので、ギリギリで思い止まった。めちゃくちゃ嬉しかったけど、そう、当選した以上は作品を完成させなければいけない。
がんばるしかない。そして、作品までの完成は遠い。

コミケ当選確定時点で、文章の方は8割方出来ていた。出来ていなかったのは、フェルトの人形部分。作成をほぼ放置していた。当選すると思っていなかったので。デザインとかも一から考えなくてはいけない。やばい。
兎にも角にも、印刷所を決めて、〆切を決めて、作成を開始した。少しでも節約したかったので、早割で1割引きを目指したけれど、これは無理だと気付いたので、途中で諦めた。

羊毛フェルトとは、羊毛を特殊な針でチクチク刺しまくると、フェルト状に固まっていき、割と好きな形に成形できるやつである。凄い人はめっちゃ凄い作品が作れる。
私はぜんぜんすごくないけど、登場人物5体の人形を作ることに決めた。途中で、自分の技術が拙さ過ぎて、これは、もう、文章だけの方がマシなんじゃないか、人形が作品のアピールポイントではなく、マイナスポイントになってしまうのではないか、などなど投げ出したくなりながら、たまに指を刺しながらチクチクしてた。チクチクチクチク。

2018年12月〜〆切〜

人形の完成に目処がついた。そして、迫る〆切。完成してない文章残り2割もやや無理矢理終わらせた。いまいち納得いってない部分もあるが、完成しなければ人に読んでは貰えない。

そして、そして、文章と写真を合体させる。どう、合体させるかというと、フォトショ。私はフォトショを使ったことがない。しかし!!!フォトショは超有名ソフト。私の読み通り、ネットには、分かりやすい操作方法説明が溢れている!!!
ネットのある時代に生まれて本当に良かったと思う。因みに本当の本当は、コミケ当選前にフォトショの操作にも慣れておく予定だった。そして、分かりやすい説明を読みながらも、慣れない操作に思った以上に時間がかかる。

これ、間に合うのか!?〆切に間に合うのか!?さらに、〆切の前に更なる難敵『スマブラ新作』も待ち構えていた。あと、ラスボス『そもそもこれって面白いのか?読みたい人いるのか?無限ループ』に〆切直前完成直前に突入した。死にそう。死にそうだったけど、〆切に殺された人間はいない(たぶん)。

そして、私は〆切に打ち勝った。

原稿送信の数日後。印刷所さんから確認の電話がかかってきた。確認のために、タイトルや文章を声に出して読まれるという、羞恥プレイ。いや、印刷所の人は丁寧に対応してくれて、感謝しかないけど。

2018年12月〜コミケ直前〜

眠れない。緊張と興奮で眠れない。
期待と不安半々、などという生易しいものではない。期待と不安の生死の命運を懸けたガチバトルくらいの勢いで感情か浮き沈みする。

完成したからには誰かに読んでほしい。でも、こんな拙い作品を読まれるのは恥ずかしい。宣伝しないと、誰も来てくれないだろう。でも、当日完売するくらい売れたらどうしよう。1冊も売れなかったら、どうしよう。隣のサークルの人にちゃんと挨拶出来るだろうか。あまり目立ちたくはない。でも、誰かに気付いてほしい。

サークルスペースに敷く布など、最低限の当日の準備はしたが、時間と心の余裕が無くて、終わった後に他にも色々と準備しておけば良かったと反省した。そもそも、〆切に余裕を持ってゴールインしていれば、直前も余裕を持って対応出来ていたというのに。

そして、2018年12月28日、私は夜行バスで東京へと向かった。

2018年12月29日〜設営準備〜

朝、7時過ぎに東京ビッグサイト到着。
サークルチケットで入場するのは、スタッフオンリーの入ってはいけない場所に入っているような優越感と背徳感が半端なかった。
コミケとデザフェス以外で、東京ビッグサイトに来たことがなかったので、人がいないのを不気味に感じた。 興奮した。
果たしてサークルスペースはちゃんとあるのか?ちゃんとあった。『春のぬかるみ』とちゃんと書いてあった。ちょっと感動した。まだ殆ど人のいないがらんどうの西館で、私はサークル設営の準備を始めた。

机の上には二脚の椅子と、大量のチラシ。一瞬何かと思ったが、どうやら印刷所のチラシらしい。一般参加では手に入れることが出来ないチラシと考えると、おそらく読まずに捨てるだろう色とりどりの大量のチラシもちょっと宝物っぽく感じる。

そして、完成した作品との対面。本当の本当は、当日まで作品を確認できないのは不安だったので、直接搬入せずに家に届けてもらうつもりだったが、そう、気付いたら、直接搬入の〆切しか無かった。その日1番の緊張だったと思われるが、印刷所さんの仕事には感謝しかない。内容はともかく、自分の作品が1冊の本となっているのは、とても感動した。文芸部に所属していたことがあるので、自分の作品が本という形になったことはある。けれども、自分の作品だけの本となると、全く未知の経験だった。作品の出来は置いといて、作品が物質として三次元に現実に存在しているのは凄く嬉しい。

