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3月から参加した稀人ハンタースクールの仲間と、11/11に東京で開催される文学フリマに参加する。(東京の会場に行くので、見かけたら声かけてください!)みんなでオムニバスを作ろうと企画してくれたので、ひとつエッセイを書いた。
そこで昔、仏と呼ばれていたことを思い出した。
なぜだったのだろう、昨夜布団に入って考えた。

転職エージェントのキャリアアドバイザーとして働いていた頃、1日に3-4人にお会いして、キャリア相談をしていた。当時は面談ブースと呼ばれる個室で1時間半〜2時間、マンツーマンで話すスタイルだった。

いろんな人のいろんな感情を受け取った。怒り、悲しみ、諦め、希望、喜び……。入社したての頃は、業界知識が乏しいながら、自分にできることはなんだろうと考えた。それは、全身全霊で目の前の人に向き合うことだった。体全体で目の前の人の話を聞く。感情を丸ごと受け止める。共に、怒り、悲しみ、喜びを分かち合う。来る日も来る日も人の気持ちを受け取っていたら、自分の心が飽和した。
たくさんのお客さんを担当しながら、心も体も余裕がなくなったいった。

連休を使って京都へ行った。三十三間堂を訪ねた。
1000体を超えると言われる千手観音像を観て圧倒された。千手観音のたくさんの手は、この世のあらゆる怒りや不浄を人々から受けとってくれるとどこかで読んだ記憶がある。千手観音様のお札を買って帰り、会社のパソコンの左側に貼り付けた。自分の体には千手観音のようにたくさんの手がついていて、対峙する人から感情を受け取っては、天に返していくイメージを持った。
日々、たくさんの人に出会うなかで、様々な感情を受け取っても、自分のなかには溜め込まず、一旦手放して天に返す……。
このイメージができるようになってからは、感情労働と言われる仕事だけど、心穏やかに働くことができていた。

面談や面接のドタキャン、多様なトラブル……本当にいろんなことが起きる。
なにが起きても数多の手で受け止めて、手放し、抱え込まない。
ある日、先輩が私を、仏のマエカワと呼ぶようになった。
仏ではなく、千手観音だけど。

こんな話は、社内のナレッジにもなんにもならなかったけれど、心持ちが大事だということがわかった。パソコンに貼った千手観音様は、感情をどう処理するかをイメージさせてくれた。
年末に近くの神社にお札を返したけれど、千手観音様をイメージできれば、受け取りすぎてしんどい時に、受け取った感情を手放すことができる。

妄想は都合がいい。
ハマれば力を発揮してくれる。
今思うとチョット危ないやつにも思えるが、当時の上司のデスクには、ガネーシャとシバ神が置かれていた(笑)

みんな、なにかにすがって生きている。




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