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周囲の声よりも自分の気持ちを大切に。有賀桃子さんが「自由な自分」になるまで

自分の気持ちに素直に生きる。

一言で表すとシンプルな言葉ですが、実際には一筋縄ではいかないものではないでしょうか。

自分の本心よりも周囲の期待に沿うための答えを導き出してしまったり、なんとなく妥協してしまったり……。

このように、自分の気持ちを脇に置いて行動してしまう人は、意外と多いのではないかと思います。

今回は、「自分の心の声を大切に過ごす」ことにフォーカスした毎日を送る、有賀桃子さんにインタビュー。

音楽活動をはじめとして、幅広く活動している桃子さん。実は、自分の気持ちに素直に生きられるようになるまで、さまざまな葛藤を乗り越えてきました。

もっと自分の気持ちを大切にするには、どうしたらいいのでしょうか。
有賀桃子さんのこれまでの歩みや、「自分の気持ちに素直になるコツ」を聞いてみました。

(取材・文・撮影=我妻沙織/Saori)

▶︎有賀桃子さんプロフィール
・東京都出身・在住、34歳。
・現在は月一回程度、都内のライブハウスで音楽活動中。
・好きなもの・こと:料理、工作、古着、哲学書を読む
▶︎SNSアカウント
https://linktr.ee/momokoariga

自分で自分を認められなかった過去

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──有賀桃子さんは、いろいろな方面で活動しています。これまでどんなことに取り組まれてきましたか?

たくさんやってきましたね。歌う・聴く・作詞作曲・演奏など音楽全般、絵を描く、字を書く、刺繍も好きです。スピリチュアル系では、カラーセラピー「オーラソーマ」、数秘学、占星術、心理学。哲学書も読んでいます。日課としてタロットカードのセルフリーディングもします。

あとは、いろいろと日々考えて、何かひらめきがあったらSNSでシェアしていますね。最近は動画の編集も楽しいです。動画の内容は、思ったことを私一人で話す、ピアノの弾き語り、友達と二人でわいわいトークしているものなど。

──とても幅広い分野で活動されているんですね。

はい。日々目にするものに対して、興味を持ったら手をつけています。その結果、引き出しが多くなったのかなと思いますね。

でも、自分ではつい最近まで、広く浅くやる姿勢をあまりよくないニュアンスで捉えていました。

──意外です。「よくないニュアンス」とはどんなものでしょうか?

結局ないものねだりなんですよね。器用貧乏なので、職人みたいに一本道をひたすら無我夢中でやる人に憧れていました。好奇心旺盛なので、ある程度取り組んだら次のものに興味が移ってしまうんですよね。

私と同じように「ひとつのことを極められない自分はダメなんだ」と、苦しむ人はけっこう多いのではないかな、と思います。

──なぜ「ひとつのことを極めないといけない」と思われたのですか?

私にとっては学校教育の影響が大きかったと思います。もちろん、それだけのせいにはしませんが。ただ、「いろんなことがやれていいですね」と言ってくれる先生は少なかった。

「一本道を一生懸命進みなさい」という教育のもとで育ってきたんですよね。それも悪くはないと思いますが、私はその影響を強く受けました。

学校教育がどんなものであっても、自分のペースで成長していった子はいたと思います。

ただ、私の場合はまわりに合わせて行動してしまう癖も相まって、「自分の本心とは違うけど、周囲に認められるための正解を出そう」と考えていた。自分で自分を縛りつけていたんですね。幸い、親の価値観が学校とは違ったのが救いでした。

心のモヤモヤを晴らして起こった変化

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──「ひとつのことを極められない自分はダメなんだ」という思いは、いつ頃まで続いていたのでしょうか?

今34歳なのですが、30歳を過ぎた頃にやっとその思い込みを手放せました。
20代でいろいろと迷走して、最近やっと「広く浅くやる自分でオッケー!」と思えました。

──どのようにして思い込みを手放していったのか聞きたいです。

20歳頃まで、「有賀桃子として生まれた自分の根本的な部分は、きっと変わらない。周りに合わせて行動してしまう癖を変えたいけど、どうせ変わらないんでしょ」と思いながら生きていました。

当時、スピリチュアル系の仕事をしている人が身内にいたので、私もなんとなくカウンセリングを受けてみたんですね。「自分の内面を明らかにしたい」と昔から思っていたので、良い機会でした。

自分の心の中を深く見ていろんな課題に気づきました。「心のモヤモヤを自分で晴らしていくと、自分は変わっていくんだ」とわかったんです。

──20歳頃に大きな気づきがあったのですね。その後はどのような変化がありましたか?

