Apple Musicで聴けるジャズ : Jazz Request Show, Vol. 2 - Peter Sarik Trio

https://itunes.apple.com/us/album/jazz-request-show-vol-2/938736393

このPeter Sarikという名前は全然聞いたことがなくて、調べてみたらハンガリーの人らしいんだけど、おれがこの人に辿り着いたのはそもそも別の、Micheller MyrtillというVoを探してたせいであり、その人がこのアルバムの半分くらいの曲に参加しているんだけど、じゃあそのMyrtillにはどうやってリーチしたかというとOne Note Sambaの適当な録音探してたときに偶然動画見つけたくらいのもので、とどのつまりアンテナの問題ではないと言いたかった。

そういうダルい感じで見つけたアルバムでもちょっと興味覚えたら聴けるというのが例のサービスのいいところで、おれは 1. Virtual Insanity4. Confirmation8. Four というあたりが気になった。1は言わずと知れた、流れてくるソファーを避け続けるPVでゆうめいなJamiroquai の大ヒットナンバーで、残りの4と8はどちらもビバップのスタンダードだが、こういう風に並ぶと不穏な予感がしてくるものなのだ。

溢れ出す「ジャズ研3年目くらい」感

やはりというか何というか、Virtual Insanityはサビで4ビートとなるアレンジで、おれは「あぁ~~」と間抜けな声を出して脱力した。もっともそれが悪いということもなく、曲自体が格好いいしVoの力量も確かであり、アレンジもそう悪くない(特にBメロのペダルトーンが良い。一方でAメロの3番目のコードをセカンダリドミナントにしたのは大失敗で、原曲通りのクロマチックにすべきだった)。Micheller Myrtillは特にスキャットが良く、わけても同音の連打が白眉。という感じで、全体的には十分リピートに耐えうる。最後まで聴くかどうかは別にして。

一方でConfirmationはやばく、何のひねりもないド直球の8ビートであり、もともと4ビートの曲に工夫なしで8ビートフィルタを適用してしまったうえ、ソロ後半で耐えかねて4ビートになったりしていて激烈にやばい。こういう遊びは学生のうちに身内で済ませておくべきである。そういう意味でならおれもずいぶんやらかしたものであった。Confirmation自体はドのつく定番かつ名曲なので、おれのnoteで最初に紹介するのがよりによってこれということに忸怩たる思いは確かにあるが、話のダシとしては面白く、また名演が他にいくらでも聴けるのでリカバリは自在で、ダメ録音の一つや二つで修復不能の傷を負うほどヤワな曲ではないのでいいことにする。

捻ればいいってもんじゃない

Fourも一聴なにごとかOz Noyでも聴いたかと思う事態だが、テーマが入ってみるとよくあるパターンで、要するにテーマ部分のバックによるキメだけをイントロとして採用したもの。結局のところこれハッタリなんだよなあ。コードについては自然な範囲で捻ってあり、こちらは良感触。なおソロに入ると全然ダメで、2分足らずで切り上げるハメになっている。なんで入れたの?

以下寸評。2、それほど悪くない。3、Voが良いがBaが時々邪魔してくる。5、ヨーロッパの格言にこんなのがある…「ジャズミュージシャンがベタなクラシックをやるところ…その町はもうじき滅びる」。6、飛ばしていい。7、意外にも良く、7/4拍子も自然だがその後挟まれる4ビートでコケる。なんでしおらしさが2分もたねーんだ。9、退屈。10、歌はいいし邪魔もそんなに入らない。11、原曲でいい。

というわけで全体的にみると、わざわざ落として聴くほどの価値があるか微妙なかんじと言うしかないんだけど、なんとかしてこっちを混乱させてやろうという稚気は微笑ましく、こっちの身にも覚えがあって、嫌いになれないのだ。アレンジは間違っていたが気持ちは間違っていないタイプ。え?そりゃ見習っちゃダメですよ。何言ってんですか。

Micheller Myrtillに罪はない

https://itunes.apple.com/us/album/inspired-by-hungarian-folksongs/1329918022

ないったらない。のでもう一枚、というかApple Musicで聴けるのがこれくらいなんだけど、ついでに言うとジャズじゃなくてなんとなく東欧っぽい感じがするエスニックイージーリスニングなんだけど、結構悪くないので紹介しておきます。あと前述のone note sambaも探してみてほしい、あれは本当にいいので。

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