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祖母と香水

先日友人に勧められ香水デビューをしました。好きな香りに包まれると、気持ちがしゃんとして日々の振る舞いが変わります。
この香りは、自分だけの秘密にしておきたくなっちゃうな。

香水といえば、以前祖母がお気に入りの香水が廃盤になって悲しいと言っていて、帰省時にどんな香りだったのか聞きました。

祖母の鏡台には、昔友人からお土産でもらった海外の香水がたくさん並んでいます。本人は無頓着で、空の瓶や封されたままのものもあります。

これはたまにつけるかしらね、こっちはちょっと強すぎるでしょう?脱脂綿に香りを湿らせて、胸元に入れるのよ。
こういった祖母の仕草や言葉使いを、私は美しいと感じます。

昔はそこまで高価でなく、ちょうど良いお土産だったそう。エルメスの華奢な瓶は昔飲んだお薬か、ラム酒のような香り。シャネルの5番は名前だけ聞いたことがありましたが、自分にはまだ少し大人な雰囲気でした。

空気が抜けすっと閉まる銀の外箱。どこか懐かしく感じ、記憶の片隅に、幼少期祖母の部屋でこれを見た映像が浮かびました。
戸棚の高い所に置かれていて、当時私はそれが金で出来ており、中に青い角砂糖が入っていると信じ込んで、うっとり眺めていました。

祖母の愛用していた香水は高島屋で購入した、イギリス製のスズランのオーデコロンと分かりました。空き瓶でしたが、優しくて上品な香りは確かに彼女の雰囲気に似合う、私にとっては、いつもの安心する祖母の匂いでした。

仕方ないから最近はこれを付けているのよ、
と私の手首に振りかけてくれた香り(正確にはスプレーの噴出量の多さ)に違和感を覚え瓶を確認。
ルームフレグランスと記載がありました。
最後はそういうオチです。

愛おしい私の祖母。
彼女の気に入る香水を探す新たなミッションを、自分に課して。

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