それが、なかなか一筋縄ではいかなくて(笑)。スピリチュアル系の勉強や、その他いろいろと手を付けました。他のことが続かない中、ピアノでの弾き語りだけはずっと続いていたんですね。なので「自分はこれから音楽をやっていくんだろうな」と確信し、20代半ばで音楽活動を始めました。

その頃は月に3〜4本ライブをしていて、自分にとってはハードでした。フルタイムのアルバイトをしながら、ずっとライブについて考える必要がある。常に余裕がない状態です。

「ライブで歌っていれば、自分は成長して心のモヤモヤが晴れる」と思っていたんですよね。それが実際には、突き進んでいる感覚がない。ライブをこなすだけで精一杯。

お客さんを集められないし、ライブを心から楽しめない。今考えてみると、自分の根本的な部分がひねくれていたからだと思います。

──そんな心境で音楽活動されていたのですね。私は何度も桃子さんのライブを拝見しましたが、葛藤があったようには見えなかったので驚きです。

はい、心の中では苦しんでいたんです。やめたいけどやめられない自分特有の思考の癖は、人それぞれあると思います。その原因は根深く、元をたどっていくと、私の場合は幼少期の経験まで遡る。それなら今の音楽活動では、心のモヤモヤは晴れないのでは、と考えて。

そこで、28歳の時に音楽活動を休止しました。自分と向き合う時間を多くとらなきゃ、と思ったんですね。自分の中に余裕ができて、新しいものが入ってくるんじゃないか、と期待しました。

──音楽活動休止、思い切った決断でしたね。休止中はどんなことをして過ごしていましたか?

もともと哲学や心理学など、スピリチュアル関係のことが好きだったので、それらにどっぷり浸かりました。意識的に自分の価値観をアップデートさせる期間でしたね。

当時気になっていたカウンセラーさんの講演を聞きに行ったり、本読んだりしているうち、「私、もっと素直になりたいんだ」と気づきました。

それまでの私は見栄や意地を張って、人にも自分自信にも小さな嘘をついていたんです。最初にお話しした「自分の本心とは違うけど、誰かに認められるための正解を出そう」という思考がまさにそう。

そんなひねくれてしまった自分の心を少しでもほどきたくて、「まずは素直になろう」と意識することから始めました。

──素直になることは、案外難しいですよね。その後、何か変化はありましたか?

素直に素直に……と日々過ごしていて、友人とご飯を食べている時に「恋人が欲しいな」と口からポロッと言葉が漏れました。

するとその友人から現在の夫を紹介してもらい、お付き合いするようになったんです。「素直になろう」と決めてから、数ヶ月での出来事。夫と出会って2年後に結婚しました。

──急展開ですね!

自分が変わったので、夫と出会う結果になったんだと思います。とにかく心を素直にして、自分と向き合いました。

それと、音楽活動を休止するまでは「一人で頑張らないといけない」と思っていたんですよね。カッコつけて、何もかも自ら抱え込んでいました。

「人を信じて、誰かにお願いしたいことは素直にお願いする」
のも意識的にやってみました。その結果、私の場合はギフトとして「結婚」が来たのかなと思います。

もちろん、結婚だけが幸せの形ではないですよね。頼れる存在は、人によって違うと思います。友人や仲間、趣味やペットとか。自分の根本を変えると、安心感を得られる存在が現れるのかなと思います。

結婚しても私の根本が変わらなければ、楽しくない結婚生活になっていたと思います。今は平穏に日々過ごして、やりたいことをやれています。物質的な満足よりも、心の健康が一番だと思いますね。

これからもやりたいことを自分にやってあげる日々を

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──桃子さんがこれからやってみたいことはありますか?

その質問、実は昔から怖くて。「ひとつのことを極めないといけない」という過去の思い込みにもつながるのですが、「ビジョンは?」と聞かれるのが怖いんですよね。

でも、「何にでもかっこよくないと」と見栄を張った考え方をやっと最近手放せたので。本心としては、これからもやりたいと思ったことはなんでもやっていきたい。それしかないです。

──心のおもむくまま、まさに桃子さんのスタイルですね。

はい。私は昨日と今日でやっていることがまったく違うような人間です。「あっ、これやりたい」と感じた一瞬の小さな望みを、日々叶えたいですね。

例えば、今コーヒーが飲みたいとする。でも、家にコーヒーがなくて買いに行くのが面倒だから、飲むのをあきらめよう。ではなく、「コーヒーが家にないなら買いに行こう」と身軽に行動できる人になりたい。

今回、こうして取材していただいていますが、私はまだまだ発展途上です。
マルチにやってきた活動がものすごく発展していっているかと言うと、そうではない。

毎日やりたいことをやって、飽きたらやめてしまってもいいし、また新しい方面に向かってもいい。朝起きた時に「これやりたいな」と思ったことを、自分で自分にちゃんとやってあげたいです。

──やってあげたい?

