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地域密着型金融を通じた地方創生・ SDGsへの 取組みについて


事例99:中小企業再生支援協議会を活用した企業再生支援事例
    豊和銀行(大分県)

図1

①背景・経緯等 
A社グループ(以下A社Gという)は昭和42年に設立された県北部に在する骨材や生コンクリート製造販売と建設を業としている当行取引企業グループである。当行はA社Gと昭和49年から預金取引、翌年より与信取引開始し、メイン銀行として45年間以上の取引が続いている。A社Gは平成10年代以前より官公需に依存した工事主体の業務が中心であったため、発注量が減少し、工事自体の小型化による過当競争に巻き込まれ赤字受注に至り業況不振を余儀なくされていた。そこで、平成19年に中小企業再生支援協議会(以下支援協という)へ当行とともに経営改善の相談をし、平成21年に事業の再構築による支援協版DDSを取り入れた金融支援を含む事業再生計画(以下21年計画という)を実施した。しかしながら、平成20年のリーマンショックによる国内経済の低迷を受けて、発注量の減少は止まらず業況不振は続き、21年計画によっても債務超過は解消できなかったことから、再度平成28年4月に支援協と連携して事業再生計画の策定支援を行い、当行を含む金融機関の同意により計画はスタートするに至った。(以下28年計画という)なお、28年計画も21年計画と同様、債務超過を解消すべくメイン行による支援協版DDSを活用した金融支援を実施し、業況は回復の方向にて推移していたところ、21年計画にも提起され課題となっていた代表者後継問題が未解決のままで進展が無かったため、早急な長期的な経営体制の構築が必要となっていた。

②取組の内容
そこで、28年計画の履行最中ではあったが、改善支援に継続して関与している支援協へもサポートを依頼する形で、A社Gとも協議を重ねた結果、先ずA社G11社のうち、生コンクリートを製造する会社5社について県外の上場企業(以下B社という)へ一部債権放棄を行う金融支援を含む事業譲渡をすることで、解決を図るということになった。B社はA社Gの全ての製造過程となる拠点を引き受けるだけの事業規模、財務内容、能力を有しており、従来よりA社Gとの取引を尊重していく実績も有していた。また、A社Gにおける事業譲渡先5社の従業員について全員を継続して雇用することも確認された。以上の経緯よりB社を譲渡先として選定し、譲渡価格交渉を行ったところ、価格について支援協の検証によっても妥当性を見出せたため、譲渡することで決着した。譲渡後はB社が受け皿会社を準備し、5社は清算手続きへ移行させることとなった。なお、株主責任、経営責任(同時に経営者保証ガイドラインに準じて保証債務の整理を実施)の検討をし、かつ、残存することとなったA社G6社についても支援協の関与の下、平成31年3月に再生計画の見直しを行い、代表は当該6社の代表も退任し、後継に同幹部社員が就任するという内容で取引金融機関全行の同意を得るに至っている。

③成果(効果等)
当行メインとする与信残高の大きい取引先で、その規模から地域経済のために与える影響度が高かった点を踏まえ、支援協を利用した事業再生支援を実施し、A社Gは現在まで存続することができ、トータルで106名の雇用維持が図れた。また、高齢となった経営者の事業承継問題についても支援協の関与による事業譲渡や経営責任の明確化によって、スムーズに手続きが進捗した。


(参考)事例集

次回のnoteでは、沖縄海邦銀行(沖縄県)の取組みを紹介します。


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