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自由の王国は確かに私たちの手の中にあるけれど・・・さて・・・世界一周


数年前のこと、イタリア・五つ星運動の活動を知って衝撃を受けた。インターネットを駆使したデジタルデモクラシーもさることながら、「清貧な政治」がこの世界にあって、それが主要先進国の主要政党になっているということが驚きだった。「清貧」を翻訳ソフトにかけるとhonorable povertyになる、いい言葉だ。それで、彼らの運動の精神的な支柱である聖フランチェスコの聖地アッシジを訪れたのが、2018年7月だった。
あの頃、知らなかったのだが、近年、実に266代目にして初めて、ローマ法王がそのフランチェスコを名乗った。800年ほど前、もっともキリストのように生きたと言われるイタリアの守護聖人の名。そして、その法王が来日したのは、アッシジを訪れた翌年、なんと私の50回目の誕生日だった。
オーマイガッ!
その来日の日程を知ったとき、涙が止まらなかった。これまであったいろんなことが思い出された。私は、キリスト教とはなんの縁もないし、そもそも宗教に否定的だ。でも、あり得ない確率の偶然に直面した時、私は、自分を見守っている大いなる存在が、本当にいるのかもしれないと感じた。果てしない暗闇の中、途方にくれながらも、ひたすら道を探し求めつづけたら、突然、誰かが、「そう、その道でいいんだよ」って明かりを灯してくれた気がした。

50歳、人生の折り返しだ。とりあえず私は、すぐにフランチェスコのようにと思って肉体労働を始めた。念の為言うけど、自分が聖人になれると思っていないし、もちろん、なりたいとも思わない。世の聖人に必須とされている禁欲的な生き方なんて好きじゃない。そもそも人間の欲なんてたかが知れてて、「人間は根本的に欲深い存在だ」という刷り込みは人を支配するための口実でしかない、まったく事実じゃない、私はそう確信していて、禁欲は必要ないことだと思っている。肉体労働で修行したいというんでもない。単純に自分が内的に欲するものをやってみようとしたのかも知れない。まずやった仕事は、年末年始のゆうパックの配達、1日18時間ほとんど休日なしで働き続けた。それから、あの年亡くなった親父がやっていた植木屋の仕事、梅雨の頃、泥と汗にまみれて大きな植木を掘りあげたこともあったな。炎天下の作業のきつさなんて、うまく表現できないほどだった。それから、ラーメン屋。最高で1日400食近くつくったかな。一日中立ちっぱなし、動きっぱなしっていうのは、きつかったけど、やがて慣れてサクサクできるようになる。私は今までほとんどデスクワークしかしたことがなかったから、体で現場をしっかりと体験したかった。この3年のほとんど、カラダをフルに使って働いた。長い間、パソコンさえ開けなかった。今ふりかえると、へぇ、なかなかやれるじゃないって自分を思えるようになったかな。それは、「地に足ついた」感かもしれない。こうやって生きられるってのは、なかなか悪くない。クタクタになって一日の仕事が終わったときのそう快感は、無条件にいいものだ。心の中にブルシット・ジョブ感はまったくない。そして、何より、決して恵まれているとはいない環境で、本当に一生懸命体使って仕事してる同僚たちが大好きになった。今までとは違った感覚だ。ヘリクツいらない、通用しない世界。

さて、今のローマ法王は、もちろん清貧で常に弱いものに寄り添って生きている。バチカンに大勢のホームレスを招いて一緒に食事をして、グローバリゼーション、格差社会を非難する。そして、法王は「キリストが馬小屋で生まれた意味を知れ!」と言ってる。なんだか法王のこの言葉を聞いて救われた気がした。選挙出ても世襲議員との圧倒的な格差があって、努力じゃどうにもならない現実を身にしみて味わった。七光りの真逆、足引っ張られてばかりの父親を恨めしく思ったこともあった。でも、俺だからこそ、やれること、あるよなぁと思った。そう、私の人生は貧困の根絶にこそ捧げられるべきだ、そう心から思う。ちょうど、貧困は人類最大の課題だという世界のコンセンサスも、一応あるわけだ。だから、それに邁進したい。私は、目の前に、富や地位がぶら下がっていても、それに背を向けてきた。一度魂を売ったら歯止めが効かなくなる気がして、それがなによりも怖いことだと思ったからだ。贅沢に心惹かれた記憶もない。世間では、貧しさというコンプレックスをバネにして社会的に成り上がる人は決して少なくない。私もそうであってよかったはずだ。でも、自分でも不思議なほどだが、例えば選挙資金つくるために、起業してみて、それでお金が稼げても、私はまるで嬉しくなかった。社会には、貧困がはびこっているのに、それに対して自分はまったく無力であることに変わりない。誰かが大きな富や地位をえて、その力でいい社会をつくれるんだったら、今のような社会はとっくに終わっているはずだ。本当に人間らしい社会をつくる手段になり得ないんだ。道じゃない。

それから、そう、やがて、フランチェスコは旅に出る。「行ってそこかしこで 『神の国は近づいた』と伝えなさい」という聖書の言葉をそのまま実行した。何ももたずに、托鉢で糧を得ながら・・・。
「神の国は近づいた」は、Kingdom of god is at hand、そもそもkingdomって言葉が気にくわないが(笑)、近づいたってのはat hand、つまり私たちの手にあるってことなんだよね。私は、本当にそうだと思ってるけど、どうしたらみんなそれに気づいて、手にあるものを現実にしだすんだろう?

