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表現をする理由と自己紹介

こんにちは。さり柴です。
私は世界の色々な場所を旅をしながら、作品制作をしています。

今回は自己紹介と私がアート活動をする理由について書きたいと思います。

私は現在29歳で、世界の離島や自然のある場所を旅し、制作をしながら生活を送っています。

私は美大などで専門的な美術教育を受けた訳ではありません。
山村地域に生まれ、普通に大学に入り、大企業に入社するという人生を送ってきました。本当はずっとアート活動がやりたかったのですが、現実的には家も経済的に厳しく奨学金を抱えていました。生まれた田舎を出て生計を立てるため、多くの人と同じようにごく普通の就職をしました。

大企業でストレスもありながらそれなりの待遇でそれなりに給与をもらい生活をする。そんな社会的には褒められる暮らしは、平日日中8時間以上を仕事に捧げる生活でもあります。そして残りの土日は疲れきって思い切りは楽しめないのです。

確かに大企業に入社した私は他人から見たら勝ち組だ、成功だ、羨ましい、と言われることがよくありましたが、私のほうは就職せず自由に楽しそうにしている人を見ては羨ましく感じていました。
いつまでこんな生活続くんだろうと。

グローバル資本主義社会の、そのまた一部の会社の、一員としての自分。
本当はもっと違う自分があったのでは、と思うけれど、当時考える元気がなく生活のために必死でした。

特にコロナの混乱の最中ではそれを顕著に感じました。
このままでは仕事だけで20代が終わってしまうという焦りが芽生えました。

そこで私は働きながら残った力で、アート活動に取り組みはじめました。在宅勤務で出来た時間と、貯金を使って。このときには既に26歳になっていました。

アートは社会生活で疲れ切った私を確実に癒やしてくれました。と同時に、これを一生やっていきたいという気持ちが湧いてきました。
社会についての表現をすることが何かの役に立つから、という前に私自身にとって必要なことでした。

現代のグローバル資本主義社会の行き過ぎた効率化や、お金を稼ぐために必死に働く社会構造は、そこからこぼれ落ちる人々を作り出します。

そして、行き過ぎた資本主義は人々から人間本来の自由を奪っていきます。
真面目に生きているのに、お金も時間もないからやりたいことを諦める。

それが当たり前の社会です。過去の私自身もそうでした。
いま、私はそのことに大きな危機感を持っています。

もちろん資本主義の良い点も多くあり、数知れぬ恩恵もあります。
否定しているわけではありません。

しかしそれによってもたらされた現状の社会システムが、人間だけではなく自然環境にも大きな影響を及ぼし、人間の生きる場所だけではなく罪のない動物も危険に晒しているのは事実です。

そして、私は答えのないその壮大な事象について日常生活において考えると共に、アートで表現できないか?と模索するようになりました。

私が注目したのは、日本の離島の海洋プラスチックです。ご存知の通り日本の海洋汚染は深刻なもので、それは紛れもなくこの大量生産、大量消費のグローバル資本主義社会から生まれたものです。

海洋プラスチックごみは人間が作り、使い、捨てるその循環の中で生まれました。そしてその物質は、長いあいだ消えること、死ぬことが出来ません。

一方で私は捨てられ、外国から長い長い旅をしてきたプラスチックの色褪せた姿に魅力を感じ、そのゴミを拾いあげ、服を作り、装飾して写真を撮影しはじめました。

その写真シリーズには日本の離島に流れ着いた海洋漂流物の美しいポイントを提示することにより、逆に漂流物に注目してもらうという意図があります。

ありがたいことにこちらの作品で、中国の審査員の方に選んでいただき、第二回半山フォトアワードで審査員特別賞をいただくことができました。

離島の海洋ごみが象徴する現代社会とその受容についてのシリーズ「On the beach」の中の一枚 

また同様に海洋プラスチックの石化や変容にも注目し、写真に収めるシリーズも作りはじめました。

海洋プラスチックの自然物化に関するシリーズ「Anthropocene plastics」の中の一枚

私はこれからも、作り、使い、捨てる、そしてまた拾う循環を生み出すグローバル資本主義社会についての表現を続けていきます。

ところで現在の仕事ですが、大企業を辞めて夫婦で起業しIT関係の収入を得ながら制作に取り組んでいます。

そのためアートのことは利益については考えず、
興味深いことや、純度が高いことを大切にしています。
そしてその作品がなるべくわかりやすいこと。
(もちろん、気分によるのでそうでないこともあります。)

今は少しづつですが、受賞をしたり展示に誘ってくれる場所が増えてきました。

不思議なことに、私の作ったアートを中国、台湾、カンボジア、インドネシアなど、想定外の場所から評価されることがあるのです。

社会のどこかを移動しながらひっそりと生きている私の作品が、社会と世界のどこかにおいて、他者とつながることがあれば、それはとてもうれしい瞬間です。

その一瞬を求め、このすばらしく美しい地球をひっそりと旅し、厳しくもおもしろい社会で商い、作品を作り生きていきます。

もし何か機会がありましたら、以下のWebsiteより気軽に連絡をお願いします。
https://sarishiba.studio.site/

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