「これをやりたいけど、予定があるし、あれもこれもないし……」と、何かやりたいことがあってもできない理由はいろいろ出てきてしまいますよね。それで自分の望みが、いとも簡単に見ないふりで終わってしまう。

その積み重ねで、いざ「あなた、どうなりたいの?」と聞かれた時に、本当に自分の望みがわからない人間になってしまうのではないでしょうか。少しきびしい言い方にはなってしまいますが、そう思います。毎日毎日、自分の願望を叶えてあげたい。それが今言えることですね。

自分の気持ちに素直になるコツ

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──桃子さんから見て、「この人は素敵だな」と思う人はいますか?

藤原しおりさんです。芸人さんの活動を引退され、今はYouTubeなどで活躍されています。藤原さんのYouTubeを見ていると、まさに「自分の願望を叶えてあげる」ことを実現されているのが伝わってくる。

「生活がどうなるかわからないけど、このまま芸人を続けていたら自分がダメになると思ったので、芸人を引退した」と前に何かのインタビューでお話しされていました。今やっていることを、自分を犠牲にしてまでやりたいか?という話だと思うんです。

藤原さんは、「私は一度辞めないと変わらない。AをやりながらBについて考えるのは、私には無理。だからやめた」ともおっしゃっていて。どれだけ純粋に自分の欲望を叶えたか次第で、自分にとってより良い変化が起こると思うんですよね。それなりにやったら、それなりの変化しか起こらないのではないかと。

藤原さんは思い切って芸人を辞めた。そうしたら自分が心地良いペースの暮らしをしつつ、ラジオや雑誌などお仕事のオファーが来ている。本当にすごいなと思います。

──桃子さんが日々叶えている「小さな望み」は、どんなことでしょうか?

私は、お花が部屋にあると私の気持ちが豊かになるので、いつも部屋にお花を飾るようにしています。お金はかかるし、水を替えてお世話をしないといけない。でも、自分の小さな幸せや気持ちよさを優先させていますね。本当にそんなレベルで良いと思います。

自分の望みを叶えてあげるのって、至ってシンプルだと思うんです。欲しいものがあったら買う。もし値段が高くて難しい場合は、自分が今用意できる範囲のものでいいから買う、食べる、どこかに行く……。

あと、自分の望みを叶えようとしたら、まずは自分の望みを知らないと行動できないですよね。私は自分と向き合う中で、最初の方は「あれ、私今何がしたいんだろう?」となっていました。それってやっぱり、毎日の小さな望みを無視してきた結果なのかなって。

でも、「私はこれだけ自分の望みがわかっていなかった」と気づくのも大切ですよね。まずは自分の望みを知ることからスタートしてもいいと思います。

──最後に、桃子さんが考える「自分の気持ちに素直になるコツ」を教えてください。

私もまだまだ成長途中なので、偉そうなことは言えないのですが。とにかく些細なことでもいいので、小さな望みを叶えてみて欲しいです。

自分の気持ちを大切に、やりたいことを自分にやらせてあげる。そうすれば、自然と「本来の、自由で軽やかで満ち満ちている自分」になっていく。

自分が自分の一番の理解者でいれば、日々の暮らしが少しずつ心地良いものになっていくと思うんですよね。

【まとめ】他人軸ではなく自分軸に。自分の気持ちに素直に生きる

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「周囲に認められる自分でいる」ことを手放し、ひたすら自身と向き合った桃子さん。

「自分で自分を変えられるんだ」と気づき、自身の気持ちに対して素直に行動することを意識していったのが印象的でした。

▶︎「自分の気持ちに素直になる」ヒント
・周囲の期待に応えるために行動することから距離を置いてみる
・自分の望みは何か考えてみる
・日々の小さな望みを叶えてみる

自分の気持ちに素直に生きることは、自分を大切にすること。自分を大切にすると本来の自分が輝き出し、「自由な自分」に近づいていきます。

決して大それた願いでなくとも、毎日のささやかな望みに気づき、認め、実行していくことから始めていきたいと感じました。

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