周りのサークル設営を見ると、自分のサークルスペースがやたらしょぼく見えたが、これは準備を怠った自分が悪い。因みに隣のサークルさんにはちゃんと挨拶できた。えらい。
朝ごはんを食べたり、緊張したり、次の日のカタログ眺めたりしているうちに10時となった。

2018年12月29日〜コミケ開幕〜

予想通りというか、当然の如くというか、人は入って来るが、悉くスルー。ぼっち参加なので寂しい。近くのシャッターが開いてるので、寒い。寂しい。寒い。人来ない。寂しい。寒い。人来ない。人は〆切には殺されないかも知れないけれど、寂しさには殺されるかも知れない。
しかし、そのうちに(開始1時間後くらい)興味ありそうに立ち止まる人が現れた。思い切って、「良かったら、読んでみてください」と見本を勧めてみる。そして、手に取ってくれた!!!!!!
一般参加のときは、買わないかも知れないのに、立ち読みするの申し訳ない……と思っていたけれど、サークル参加側になって気付いた。買ってくれなくても、興味を持って立ち読みしてくれるだけでめちゃくちゃ嬉しい。やばい。嬉しい。その人は買わなかったけれど、自分は確かにコミケにサークル参加しているのだと実感させてくれたので、感謝だ。

そして、遂に!!!!遂に!!!!
1人の女性が私のサークルスペースの前に立ち止まって、え?まさか?と思ったら、「ツイッターで見かけて気になってたので」と言って、1冊買ってくださった!!!嬉し過ぎて、なにか気の利いたコメントをしたかったけれど、テンション上がり過ぎて頭が回らず、「ありがとうございます!500円になります!」という普通のことしか言えなかった。ダメ元でもツイッターで宣伝しておいて良かったと心の底から思った。
さ!!!ら!!!に!!!
2人目!コミケのカタログを相当読み込んでいそうな男性が私のサークルスペースの前に立ち止まった。「春のぬかるみさんってここですか?」ここです!!!サークル名分かるようにしてなくてごめんなさい!!!そして、ありがとう!!!買ってくれてありがとう!!!

ツイッターやnoteで作品を公開して、いいねを貰えるとすごく嬉しい。でも、実際にお金を払ってもらって作品を買ってもらえたときの喜びはその比ではない。
嬉しさ喜びといった、感情の範疇ではない。もはや、物理的身体的快楽に近い。快楽。やばい。

お昼に2冊売れるという快挙を成し遂げた後、午後は2人ほど立ち読みしてくれる人が現れ、混雑を避けるために3時半くらいに撤収した。
午後は、午前中と同じく、売れないという状況にもかかわらず、2冊売れたという実績が心の支えとなり、全く苦にならなかった。

こうして、私の初めてのサークル参加、コミックマーケットは終わった。

2019年1月〜反省会〜

2018年12月31日、夜行バスで2019年の地元へと帰る。

そして、1月現在。戦利品の整理や旅行の片付けをしながら、サークル参加の反省をまとめている。

まずは、〆切に余裕を持って行動すること。〆切ギリギリだったので、表紙のデザインを考える余裕がなく、黒一色にタイトルというものにした。完成品を見たとき、思った以上に地味に感じた。そもそも、絵の代わりに人形をチクチクしたのは、少しでも目に止めてもらうためだったのに、それを表紙に使わないというのは、いったい自分はなにを考えているのか?

次に宣伝。無名素人である以上、もっと宣伝すべきだった。ツイッターを見て、1人来てくれたのだから、もっと宣伝していれば、もう1人くらいは買いに来てくれたかも知れない。

また、当日の設営方法。こんなしょぼい設営でも、立ち止まって読んでくれた人が3人いた。もっとちゃんとしてれば、もっと立ち止まってくれた人がいたかも知れないし、立ち読みしてくれる人が多くなれば、その中から買ってくれる人も1人くらいいたかも知れない。
サークル名やサークルナンバーを分かるようにしておかなかったのも不親切だった。

そして、そもそもの話だけれども、初めてのサークル参加にコミケを選択すべきではなかった。コミケにサークル参加すれば、何かが変わるとおぼろげに思っていて、なんとなく申し込んだ。結果的には、2冊売れて、いろいろと勉強になったし、楽しかったという思い出に出来たけれど、無名素人の準備不足での参加は1冊も売れない可能性の方が高かっただろう。悲しい思い出で終わっていたら、次回も参加しようと考えることが出来たかどうか分からない。
探してみると、地元の近くのイベント、ジャンルの絞ったもの、小規模なもの、いろいろある。自分に合ったジャンルや規模のイベントを選ぶべきだった。
でも、コミケにはいつかまたリベンジしたい。

いろいろあったけれど、楽しく終わって良かった。本当に良かった。

〜最後に〜

最後に宣伝になりますが、近日中(たぶん)に『魔王の妃』をnoteでも販売開始します。

また、次回参加イベントは6月の文学フリマ(岩手)です。『魔王の妃』の他に、新刊『未来猫』を出す予定です。『未来猫』は、魔女に恋した猫の旅路のお話です。

最後の最後になりますが、コミケで私の本を立ち読みしてくれた人と買ってくれた人にめちゃくちゃ良いことがあるように祈っています。

#C95 #コミケ #体験談 #冬コミ #初サークル参加

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