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夏まつり

子どものころの楽しみといえば、夏まつりだった。
クリスマスイブにサンタクロースが現れるのも楽しみだった。

大人は自らどこにでも楽しい何かを探しに行けるけれど、

子どもは基本、向こうからやってきたり与えられたりする
楽しい何かを待つことしかできない。

だから夏は、近所の公園で行われるお祭りがとても楽しみだった。
待ち遠しかった。

盆踊りの曲が街中に響き渡る日。
おばあちゃんに浴衣を着せてもらうと、弟と公園に走った。

金魚すくいにりんご飴にヨーヨー釣りに綿あめに盆踊りに焼きそばに。
近所の公園の広場はパラダイスに変わっていた。

自治体の予算がなくなったのか、O157が騒がれたからなのか、
カレーに毒が盛られる事件のせいだったのか、
ある年から夏まつりがなくなってしまった。

寂しかった。


アフリカのベナンで映画上映会を開いた青年海外協力隊の綿貫大地さんのレポートを読んだ。

大地さん、初対面からその面白さに笑わせられて、そして誠実で有言実行。人間味があって、ブレない人。

大地さんは映画上映会を告知するために、子ども達にチラシを配ったそうだ。20枚。「お土産あるよ」と言葉を添えて。

50人弱くらいの子が来てくれたらいいなと思っていたら、
当日は教室に、101人の子ども達が集まったそう。

チラシだったり友達の口コミで映画上映会を知った子ども達は、
夏まつりを控えた子どもの頃の私のように、
大地さんの上映会の日を楽しみにしてくれていたのだろうか。そうだといいな。

ベナンで大地さんが出会った子ども達の気持ちを想像していたら、
あの頃の夏まつりのことを思い出した。


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