見出し画像

国際機関で働くとは?第一話:どんな人が働いている?

高校時代から緒方貞子さんが国連で活躍するのをみて憧れてきた国際機関。最初は国連で働きたいなーと思っていましたが、縁があって世界銀行に就職しました。

私は短期コンサルタントとして入ったので、正規職員で入るより、紆余曲折した道をたどり、正規社員のポジションを獲得しましたが、それも含めて何回かに分けてお話ししたいと思います。まず第一回目はどんな人が働いているか、について話したいと思います。

求められる人材

国際機関は最低修士号がないと入れないので、学歴が高い人がたくさんいます。博士号を取得している人もわんさかいます。国際機関で必要とされるのは高い専門力とオペレーションなどができる能力なので、専門を身につけるにはやはり修士号や博士号が必要となります。よくT字で能力をつけましょうと言われているのですが、Tの字の|の部分が専門になり、➖部分がコミュニケーション、業務遂行、オペレーション、プロジェクト管理、調整能力、など融資プロジェクトをやる上で必要な様々な能力になります。ここでいう専門性とは世界銀行の場合セクターで分かれているので、マクロ経済、インフラ、交通、デジタル開発、農業、水、エネルギー、保健、ガバナンス、防災、教育、社会保障、民間開発、金融、社会開発などです。

HQとカントリーオフィスで求められる人材の違い

本社HQ(ワシントンDC)とカントリーオフィス(主に途上国)でそれぞれ働いている人のタイプが違うのですが、本社HQは世界から集まった専門家が多く、そこからカントリーオフィスにインターナショナルスタッフとしてアサインされたりします。カントリーオフィスでは現地採用もあり、現地で採用された方は専門性もありますが、特に重宝されるのは、現地のネットワークがある、政府に常に対応できる、プロジェクト管理ができる、のような能力なので、コミュニケーション、プロジェクト管理、オペレーション能力が必要とされています。また、先進国にもカントリーオフィスはあり、そこはドナーとなっている国とのコミュニケーションや、連携、などが主なので、コミュニケーションや広報担当の方が主に働いています。日本は日本政府が推している防災、インフラ、保健などの分野に力を入れているので、例えば防災ハブなどを設置して、日本の防災知識や経験を世界の様々な国に提供しています。

マネジメント

優秀な人が多い組織なのですが、1つの欠点としては、人を育たりポテンシャルを生かす能力やマネジメント能力に欠ける人が結構多いということです。基本中途採用のように経験をつけてきている人が採用されるので、あまり人を育てるようなカルチャーがない組織です。そのため自分でいかに価値を発揮でき、アピールできるかが勝負になります。

専門性があっても人のマネージをした経験があまりなかったり、自分の興味のあることだけしか関心がなかったり、というような人もいます。それなのでどのようなマネージャーにあたるかによって自分の運命が決まると言っても過言ではありません。マネージャーにいかに気に入ってもらうか、が昇進にも重要になるため、新しくマネージャーが変わるたびに自分アピールをしまくる同僚なども見ます。

ただ、このようにマネジメント能力がそこまで高くないマネージャーがいても組織が成り立っているのは、個人の能力がすごく高く、社会貢献意識も高く、モチベーションも高い人が多いからだと思われます。

年齢層

中途採用が多く、経験を色々と積んでいればいるほど良いので、年齢層は高めです。またキャリアが安定するのに時間がかかるため、女性の場合、妊娠、出産時期が遅くなり、平均妊娠、出産年齢が38歳です。私も入ったばかりの時は、そんな高い年齢なんだーと思っていたら、自分も結局出産がその平均年齢と同時期になりました(笑)。

男女比率

男女比率は働くセクターによってかなり変わります。私が働いていた教育セクターは女性がかなり多く(7−8割)、マネージャーやディレクターも女性が多く、ロールモデルになるような方もいらっしゃいます。逆に私が数年属していたデジタル開発セクターは男性が多かったように思います。特にインフラ系は男性が多いように思われます。やはりそのセクターによって働くカルチャーも人の様子も変わってくるのですが、教育、保健、社会保障セクターが属する人材開発部門は人間に関わるセクターなので、優しい方が多いように思います。

日本人の率

教育セクターは日本人の数が結構多く、15名くらいいたように思います。ただ世界銀行全体ではまだ全体の3%くらいで8%の日本からの資本出資比に比べるとまだ少ないので、日本人の中途採用がJPOやミッドキャリアプログラムなどで毎年行われています。世界銀行を目指す方はこれらのプログラムから入るのがチャンスです。

最後にまとめると、みんな学歴は高く、優秀な人たちばかりですが、世界の問題を解決したいというミッションを持った人たちばかりなので、志高く、いい人が多く、働く仲間としては国際的で楽しいです。長期出張も何度も一緒に行くのでその人の人間性もわかり、家族のような感じになります。ということで国際機関での就職目指す方、頑張ってください。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?