子猫をネグレクトした夢


子猫を拾った。
手のひらに収まるほど小さくて豆大福みたいな色をした子猫だった。

猫を飼ったことがないので育て方をたくさん調べた。ミルクの作り方、トイレの世話の仕方、病院にも連れて行かなくちゃ、名前は何にしようか。

そんなことを考えていたら玄関のチャイムが鳴った。
「仕事の時間です。」と黒服の男が冷たく言った。仕事にいかなければならない。子猫をゲージに入れたまま私は仕事へ向かった。
仕事を早く切り上げて帰宅する予定だったのに子猫のことをすっかり忘れていた私はずいぶん遅くに帰宅した。子猫は死んでいた。
私が客と寝ている間に子猫は死んだ。冷たくなった子猫を抱き抱えてたくさん泣いた。

場面は変わり、私はまた子猫を拾った。豆大福みたいな子猫だった。
子猫に餌を作ってミルクをあげてブラッシングをしていたらまた玄関のチャイムが鳴った。「君の歓迎会があるから行こう」と知らないやつが言った。今度は断った。もう猫を一人にさせたくなかった。それになんだよ歓迎会って。私は何に歓迎されているんだ。
無理やり腕をひかれ会場へ向かった。すごくたくさんお酒を飲まされてたくさんの人と踊った。あっという間に泥酔してサイコーな気分だった。
また子猫のことを忘れていた。早く帰らなくちゃ。私が帰るのを引き止めようとするたくさんの腕をくぐり抜けてなんとか帰宅した。
子猫は死んでいた。ゲロまみれで死んでいた。
私が酒を飲んでいる間に子猫は死んだ。冷たくなった子猫を庭に埋めた。

また場面は変わり私は子猫と遊んでいた。子猫が小さい体で猫じゃらしと戯れているのを微笑ましく見ていた。もう誰も来ないように玄関のチャイムは切った。
なぜか急に死にたくなった。私は腕を切ったり薬をたくさん飲んだり自分の頭を一心不乱に殴ったり切腹をしたり自傷行為をしていた。また子猫のことを忘れていた。
子猫は死んでいた。私が自殺未遂を繰り返している間に死んだ。


目が覚めて、子猫がいないことに安心した。どう考えても子猫は私の元にいるべきではないのだ。小さな命ひとつ守れない私は誰も大切にできない。

何か大切なことを忘れている気がする。私にも子猫がいた気がする。

でも思い出せない。



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