お金ってただのルール、決め事で、ただの印字なんだから、それを発行する中央銀行が、人が暮らせるだけの印字をみんなに直接等しく無条件に配って、それで経済をまわせばいいだけだ。人間社会が息苦しい根本的な理由は、人間性の欠陥のせいじゃなくて、単純にイビツなルールが問題だから、それを変えたらいいんだ。ユニバーサル・ベーシックインカムに増税はいらない。それで、すべての人が本当の自由を手に入れられる。貧困もマネーの奴隷制もなくなる。MLキングが所得保障を要求するキャンペーンをする直前、殺される前の日に叫んだ「約束の地」ってそこだよね。
どうしたらそれを実現するんだろう?キング以後、そんな社会を本気で目指した人がいるのかどうか分からない。でも、私は、とりあえず、人間を支配するために築かれた巨大なヘリクツの山は、実はいとも簡単に壊せそうな気がしている。

ところで托鉢で糧をえるって・・・宗教のバックグラウンドがあったら托鉢といえるだろうけど、それがなかったら乞食だ。う〜〜ん、とりあえず、私がつくったキャンペーンのTシャツには、ミッションに必要なメッセージが書いてある。まぁ、托鉢もどきで、世界の主要な中央銀行の前でTシャツの露天販売でもしようか・・・?Tシャツはメッセージが英語だから、日本人はほとんど反応しない。せいぜい女の子が、デザインを気に入ってって欲しがるくらいだった。でも、最近分かったのは、本家のアルファベット言語の人たちに見せると、なかなかウケがいいってことだ。フランチェスコは「神の道化師」と呼ばれた。私は街頭で、そんなパフォーマンスはできそうにないけど、中央銀行の前で、行き交う人とTシャツのメッセージについて意見交換してみるのは、とても面白そうだ。せっかくだから、インタビュー動画も撮ってみようかな・・・。

経済危機10年周期説をはるかに超えて、リーマンショックから、もう15年たつ。世界では、去年からの急激な金利上昇で、破綻する金融機関が出てきた。今年はやっぱり山場だろうなと思う。やがてくる次の経済危機の中で、前回と同様に世界中のあちこちで大勢の人びとが、貧困に直面して、それを打開したいと街にでて歩き出すだろう。それを、一過性のアクションですませて、また元の木阿弥にもどるんじゃなくて、今度こそは、そのエネルギーを本当に貧困を根絶することに向け、ソリューションを世界全体で共有して、目的の実現のために同じアクションをとり続ける。そうできたら、世界は本当に変わるに違いない。

日本では、通信技術のない時代でも、飢饉のときに御所の千度参りが自然発生した。数人で始めたものが1週間後には数万人に膨れ上がった。人間は本能的に繋がれる。リーマンショック後、スペインの経済危機にあたってマドリードで始まった広場の占拠は、またたくまにインターネットで世界中に広まり、2000ヶ所以上で、同じことが起こった。適切なタイミングで人の琴線に触れれば、運動は、今や一瞬で世界中に増幅されるんだ。

世界中の人が中央銀行の千度参りをしたら本当に素晴らしいと思う。世界で一斉に同じアクションをとるのは、誰もが心踊るんじゃないかな。そして、フランスのイエローベストみたいに毎週土曜日にデモを続けたら、さすがに息切れする。でも、月1回だったら、完全にリフレッシュして、拡大しながらやれるだろう。そうやって揺るぎない世論がつくられたら、デモクラシーを標榜している国では、実現を妨げられない。世界の主要な中銀がある街のデモのオーガナイザーとうまく繋がれたら、実現するのは、そんなに難しいことじゃないだろう。経済危機にうまく乗じて、世界中で#CentralBankUBIがツイッターで拡散されたら、歩く人の数は膨らむだろう。
MLキングが暗殺されてから、本当に貧困の撲滅を目指して動いた人はいただろうか?ノーじゃないかと思う。キング以後も、人類はあきれるほど過大な生産力をもち続け、もはや貧困がはびこる理由などみじんもないのに、貧困は意図的に放置、時には増強されてきた。ようやく近年になって、五つ星運動は、貧困の根絶を目標に掲げた。創設者のベッぺは、確かに「神の道化師(ジョーカー)」の再来のようにも見える。彼が、ガンジーやキングのようなアクションを取れるかどうかは、私の環境整備の活動にかかっているかも知れない(笑)。フランクフルトが本当に大事だ・・・。

さて・・・主要な中央銀行をまわって世界一周してきます。

活動のサポートは大歓迎です。



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