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「趣味の良さなんてない」日記|小野寺

姉とは仲が悪く、最近は顔を合わせることもないのだが、ふとした瞬間に彼女が学生時代に聴いていた音楽の趣味は良かったな、と思う。というか、バランスが良かった。スピッツやRADWINPS、加藤ミリヤとシド。邦楽ロック、いわゆるロキノン系と、ギャルムーヴ、V盤それぞれの文化を彼女を見ながら知らず知らずのうちにインプットした私は、今特段音楽好きではないけれどなんとなくどのジャンルにも一定理解のある人間に育った。

よくよく考えれば彼女の趣味が良かったというわけではなく、単に流行りの、というか当時彼女が好きな男が聴いていたから好んで聴いていたにすぎないんだろう。そう思うと「趣味の良さ」を養う方法なんて存在せず、取捨選択は人の好き嫌いや思想でしかない、としみじみ思う。自分の選択は、幼い頃どこで何にどんな風に触れたか、に全て起因しそうで末恐ろしくなる。私は、26歳くらいまでで子供時代の呪いの全ては解けた、ように思う。私の中の好き嫌いの判断基準や思想は、大切にしたい人を尊重できる程度のものなのだろうか。

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